海底清掃問題

「監査する側」と「監査される側」の双方に関わる弁護士 屋久島町海底清掃事業・住民訴訟

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住民訴訟の町側弁護士、荒木町長の旅費着服事件と町営牧場の過重労働死訴訟でも代理人

住民訴訟前の監査でも監査委員に法的な助言
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【上】荒木耕治町長(左)の出張旅費着服について記者会見する新倉哲朗弁護士(2019年12月26日、屋久島町宮之浦のホテル)【下】
屋久島町「ふるさと納税」のロゴ(町ウェブサイトより)と屋久島町役場

 屋久島町が「ふるさと納税」の寄付金を活用して実施した海底清掃事業で、総事業費の大半が海底清掃ではなく、屋久島の観光情報を紹介するガイド冊子や動画の制作費に使われたのは、寄付金の使途を定めた条例に違反しているなどとして、総事業費の約1700万円を荒木耕治町長らに賠償請求するように求めた住民訴訟――。

 この住民訴訟で町の代理人を務める弁護士が、2019年末に発覚した荒木耕治町長による約200万円の出張旅費着服事件で、町長の代理人を務めた新倉哲朗弁護士であることがわかった。

 新倉弁護士は鹿児島市の和田久法律事務所に所属。この訴訟の前提要件となる住民監査請求を受けた町の監査では、監査委員が同事務所に法的な相談をしており、新倉弁護士が「監査する側」と「監査される側」の双方に関わったことになる。
記者会見
荒木耕治町長(左)の出張旅費着服について記者会見する新倉哲朗弁護士(2019年12月26日、屋久島町宮之浦のホテル)

町、住民訴訟132万円、民事訴訟990万円の上限額で契約

 鹿児島県内の町村運営を支援する県町村会によると、同事務所は町村会の法律顧問を長年にわたって務めており、県内の各町村から寄せられた法律相談に対応しているという。

 また、屋久島町営牧場で職員が過重労働で死亡した問題を受けて、202310月に遺族が町を相手取り、約7000万円の損害賠償を求めた民事訴訟でも、新倉弁護士らが町の代理人を務めている。

 町は、この住民訴訟で着手金66万円、成功報酬66万円(上限額)の計132万円で同事務所と契約。また、町営牧場の過重労働死をめぐる民事訴訟では、着手金330万円、成功報酬660万円(上限額)の計990万円で契約している。

 住民訴訟の第1回口頭弁論は924日に鹿児島地裁で開かれる。町は918日付で答弁書を提出し、住民からの請求を棄却するように求めている。

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