荒木町長、海底ごみの廃棄実費 一転して示す方針 屋久島町・環境保全プロジェクト
JTBパブリッシング、廃棄実費は「回答を控える」➡
町長、法的判断を踏まえ 同社に「確認の申し入れを行っている」
【上】海底清掃事業について議会答弁する荒木耕治町長(2024年3月11日、屋久島町議会YouTubeチャンネルより)【左下】屋久島町「ふるさと納税」のロゴ(町ウェブサイトより)【右下】海底清掃で回収されたごみの写真。屋久島町の委託業務として、業者が配信したウェブサイト記事に掲載されている(ocean+α「ふるさと納税で屋久島の海をきれいに! ダイバーたちが世界遺産の海を次世代に繋ぐ」より)
ふるさと納税で「屋久島の自然を守って欲しい」と寄付された1700万円を活用して、屋久島町が2022年度に実施した海底清掃を主体とする環境保全事業で、総事業費の大半が海底清掃そのものではなく、清掃活動を広報する動画と観光パンフレットの制作費に支出されていた問題――。
同町の荒木耕治町長は3月11日、海底清掃で集めたごみの廃棄費用について、事業を委託したJTBパブリッシング(本社・東京)に確認したうえで、実際にかかった費用を報告する方針であることを明らかにした。これまで町は屋久島ポストの取材に対し、同事業の業務委託契約が単価や数量に左右されない「総価契約」であることを理由に、「確認を求める必要はない」と主張。同社も「回答は控える」としていたが、一転して町が実費公表に応じることになった。
この日あった町議会3月定例会の一般質問で、荒木町長が明らかにした。
渡辺町議、ごみの量と廃棄実費などを質問
質問に立った渡辺千護町議は、2022年10月26日に実施した海岸清掃、および同月27日と11月24日に実施した海底清掃で、「実際に集めて廃棄したごみの量について、それぞれの日に分けて示してほしい」と質問。加えて、ごみの処分方法や廃棄にかかった実費も明らかにするように求めた。
海底清掃事業について一般質問をする渡辺千護町議=中央(2024年3月11日、屋久島町議会YouTubeチャンネルより)
荒木町長、1トン袋で計10個を産廃処分と説明
それに対し荒木町長は、10月26日の海岸清掃および同月27日の海底清掃で集めたごみの量は1トン袋で5個分、11月24日の海底清掃では1トン袋で5個分だったと答弁。処分方法については、「漁網やウキなどのごみが多く、産業廃棄物として島外へ運ばれ、適正に処分されている」とした。
また、実際の廃棄費用について、荒木町長は「契約額のなかに包括されており、増減のあった項目ごとの個別経費の報告は受けていない」と説明。それを踏まえ、「現在、確認の申し入れを行っている」と述べ、同社から実費が示された段階で報告する方針を示した。
廃棄実費、総価契約を理由に回答せず
海底清掃事業で集めたごみをめぐっては、その総量や廃棄費用を報告していない町と同社に対し、屋久島ポストと一部の町議が、同事業が寄付金で実施されていることを踏まえ「事実確認として、回収したごみの総重量と廃棄の実費を教えてほしい」などと要望してきた。だが町と同社は、同事業の業務委託契約が「総価契約」であることを理由に、廃棄実費については確認と回答を拒否。ごみの量については、海底清掃業務を再委託した別の業者が「適正に管理している」と説明するに留まっていた。
海底清掃で回収されたごみの写真。屋久島町の委託業務として、業者が配信したウェブサイト記事に掲載されている(ocean+α「ふるさと納税で屋久島の海をきれいに! ダイバーたちが世界遺産の海を次世代に繋ぐ」より)
ごみの総量と廃棄実費、実施報告書に記載なし
同社が町に提出した同事業の見積書によると、「ゴミ回収廃棄費用」の単価は5万円で、数量を「20」として計100万円と記載。その上段に「※下記は、終了後実費精算」と明記され、事業が終了したのちに実費精算する旨の記述があった。
ところが、同社が町に提出した「実施報告書」では、回収したごみについて「40分ほどの作業でフレコン3袋」「40分ほどでプラスチック片やペットボトルを多く回収」などと記載。実際に回収したごみの総量と廃棄にかかった実費は示されず、事業終了後の実費精算も行われていなかった。
担当課長「実費を示さなくていい法的根拠はない」
今回、一転して廃棄実費を報告する方針になったことについて、同事業を担当した町観光まちづくり課の泊光秀課長は取材に対し、法律の専門家である町法務事務専門員に相談したところ、「見積書に実費精算と記載がある場合は、業務委託契約が総価契約であったとしても、実費を示さなくていい法的な根拠はないという判断になった」と説明。今年1月に屋久島ポストが取材した際に、泊課長が「業務委託契約書に実費精算が必要とは記載されていない」として、同社に廃棄実費の確認をしなかった対応については、「誤った判断だった」と認めた。
海底での清掃活動は計2時間のみ
この海底清掃事業をめぐっては、総事業費の約1700万円のうち、その約7割にあたる約1165万円が海底清掃そのものではなく、清掃活動を広報する動画と観光パンフレットの制作に支出されていたことが判明。また、実際に海底で清掃した潜水時間が合計で2時間だったことなどがわかっている。
【動画】海底清掃事業に関する渡辺千護町議の一般質問(2024年3月11日、屋久島町議会YouTubeチャンネルより)