海底清掃問題

【視点】相次ぐ訴訟 弁護士費用の負担重く 屋久島町 海底清掃事業・住民訴訟

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法務事務専門員、一転して訴訟対応せず 町、弁護士事務所と上限額132万円で契約

専門員「今後は法務相談に専念したい」
法務事務専門員
【上左】屋久島町「ふるさと納税」のロゴ(町ウェブサイトより)【上右】鹿児島地裁(裁判所ウェブサイトより)【下】屋久島町役場

 なぜ、屋久島町の法律顧問である法務事務専門員は、住民訴訟の指定代理人として弁護をしないのか?

 屋久島町が「ふるさと納税」の寄付金を活用して2022年度に実施した海底清掃事業をめぐる住民訴訟で、町は代理人の弁護士費用として、着手金66万円、成功報酬66万円(上限額)の計132万円で弁護士事務所と契約した。だが、これまであった2件の住民訴訟で町は、弁護士費用を支払うことなく、法務事務専門員と総務課の職員を指定代理人にしてきた。それなのに、どうして町は今回も法務事務専門員に訴訟の弁護をさせないのか?

法務事務専門員、2件の山海留学訴訟でも指定代理人に

 総務課によると、河野通孝・法務事務専門員から「今後は法務相談に専念したい」と要望があり、今回から鹿児島市内の弁護士事務所に代理人を依頼することになったという。しかし、河野専門員は住民訴訟だけでなく、山海留学の体罰やケガをめぐる2件の損害賠償請求訴訟でも、町の指定代理人を務めてきた。それにもかかわらず、なぜ今回から急に町の弁護をしないと言い出したのか?

 指定代理人による民事訴訟とは、国や地方自治体から指定された職員が、当事者として訴訟を争うことだ。法曹資格がある職員が務めることが多く、民間の弁護士に代理人を依頼する必要がない。それゆえ、弁護士費用を公金から支出しなくて済むことになる。

訴訟対応が前提の年報酬144万円

 元弁護士の河野専門員は、長年にわたって町の法律顧問をしている。町政運営で法的な判断を迫られた際に助言をしたり、訴訟で指定代理人を務めたりしてきた。2018年に山海留学の訴訟が提起され、指定代理人をすることになったことを受けて、報酬が年120万円から144万円に引き上げられている。

 つまり、屋久島町の法務事務専門員は、法務相談だけでなく、訴訟の指定代理人を務めることを前提にして、その報酬が支払われているということである。

過重労働死訴訟では上限額990万円の弁護士費用

 ここ数年、屋久島町は相次いで訴訟を起こされている。202310月には、町営牧場で過重労働死した職員の遺族が約7000万円の損害賠償を求めて提訴。町は着手金330万円、成功報酬660万円(上限額)の計990万円で弁護士事務所と契約している。

 そして今回、3件目の住民訴訟が提起されたが、2023年度の海底清掃事業でも違法の疑いがある支出があり、続けて別の訴訟が提起される可能性もある。そうなると、再び弁護士費用が発生し、さらに町の財政を圧迫することになる。

しかるべき弁護士の助言で訴訟のない町づくりを

 忘れてはいけないのは、これらの弁護士費用は、その全額を屋久島町民が負担しているということだ。不適切な町政運営で提訴された責任は荒木耕治町長ら町幹部にあるが、その後始末を私たち町民がしているということである。

 これを機会に、町は訴訟対応をしない法務事務専門員との契約を打ち切り、しかるべき弁護士事務所と顧問契約を結ぶべきだ。そして、適切な法的助言を受けて、訴訟のない町づくりをめざしてほしい。


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  1. 高い弁護料

    ある時、法務事務専門員と話をする機会がありました。彼の言葉です。
    「私が法務事務専門員を受けているのは、一町民として、少しでも屋久島町が良くなることを願いながら仕事をしています」と。
    これまでの出来事や住民訴訟等への対応をみれば、100パーセントは納得できないにしても、偽りのない言葉だと思っています。
    今回の「法務相談に専念する」という言葉が、それにあたると思っています。
    あまりにも杜撰な事業管理であり、業者の言いなりの予算執行に、法務事務専門員として正しい判断をした上でのことだと思われます。
    どんな高額な弁護料金を負担しても、善は善、悪は悪です。
    何かと問題が起きる町役場ですが、つぶさに観察していく必要がありそうです。

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