未回収の1330万円、屋久島町が業者に損害賠償請求訴訟を提起へ 補助金不正請求事件
国、虚偽の工事完成日で請求された国庫補助金の返還を命令 → 町「工期内に工事が終えられなかった業者の責任」
加算金135万円、住民訴訟で荒木町長の賠償責任を認定

【左】屋久島町が国に提出した虚偽の検査調書【右】国への虚偽報告について取材に応じる屋久島町の荒木耕治町長=2021年12月1日、屋久島空港
屋久島町が水道工事の国庫補助金を請求する際に虚偽の工事完成日などを報告し、国から約1668万円(補助金と加算金)の返還命令を受けた問題で、町から工事業者に損害賠償請求した金額のうち、未回収となっている約1330万円について、町が業者に対して損害賠償請求訴訟を提起する方針を固めたことが、町総務課への取材でわかった。町は8月に開かれる町議会定例会に訴訟提起の議案を提出し、承認されれば提訴する。
未回収となっているのは、国に返還した約1668万円のうち、5業者が賠償した約203万円と、住民訴訟の判決に従って荒木耕治町長が賠償した約135万円(加算金)を差し引いた約1330万円(補助金)。
町は2022年8月、補助金の返還命令を受けたのは、2021年3月末の「工期内に工事が終えられなかった業者の責任」だとして、6業者に賠償請求をした。だが、最も工事が遅れていた第5工区を担当した1業者だけが応じなかったため、約1465万円が未回収となった。
その後、荒木町長らの管理責任を問う住民訴訟が提起され、町は最高裁まで争ったが、2025年3月に上告は棄却。国に納付した加算金の約135万円については、荒木町長に賠償責任があることが認定されたため、未回収の金額は約1330万円となっていた。
町、業者の法人登記を確認し提訴へ
町総務課によると、住民訴訟の判決を受けて、町は鹿児島市内の弁護士事務所に相談し、約1330万円を賠償請求できるかどうかを検討。その結果、すでに相手方の業者は同町内の事務所を閉めているが、法人としての登記は確認できたとして、民事訴訟を提起することを決めたという。
訴訟の提起には町議会の議決が必要となる。そのため、町は8月に開かれる町議会定例会に訴訟提起の議案を提出し、承認が得られれば、鹿児島地裁に損害賠償請求訴訟を提起する。
