屋久島町 頑なに提出を拒む職員らの聴取記録 補助金不正・住民訴訟
住民「不正事案の解明に必要不可欠」➡
町「請求原因と関連性ない」「原告に有利な証拠は自ら提出すべき」
第3回口頭弁論で結審 鹿児島地裁
【左】屋久島町が国に提出した虚偽の検査調書【右】屋久島町の荒木耕治町長
国に虚偽報告をした町職員らへの聴取記録。住民は証拠提出を認め続けたが、町は最後まで提出に応じなかった――。
屋久島町が水道工事で補助金を申請する際に虚偽の「工事完成日」などを報告し、国から補助金の返還命令を受けたのは町幹部の責任だとして、同町の住民が町を相手取り、荒木耕治町長ら幹部3人に約1668万円を賠償請求するように求めた住民訴訟が2月8日、鹿児島地裁(坂庭正将裁判長)で結審した。
最後の審理となった第3回口頭弁論で、住民が証拠提出を求めていた職員や工事業者への聴取記録について、町側は「今回の(賠償)請求には関連性がない」と主張。それに対し、住民は「不正事案の解明を阻害する対応」などと反論したが、地裁が町側の主張を認めて、訴訟の審理が終わった。
訴訟で初判明 虚偽報告書「職員が独断で提出」
補助金返還に対する法的責任の所在を明らかにするうえで、工事に関わった職員や業者の聴取記録は重要な証拠だが、これまで住民と町の双方はどのような主張をしてきたのか。
発端は昨年11月2日の第1回口頭弁論。町側が地裁に出した答弁書で、国に提出した虚偽の事業実績報告書について、担当職員が上司の決裁を受けずに公印を押し、国に「独断で提出」したと初めて明らかにしたことだった。
町側にも法的責任の可能性
職員が「独断で提出」した事実について、それまで町側は町議会でも公表していなかった。そして、補助金返還に至った法的責任について、町幹部は「工事遅延を招いた業者にある」と町議会で主張。だが、職員の「独断」が事実だとすると、業者側だけでなく、町側にも一定の法的責任がある可能性が出てくる。
そこで、住民は昨年12月21日の第2回口頭弁論で「求釈明申立書」を地裁に提出。補助金を不正請求した経緯を解明するうえで、「関係した全職員と全工事者の証言は必要不可欠」として、町側に職員や業者への聴取記録を証拠提出するように求めた。
聴取記録の公表で「相手方との信頼関係を損なう」
ところが、町側は昨年12月27日付の準備書面で、住民の求めには応じず、証拠提出を拒否。主な理由は次の3点だった。
①訴訟の請求原因事実との関連性がなく、証拠提出の必要はない。
②事情聴取は公表することを前提として実施されておらず、聴取記録を公表すると相手方との信頼関係を損ない、今後、同種の事業を遂行するうえで支障となる。
③原告住民に有利な証拠の提出は、原告が自らの責任でなされるべきである。
町長も望む不正事案の解明「積極的に提出を」
それに対し、住民は1月14日付の準備書面で反論。主に次の3点について主張した。
①虚偽報告の事実を町役場で内々に把握したのち、町幹部が不正調査や国への報告をせず、約7カ月間にわたって放置した経緯を明らかにするうえで、職員や業者への聴取記録は必要不可欠である。
②荒木町長が裁判結果を踏まえて、職員ら関係者の責任の所在を明らかにしたいと町議会で述べており、訴訟で不正事案を解明するためにも、町側は積極的に証拠提出するべきである。
③町側には不正事案を解明する責務があり、職員や業者への聴取記録を一切開示しないのは、税金で運営されている地方自治体として、到底あり得ない対応である。
「地方自治体として極めて不誠実」
さらに2月8日の第3回口頭弁論で住民は、これらの主張に対しても町側が証拠提出に応じていないことについて、「地方自治体として極めて不誠実な対応」と批判。続けて、「1万2000人の屋久島町民を代表して、杜撰かつ無責任な行政運営を正す」ことが目的だとして、重ねて証拠提出に応じるように強く訴えた。
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