海底清掃問題

町が経費負担、東京のメディア3社を招待して取材依頼 屋久島町海底清掃事業

yakushima-post

2023年度、メディア3社の取材経費を寄付金から支出 取材者5人の交通費とホテル2泊分に

南日本新聞やMBCなど地元メディアは報道せず
メイン)取材案内

【上】屋久島町が東京のメディア3社に出した「【プレスツアー当日のご案内】」の冒頭部分【下左】2023年度の海底清掃事業を請け負った株式会社「オーシャナ」のロゴ(同社ウェブサイトより)【下中、右】屋久島町「ふるさと納税」と屋久島町のロゴ(町ウェブサイトより)


 ふるさと納税で「屋久島の自然を守って欲しい」と寄付された1700万円を活用して、屋久島町が2022年度に実施した海底清掃を主体とする環境保全事業で、総事業費の大半が海底清掃そのものではなく、屋久島の観光情報などを伝える冊子や動画の制作費に支出された問題――。

 この事業の2年目となる2023年度の実績を広報するため、町が東京から3社のメディアを招待し、取材者5人の交通宿泊費を負担していたことが、屋久島ポストの取材でわかった。経費は「旅費交通費」として計上した232万円のなかから支出され、東京と屋久島の往復航空券代とホテル2泊分に充てられた。一方で町は、経費を負担しないことを前提に、南日本新聞やMBC南日本放送などにも取材案内を出したが、海底清掃事業の成果を報道した地元メディアはなかった。

取材案内4
屋久島町が東京のメディア3社に出した「【プレスツアー当日のご案内】」。当初は2日間の予定だったが、荒天による航空機の欠航で3日となった

町、東京のメディア7社に招待取材を打診

 町の情報公開制度で開示された関係文書によると、町は20243月に東京のメディア7(婦人画報WWD JAPANIDEAS FOR GOODOCEANSFRaUVOGUE JAPAN日経ESG)に招待取材を打診して、そのうちOCEANSFRaUVOGUE JAPAN3社から計5人が「<海・川・山の繋がりで豊かな屋久島の自然を守る!プロジェクト>プレスツアー」に参加した。取材は2日間の予定だったが、荒天による航空機の欠航で327日~29日の3日間となり、詳細な内容は次のとおりだった。


327

東京・羽田空港屋久島空港、オリエンテーション(町役場)、海底清掃(一湊漁港)、グリーン・フィンズ説明、島料理ディナー、THE HOTEL YAKUSHIMA

328

山海川循環視察(白谷雲水峡)、ランチ、フリータイム、屋久島いわさきホテル

329

屋久島→鹿児島市→福岡空港→東京・羽田空港

取材した3社、ネットと雑誌で記事を掲載

 このプレスツアーを踏まえ、3社は次の情報発信をした。

OCEANS

見過ごしがちな世界遺産のリアル。屋久島の美しい山に“綺麗な海”が必要である理由(2024424)



VOGUE JAPAN

屋久島の魅力は水にあった! 海と山を同時に望むこの島で、水の循環がもたらす恵み(202453)



FRaU

木と森がつくる、未来。」(20248月号)



「旅費交通費」232万円から支出

 この事業を担当した観光まちづくり課によると、3社から取材に訪れた計5人の交通宿泊費は、すべて町に寄せられた「ふるさと納税」の寄付金から支出された。詳細な金額については、事業を請け負ったダイビング業者「オーシャナ(本社・東京都中央区)に支払った業務委託費に含まれているとしたうえで、「旅費交通費」として計上された232万円のなかから支出されたという。

招待理由「自然環境の情報を特に強く発信している東京のメディア」

 これら3社を招待した理由について、町は「多くの読者を有し、影響力があること、そして海や自然環境の情報を特に強く発信している東京のメディア、また海外にも発信できるメディアであることを考慮した」としている。


経費を自社負担で取材する地元メディアは現れず

 一方、町が取材経費を負担するプレスツアーとは別に、町は20243月に「【取材のご案内】」を南日本新聞やMBC南日本放送、KKB鹿児島放送などの在鹿児島のメディアに出した。だが、自社で経費を負担して取材した社はなく、この事業の成果を地元メディアが報じることはなかった。

取材案内1

屋久島町が南日本新聞やMBC南日本放送など在鹿児島の地元メディアに出した「【取材のご案内】」


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