2024年度の海底清掃業務費、3回目の再々見積もりで半減 屋久島町・海底清掃事業
上限額「予定価格」超で250万円➡121万円に減額
22年度と23年度、最初の見積額がそのまま総事業費に
【上】2024年度の事業で屋久島町が設定した海底清掃業務費の上限額となる「予定価格」が記載された文書(非開示の黒塗りは町が加工)【下】屋久島町「ふるさと納税」のロゴ(町ウェブサイトより)と屋久島町役場
ふるさと納税で「屋久島の自然を守って欲しい」と寄付された1700万円を活用して、屋久島町が2022年度に実施した海底清掃を主体とする環境保全事業で、総事業費の大半が海底清掃そのものではなく、屋久島の観光情報などを伝える冊子や動画の制作費に支出された問題――。
同事業の3年目となる2024年度の総事業費300万円に含まれる海底清掃業務費をめぐり、委託業者が提示した見積額が2回にわたって減額され、当初の約250万円から約121万円に半減していたことが屋久島ポストの取材でわかった。町が設定した上限額の「予定価格」を超えていたためで、業者が提出した3回目の見積書で契約額が決定。過去2年間の事業では、業者が示した見積額が減額されたことはなく、事業費に対する町の対応が大きく変わった格好だ。(※事業費の金額は税込み)
2022年度の事業で海底ごみを回収するダイバーたち(屋久島町YouTubeチャンネルの動画「海・山・川の繋がりで豊かな屋久島の自然を守るプロジェクト」より)
この事業は、海底清掃を主体とする「海・川・山の繋がりで豊かな屋久島の自然を守るプロジェクト」。2024年度の事業で町は、地元の屋久島スキューバダイビング事業者組合と特命随意契約を結んだうえで、海底、海岸、河川を清掃する総事業費として、約300万円の支出を見込んでいる。
海底清掃、250万円➡140万円➡121万円で予定価格以下に
町の情報公開制度で入手した同事業の関係文書によると、同組合は7月5日に最初の見積書を町に送り、海底清掃業務費として249万180円を提示した。それに対し町は、事前に設定した予定価格を超えているとして、同組合に再見積もりを要請。同組合は7月24日に2回目の見積書を送ったが、提示した140万8440円が再び上限額を超えたことを受けて、町は再々見積もりを求めた。
そこで、同組合は8月20日に3回目の見積書を提出。当初の半分以下となる120万円7580円の見積額が予定価格を下回ったため、町は海底清掃に関する業務委託契約を同組合と結んだ。
報告書作成11万円、アポイントメント管理8万8000円など削減
町が開示した見積書によると、1回目の見積もりに含まれていた「消耗品雑材料」「アポイントメント管理」「日報作成」「支払代行」「最終報告書作成」の各費用はすべて削減され、3回目では「労務費」「チャーター船代」「産業廃棄物次回収処理費」「一般管理費」だけになった。
2024年度の事業で、屋久島スキューバダイビング事業者組合が最初に提出した海底清掃業務費の見積書。町が設定した予定価格を超えていたため、再度の見積もりを求められた(※金額は税抜き)
1回目と3回目の見積もり内容は以下のとおり。
1回目:海底清掃業務費(計249万180円)
・潜水士:日給4万5650円 延べ20人分に91万3000円
・船チャーター:1日22万円 4日分に88万円
・ごみ回収処理:1日4万4000円 4日分に17万6000円
・消耗品雑材料:1日2200円 4日分に8800円
・アポイントメント管理:時給2750円 2人×16時間分に8万8000円
・日報作成:1日1万1000円 4日分に4万4000円
・支払代行:1日1万1000円 4万4000円
・最終報告書作成:時給2750円 2人×20時間分に11万円
・一般管理費:22万6380円
↓ ↓ ↓
3回目:海底清掃業務費(計120万円7580円)
・潜水士:日給4万5650円 延べ12人分に54万7800円
・船チャーター:1日11万円 4日分に44万円
・ごみ回収処理:1日2万7500円 4日分に11万円
・一般管理費:10万9780円
2024年度の事業で、屋久島スキューバダイビング事業者組合が3回目に提出した海底清掃業務費の見積書。町が設定した予定価格を下回ったため、この見積額で契約が成立した(※金額は税抜き)
過去2年間、1回の見積もりで特命随意契約
過去2年間の事業で町は、最初に委託業者が提出した見積書をそのまま受け入れ、その見積額を総事業費として特命随意契約を結んできた。
2022年度は旅行大手JTBの出版部門を担う関連会社「JTBパブリッシング」(本社・東京都江東区)が事業の企画を提案し、総事業費は約1700万円になった。また、2023年度はダイビングや海中撮影などを専門とする「オーシャナ」(本社・東京都中央区)が事業を引き継ぎ、総事業費は約2000万円だった。
その一方、2024年度は事前に設定した予定価格に従って、町は業務を委託する同組合に3回にわたって見積もりを要請。当初の見積額を半分以下に減額させるなど、過去2年間とは全く違った対応をした。
担当課、22年度と23年度の予定価格を確認中
この対応の違いを踏まえて、屋久島ポストは担当の観光まちづくり課に「2022年度と2023年度の契約を結ぶ際に、事業費の上限を定めた予定価格は設定しなかったのか」と質問。これまで開示された両年度の関係文書には、予定価格に関する文書は含まれていないことを伝えた。
それに対し、同課の有馬寿二・統括係長は「予定価格は設定されていたと思うが、関係文書を確認したうえで回答する」としている。
2022年度 JTBパブリッシング作成の見積書
2022年度の事業でJTBパブリッシングが屋久島町に提出した見積書(非開示部分は町が黒塗り、モザイクは屋久島ポストが加工)
2023年度 オーシャナ作成の見積書
2023年度の事業でオーシャナが屋久島町に提出した見積書(非開示部分は町が黒塗り、モザイクは屋久島ポストが加工)
職員に公金と言う感覚が欠如している。
支払代行とは、?
幾らか額はわからないが、1日11000円の金利?は高すぎませんか?