【詳報】荒木町長の過失を認める厳しい控訴審判決 屋久島町補助金不正請求・住民訴訟
加算金135万円、虚偽報告の事実を国や県に報告していれば「支払い義務は生じなかった」
【左上】屋久島町が国に提出した虚偽の検査調書【左下】控訴審が行われた福岡高裁宮崎支部(裁判所ウェブサイトより)【右】国への虚偽報告について取材に応じる屋久島町の荒木耕治町長(2021年12月1日、屋久島空港)
虚偽の工事実績報告書が提出されたことを知りながら、その事実を国や鹿児島県に報告せず、実際の工事の進捗状況を確認する指示もせずに国から補助金を受け取ったのは、荒木耕治町長の過失である――。
屋久島町が2020年度の水道工事で補助金を受給する際に、虚偽の工事完成日を報告し、国から補助金の返還命令を受けたのは町幹部の責任だとして、同町の住民が町を相手取り、荒木町長ら幹部3人に約1668万円(返還した補助金と加算金)を賠償請求するように求めた住民訴訟の控訴審で9月25日、荒木町長に加算金135万円の賠償責任があることを認める判決が言い渡された。一審判決で認定された日高豊・前副町長ら幹部2人の責任は取り消され、荒木町長がすべての賠償責任を負うべきだとされた。
町、一審判決に不服で控訴
この控訴審は2023年9月、加算金135万円の賠償責任が荒木町長ら幹部3人にあることを認めた鹿児島地裁の一審判決を不服として、屋久島町が申し立てた。町は補助金を返還し、加算金を納付することになった原因は、工事が期限内の2021年3月末までに完成しなかったからであって、国に虚偽報告をしたからではないなどと主張して、一審判決の棄却を求めた。
補助金適正化法に違反して補助金を受領
だが、福岡高裁宮崎支部(西森政一裁判長)の判決は、町のトップである荒木町長の管理責任を問う厳しい内容だった。
荒木町長は2021年4月14日に虚偽報告があったことを把握したにもかかわらず、その事実を国や県に報告しなかった。そして、実際の工事の進捗状況を確認するように指示することもなく、補助金適正化法に違反する形で4月19日に国から補助金を受け取った。
その荒木町長の過失によって生じた加算金について、判決理由では次のように指摘された。
<本件工事の一部が完了していないことを国や県に報告する必要はないと判断し、請負業者からの事情聴取をすることも、本件工事の現場に職員を派遣するなどして、本件工事の進捗状況の確認をするよう指示することもなく、国庫補助金を収納する手続を進めたことによって生じた屋久島町の損害につき、屋久島町に対し損害賠償責任を負うというべきである。>
さらに、加算金が発生した原因については、次のように判断された。
<荒木が上記措置を講じていれば屋久島町に支払い義務が生じることはなかったといえるから、荒木の行為と相当因果関係にある損害ということができる。>
返還した補助金1514万円、町の損害にあたらず
その一方、日高前副町長ら幹部2人については、地方自治法で定められた財務会計行為の損害賠償義務を負う「当該職員」にあたらないとして、2人に賠償責任はないとされた。
また、返還した補助金1514万円については、<工事が完成していなければ収納できない金員であり、本来収納すべきではない金銭を返還したにすぎないから、荒木の行為と相当因果関係のある損害とは認められない。>と判断された。
町、訴訟の前提要件となる住民監査請求は「不適法」
また、住民訴訟の前提要件となる住民監査請求が出された時期についても、控訴審では大きな争点になった。
町は、住民監査請求が出された2022年5月9日の時点で、問題となる補助金を受給した2021年4月19日から、法的に監査請求が可能な1年以上を経過していたなどと主張した。
住民、補助金受給の時点で「賠償請求権は発生せず」
それに対し住民は、町が2021年4月19日に補助金を受給しただけでは、国が補助金の返還命令を出すか否かは不明であり、住民側に損害賠償の請求権は発生していなかったと反論。荒木町長らに対する賠償請求権は、国が補助金の返還命令を出した2022年3月16日に発生しており、その約1カ月半後に出された住民監査請求は適法だったと主張した。
判決、補助金返還の確定から1年以内の住民監査請求で適法
両者の主張を踏まえ、判決理由では<具体的に国に返還すべき国庫補助金の額が明らかになり、それに伴う加算金の額を算出することもできるようになった令和4年(2022年)3月16日を基準>にすべきだと指摘。そして、住民は<同日から1年以内である同年5月9日に、令和3年(2021年)4月19日入金の国庫補助金7194円の収納を指摘して、本件監査請求をしているから、住民監査請求の期間内に住民監査請求をしたと認めるのが相当である。>とされた。
住民「第三者の調査で再発防止策を」
控訴審判決を受けて、住民訴訟を提起した住民は「町長の過失を認める司法判断が出た以上は、まずは第三者的な調査をして、再発防止策を講じるべきだ。そして、町トップの責任を明確に認める判決を肝に銘じて、荒木町長には杜撰な町政運営を改めてもらいたい」と話した。
町「これから判決文を精査する」
一方で町総務課は、まだ荒木町長が判決文に目を通していないことを踏まえ、「これから判決文を精査して、町長と今後の対応を検討する」としている。
これだけ大きな問題の結果をメディアが報道していない中、ポストの詳述には見事と言う他は無い。
まさか此れ以上、上告をして無駄な努力はしないとは思うが、
訴訟を提起した住民のコメントに有るように、杜撰な行政運営を改める努力こそするべきである。