日給7万7000円の高額報酬、潜水業者の認定事業「グリーン・フィンズ」でも提示 屋久島町海底清掃事業
オーシャナ、主任研究員らの人件費127万円を含む約900万円を提示 → 町、740万円を削って事業費160万円に減額
町議、1業者だけの参考見積もりを理由に予算修正案

【上】ダイビング業者「オーシャナ」のロゴ(オーシャナ・ウェブサイトより)【中】オーシャナが屋久島町に提出した参考見積書の一部【下】屋久島町役場
ふるさと納税で「屋久島の自然を守って欲しい」と寄付された1700万円を活用して、屋久島町が2022年度に実施した海底清掃を主体とする環境保全事業で、総事業費の大半が海底清掃そのものではなく、屋久島の観光情報などを伝える冊子や動画の制作費に支出された問題――。
この事業の3年目となる2024年度の参考見積もりで、前年度の事業を請け負ったダイビングの専門業者「オーシャナ」(本社・東京都中央区)が、環境に配慮した潜水業者を認定する取り組み「グリーン・フィンズ」の業務でも、「主任研究員」や「経理担当職員」の人件費として約127万円を提示していたことが、屋久島ポストの取材でわかった。この参考見積もりに従って、町はグリーン・フィンズの予算として900万円を計上。だが、2024年3月の町議会で事業費削減を求める予算修正案が出されたことから、町は約740万円を削減して、事業費を約160万円に減額した。
グリーン・フィンズはサンゴ礁の保全を目的に、環境に配慮した潜水のガイドラインを遵守する潜水業者を認定する取り組み。国連環境計画(UNEP)が始めたもので、現在は英国の「リーフワールド財団」が運営している。

「グリーン・フィンズ」について紹介する屋久島町の特設サイトの画面
日給、「主任研究員」7万7000円 「経理担当職員」5万5000円
屋久島ポストの情報公開請求で開示された関係文書によると、オーシャナは2024年2月15日付で参考見積書を町に出し、グリーン・フィンズの事業費として874万9212円を提示。その内訳では、日給7万7000円(税込み)の「主任研究員」や日給5万5000円(同)の「経理担当職員」などの人件費として、計127万6000円を計上していた。
合計で874万9212円となるグリーン・フィンズの事業費の内訳は、次のような内容だった。金額はすべて消費税込み。
<人件費(謝金含む)>
・主任研究員:日給7万7000円×10日=77万円
・研究員:日給3万3000円×12日=39万6000円
・経理担当職員:日給5万5000円×2日=11万円
<グリーン・フィンズ導入>
・アサセー稼働費、セミナー講師謝金、人件費など:516万4582円
<交通・宿泊費>
・各地-屋久島往復+3泊~7泊想定:189万2000円
<一般管理費>
・人件費とグリーン・フィンズ導入費の5%:41万6629円

オーシャナが屋久島町に提出した参考見積書
町、議会承認の900万円を自ら160万円に減額
グリーン・フィンズの予算をめぐっては、2024年3月に開かれた町議会定例会で町は、オーシャナの参考見積もりに従って900万円の事業費を盛り込んだ予算案を提出。それに対し、海底清掃事業の問題を追及している渡辺千護町議が「複数の業者から参考見積もりを取っていない」などと主張して、事業費の全額を削減するように求める予算修正案を出した。だが、町議会が反対多数で修正案を否決したため、グリーン・フィンズは900万円の予算額で実施されることになっていた。
ところが、12月定例会で町は、この事業の予算を900万円から160万円に減額する補正予算案を提出。当初予算から740万円を削減した理由として、担当課は3月定例会で予算修正案が出されたことを踏まえ、実施期間や回数を見直すなどして減額したと説明していた。
【動画:3分54秒~】海底清掃事業をめぐる予算修正案の提案理由を説明する渡辺千護町議(2024年3月21日、屋久島町議会YouTubeチャンネル)
2023年度も日給7万7000円などの高額報酬
2023年度に実施された海底清掃事業でも、町は「主任研究員」などの人件費として、オーシャナに計約338万円(税込み)を支払った。だが、実際には研究活動は一切行われておらず、時給にすると「主任研究員」は日給7万7000円、「経理担当職員」は日給5万5000円などと高額な報酬だったことが、屋久島ポストの取材で明らかになっている。