【控訴理由】荒木町長、一審判決に「重大な事実誤認」と主張 屋久島町補助金不正請求・住民訴訟

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「再調査、国への報告をしなかったことを注意義務違反と判断した理由について必ずしも納得し得ない」

「町報やくしま」202310月号に控訴理由を掲載
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 屋久島町が2020年度に実施した水道工事の補助金不正請求をめぐる住民訴訟の控訴審で、福岡高裁宮崎支部(西森政一裁判長)925日、荒木耕治町長に135万円の賠償責任があることを認める判決を言い渡した。

 この控訴審は20239月、国への虚偽報告で生じた加算金135万円の賠償責任が荒木町長らにあることを認めた鹿児島地裁の一審判決を不服として、屋久島町が申し立てたものだ。控訴したのち、荒木町長は同年10月号の「町報やくしま」で、「再調査、国への報告をしなかったことを注意義務違反と判断した理由について必ずしも納得し得ない」「重大な事実誤認がある」などと主張。さらに「今後の行政の運営の観点からも改めて上級審の判断を仰ぐのが望ましい」として、控訴を決めた理由を伝えた。

 それから1年が経ち、町が申し立てた控訴審は、荒木町長の賠償責任を認める形で判決が出た。それを踏まえ、屋久島ポストは町報に掲載された記事テキストを以下に掲載し、荒木町長が控訴した理由を紹介する。

*   *   *

口永良部島簡易水道事業補助金返還に係る裁判の対応について

 本件につきましては、テレビや新聞等でご覧になられた多くの町民の皆様にご心配をおかけしております。

 この裁判は、当初、令和元年度から2年度にかけて国庫補助事業として行われた口永良部島簡易水道等施設整備事業に関して国から補助金の一部の返還を求められたのは、町が行った一連の不正請求が原因で、担当課長が工事が完了していないにもかかわらず完了した旨の内容虚偽の報告書を提出し、町長と副町長がその事実を知りながら報告せず、放置、隠蔽したことによるものであるから、町は、町長ら3名に対し、国家賠償法12項に基づき、国に返還した補助金及び加算金相当額、総額1,6677,534円を求償請求せよという内容の住民訴訟でした。

 この訴えに対し、鹿児島地裁は、一度終結した弁論を再開し、一連の不正請求、国家賠償法12項に基づく求償という原告の主張を排斥したうえで、職権で、「補助金の返還という損害は、町長らが報告書の内容が虚偽であることを知りながら適切な調査や国への報告をしなかったことなどが原因だから、町は町長ら3名に対し、民法709条に基づいて損害の賠償請求をせよ」という事務処理上の過誤という注意義務の問題に訴えの内容を変更し、その内容に沿って、①町長らが適切な対応をしていたとしても未完成の補助事業部分に対する補助金の返還を免れたとはいえないから、町長らには補助金本体の賠償義務はない、②報告書の内容が虚偽であることを知っていた町長らには損害回避のために適切な調査、国への報告をすべき義務があり、これを怠った点で注意義務違反の違法があるから町はそれにより生じた加算金相当額の損害1352,204円について町長ら3名に賠償請求せよと、判示しました。

 町は、行政を担う立場にあることから、裁判所のこの判断を尊重し、判決に従うことも考えましたが、熟慮の末、本判決には、町長らの作為義務の内容、「完了していないのは町単独事業部分だけなので補助金手続きには問題がない」との担当管理職(当時)の報告を信用、信頼し、再調査、国への報告をしなかったことを注意義務違反と判断した理由について必ずしも納得し得ない点、さらには重大な事実誤認がある点など、町としては今後の行政の運営の観点からも改めて上級審の判断を仰ぐのが望ましいとの考えに至り、控訴することとしたところです。

 詳細は控訴理由書で主張する予定です。

令和510月 屋久島町長 荒木耕治

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