【速報】予定価格を設定せずに業務委託契約を締結 屋久島町・海底清掃事業
JTBパブリッシングの見積額がそのまま総事業費1700万円に
【上左】屋久島町「ふるさと納税」のロゴ(町ウェブサイトより) 【上右】海底清掃事業を請け負ったJTBパブリッシングが入るJTBグループのロゴとスローガン(Wikimedia Commons より)【下】屋久島町役場
ふるさと納税で「屋久島の自然を守って欲しい」と寄付された1700万円を活用して、屋久島町が2022年度に実施した海底清掃を主体とする環境保全事業で、総事業費の大半が海底清掃そのものではなく、屋久島の観光情報などを紹介するガイド冊子や動画の制作費に支出された問題――。
この事業の業務委託契約をめぐり、屋久島町が予定価格を設定することなく委託業者のJTBパブリッシング(本社:東京都江東区)と契約を結んでいたことが9月19日、屋久島ポストの取材でわかった。
予定価格は、国や地方自治体などが公共事業を発注する際に事業費の上限として決める金額。「屋久島町契約規則」などでも設定することが定められており、同事業への支出に法令違反の疑いが出てきた。
監査委員、2回の監査で見落とし
今回の事業で町が見積書を取ったのは1社のみで、町はJTBパブリッシングが提示した見積額の約1700万円が適切かどうかを検討することなく、そのままの金額で契約したことになる。
これまで同事業については、町の定期監査および住民監査請求を踏まえた監査も含めて、2回の監査が実施されてきた。だが、いずれの監査でも、予定価格が未設定だったことは見落とされており、監査委員の資質が問われる事態だ。
担当課「法的な検討をして見解を示したい」
屋久島ポストの取材に対し、事業を担当した観光まちづくり課の有馬寿二・統括係長は、予定価格を設定していなかった事実を認めたうえで、「法的な検討をして、町としての見解を示したい」としている。