屋久島町、うその検査調書を根拠に工事代金を前払い 鹿児島県屋久島町・補助金不正請求事件

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町「完成確認できなかったが、業者を信じた」と国に報告

地方自治法違反を知りながら前払いか?

 鹿児島県屋久島町の補助金不正請求事件で、町が工事完成前に工事代金を業者に前払いした理由として、工事の完成を証明する「検査調書」があったためと国に説明していたことがわかった。町は20214月上旬に検査調書にうその工事完成日が記載されていることを把握していたが、その後も工事の完成を確認することなく、同年5月末に約2300万円の支払いを完了。工事代金などの前払いを禁止する地方自治法に違反することを認識しながら、町が業者に前払いをした疑いが出てきた。工事を担当した町生活環境課は取材に「早期に工事を完了するという業者を信じた」と話している。

検査調書2

 今回の問題を受けて、町が202231日に国に提出した報告書によると、工事代金の前払いについて、町は「請負業者からの報告が少なく、また、職員が年度当初の水道業務に追われスケジュールが取れず現地確認ができない状況」だったと説明。そのうえで、「請負業者の早期に工事を完了するという連絡を信じ」「検査調書があるという理由で支払ってしまいました」と報告している。

工事未完成なのに検査調書には「工事完成」

 しかし、町が代金支払いの根拠とした「検査調書」をめぐっては、実際には工事が終わっていないのに、2021319日に工事が終わったとする虚偽の「工事完成日」などが記載されていたことが、屋久島ポストの取材で明らかになっている。

 これまでの取材によると、荒木耕治町長ら町幹部は同年412日にその虚偽記載について把握したが、国に報告せずに7カ月間にわたって放置。その間、町は同年56日に工事代金の「支出命令書」を作成し、同月28日に業者へ約2300万円の支払いを済ませた。だが、その3日後に工事現場を確認したところ、工事が終わっていないことが判明。支出命令書を決裁した荒木町長は、工事が終わったかどうかを担当課に確認せずに、決裁印を押したという。

支出命令書
うその検査調書を根拠に作成された工事代金の支出命令書。工事完成の確認をしないまま決裁したため、業者に2300万円を前払いする結果となった

工事代金の前払いは地方自治法違反

 地方自治法2325項では、「普通地方公共団体の支出は、債権者のためでなければ、これをすることができない」と定められている。つまり、契約どおりに工事を終えていない業者は「債権者」ではないため、町がその業者に工事代金を支払った場合は、同法に違反したことになる。また、工事完成を確認せずに支出命令書を作成し、実際に前払いをした場合は、刑法の虚偽有印公文書作成・同行使の疑いも出てくる。

元担当課長、前払いの理由は「報告書に書いてあるとおり」

 工事を担当した当時、生活環境課長だった同課の矢野和好参事は取材に対し、業者へ支払いをした理由について「(国への)報告書に書いてあるとおり」と説明。また、前年度予算の執行期限となる「出納閉鎖」直前の528日に支払った点については、「理由はわからない」と述べ、今後に検証したいとした。

業者側「返還命令は町の責任」

 この工事で国の補助金を受けるには、2020年度中に工事を終わらせることが条件だった。だが、実際には同年度内に工事が終わらなかったため、町はすべての工事が終わったとする虚偽の検査調書などを国に提出。それを受け、厚生労働省が補助金の返還命令を出し、町は2022324日に加算金を含めた約1668万円を返還した。

 国の返還命令をめぐっては、町は「工事が遅れた業者に責任がある」として、全額を複数の業者に請求する方針だ。それに対し、業者側からは「工事が未完成なのに、町が無理に完成検査をして虚偽の検査調書を提出したのだから、業者に責任はない」などと批判が出ている。


修正事業報告書-3
屋久島町が国に提出した報告書の一部。工事代金の前払いになった点について、検査調書があったことなどを理由にしている

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