海底清掃問題

【視点】2年連続、なぜ寄付金の使い道を隠すのか? 屋久島町・環境保全プロジェクト

yakushima-post

2年間で合計3700万円「表看板」は海底清掃事業  実際は事業費の大半を広報費などに注ぐ「本末転倒」

町、2年続けて「営業秘密」理由に支出内訳を全面黒塗り
黒塗り)令和5年度見積書
屋久島町が支出内訳を全面黒塗りの非開示とした2023年度の海底清掃事業の見積書
(モザイクは屋久島ポストが加工)
 

 なぜ、2年連続で寄付金の使い道を「のり弁当」のように真っ黒にして隠すのか?

 ふるさと納税の寄付金で屋久島町が20222023年度に実施した海底清掃事業で、総事業費の見積書と企画提案書を黒塗りの非開示にして、詳細な内容を隠す対応が続いている。情報公開請求に対する町の判断で、いずれの文書も「営業秘密に関する情報」だという。公開を求めた屋久島ポストの抗議で最終的に見積書は全面開示されたが、情報公開に後ろ向きな町の体質を浮き彫りにする対応で、公金で運営される地方自治体としての資質が問われる事態だ。

町と独占的に契約したのは東京の業者

 屋久島町が情報を隠そうとしたのは、海底清掃を主体とする環境保全事業の見積書と企画提案書だ。旅行大手JTBの出版部門を担う関連会社「JTBパブリッシング」(本社・東京)が企画を提案し、海底清掃はダイビング業務を専門とする「オーシャナ」(本社・東京)が担当。委託業者を選ぶ競争入札は行われず、2022年度はJTBパブリッシング、2023年度はオーシャナが、それぞれ独占的に町と特命随意契約を結んだ。
海底清掃
2022年度の事業で、船上から海底清掃に向かうダイバーたち(屋久島町YouTubeチャンネルの動画
「海・山・川の繋がりで豊かな屋久島の自然を守るプロジェクト」より)

2023年度「経理担当職員」などに人件費308万円

 同事業の取材を続ける屋久島ポストは330日、総事業費が約2000万円となった2023年度の支出内訳について詳細に報道。「海底・海岸清掃費」に451万円が支出された一方、「主任研究員」や「経理担当職員」などの人件費に308万円、広報費にあたる「PR費」に300万円、「環境教育プログラム作成費」に4595000円など、大半の事業費が清掃活動費以外に使われたことを伝えた。

浄財の使い道、真っ黒で確認できず

 だが昨年、屋久島ポストが町に情報公開請求をした際に確認できたのは、見積書に記載された約2000万円という総事業費の金額だけだった。その他の詳細な支出内訳は真っ黒に塗られており、「屋久島の自然を守って欲しい」と全国から寄せられた浄財が何にどう使われたのか、まったくわからなかった。さらに、同事業の企画提案書についても、多数のページが真っ黒に隠された状態で公開され、同事業の詳細な内容は把握できなかった。
企画提案書
屋久島町が情報公開した2023年度の企画提案書は、11ページにわたって黒塗りの非開示とされた

抗議「善意を裏切る対応」
課長「営業秘密」で頑なに開示拒否

 それを受けて、屋久島ポストは取材で「全面黒塗りは、寄付をした方々の善意を裏切る対応だ」などと抗議したが、事業を担当した観光まちづくり課の泊光秀課長(当時)は「営業秘密に関する情報」を理由に非開示にしたと主張。約1時間にわたり、「すべて開示すべきだ」「非開示は屋久島町としての判断だ」といった押し問答が続いたが、泊課長は最後まで頑なに支出内訳の開示を拒んだ。

町が提案、単価や数量を黒塗りに

 そこで、屋久島ポストは「寄付金で実施された事業である以上、支出内訳を黒塗りで隠す対応は許されない」と訴えて、再度の情報公開請求で全面開示を求めた。それに対し町は、業務を委託したオーシャナにメールを送り、町からの提案として、支出内訳にある単価や数量などを黒塗りにして公開する案を示した。そして、同社との検討を踏まえて、最終的に見積書に記載された支出内訳の全体が開示された。

 つまり、当初の段階で町が「営業秘密」と主張して隠した支出内訳は、本来であれば町の情報公開条例に従って、広く市民に公開すべき情報だったということである。
町提案の黒塗り
2023年度の海底清掃事業の支出内訳で、屋久島町がオーシャナに提案した単価と数量を黒塗りにして公開する案(モザイクは屋久島ポストが加工)

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令和5年度見積書
屋久島町が一転して全面開示した2023年度の海底清掃事業の支出内訳(黒塗りは町が非開示とした部分、モザイクは屋久島ポストが加工)

2年連続で全面黒塗りの「異常な対応」

 同事業の見積書をめぐっては、前年の2022年度に使われた総事業費1700万円の支出内訳についても、町は当初、全面黒塗りにして開示を拒否した。その後、2023年度に先立つ形で同様の抗議を受け、最終的には一転して全面的に開示したが、2年連続で寄付金の使い道を隠そうとする「異常な対応」が続いている。
黒塗り見積書
屋久島町が支出内訳を全面黒塗りの非開示とした2022年度の海底清掃事業の見積書(モザイクは屋久島ポストが加工)

2022年度、1700万円の7割が動画と観光パンフに

 そして、開示された支出内訳を詳細にみると、2022年度は総事業費1700万円のうち、その約7割にあたる約1165万円が海底清掃そのものではなく、清掃活動を広報する動画と観光パンフレットの制作に支出されていたことが判明。また、実際に海底で清掃した潜水時間が計2時間だったこともわかり、事業の主目的である海底清掃よりも、動画や観光パンフレットの制作に重きが置かれていたことが明らかになっている。
再開示)見積書20231227
屋久島町が支出内訳を開示した2022年度の海底清掃事業の見積書(一部黒塗りは町が非開示とした部分、モザイクは屋久島ポストが加工)

2023年度、2000万円の7割以上が清掃活動費以外に

 また、2023年度についても総事業費2000万円のうち、「海底・海岸清掃費」に支出されたのは451万円だったことが判明。実に総事業費の7割以上が清掃活動費以外に使われたことになり、海底清掃を「表看板」にした環境保全事業としては、本末転倒の事態となっている。
観光パンフレット
屋久島町が2022年度の海底清掃事業で発行した観光パンフレットの一部。町内のグルメ情報も掲載されている

町議、荒木町長らと協議を要望

 これら一連の状況を踏まえ、この事業を問題視する一部の町議は3月29日、今後の事業のあり方を協議するため、荒木耕治町長ら町幹部に面談を申し込んだ。その要望に対し、町総務課からは4月1日午後2時現在で回答は届いていないという。

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