うそを書いてもいいの? よくないの? きょう屋久島町議会の全員協議会が開催 補助金書類うそ記載問題
国民の税金の使い方、地方議会はチェック機能を果たせるか
町、うその「工事完成日」記載問題を全町議に初めて説明へ
▶この記事のポイント
・町議の姿勢と認識が明らかになる
・国と県は虚偽の事業実績報告は受け入れず
鹿児島県屋久島町が、同町の水道整備工事で国に補助金の申請をする際に、うその「工事完成日」を文書に記載して補助金1億1000万円を受け取った問題をめぐり、町議会は11月19日に全員協議会を開く。工事を担当した生活環境課から初めて説明を受ける。町議の全員が出席する全員協議会で、この問題に対する、それぞれの町議の姿勢が明らかになる。果たして、うその記載を容認するのか、それもとも問題の解明に踏み出すのか──。町行政の監視とチェック機能を担う町議会の対応が注目される。
注目点を整理した。
注目点1/町議はうそを容認するか、しないのか
今回の問題は、「屋久島ポスト」が11月9日に報じて発覚した。
国が2021年3月を最終工期する水道施設整備事業で、町は「3月19日」を工事完成日とする事業実績報告書を厚生労働省に提出し、補助金1億1000万円を受け取った。だが、実際に工事が終わったのは今年8月のお盆明けだった。
屋久島町の日高豊副町長と生活環境課の矢野課長は11月11日に鹿児島県庁を訪ね、今回の工事について「国の補助事業部分は終わっていた」と弁明した。だが、県は「すべての工事が終わってから事業実績報告をするべきだ」として、町が書類に記載した「工事完成日」は「事実と違う」との認識を示した。
さらに、補助金を交付した厚生労働省は取材に、「仮に日付を偽った虚偽の報告となると、補助金の返還を求める可能性がある」と答えた。そのうえで、うその記載について、悪質性があるか否かを調査し、「全額返還の場合もあるし、一部返還の場合もある」と話した。
うその「工事完成日」を補助金の申請をする書類に書いてもいいのか、まずは町議一人ひとりの認識が注目される。
屋久島町が国に提出した水道工事の検査調書。工事はすべて終わっていなかったが、「契約図書に基づき良好に施工されている。(合格)」と手書きで記載されている
注目点2/荒木町長の責任は?
この虚偽報告について、矢野課長は事実を認めたうえで、「今年の夏ごろ」に荒木耕治町長に報告したと説明。しかし、荒木町長はその事実を知った後も、国や県に報告することなく、屋久島ポストが報道するまで、約4カ月間にわたって放置していた。
町議会は町のトップの責任をどう判断するのか?
屋久島町の荒木耕治町長
注目点3/「なぜ」を解明できるか?
この問題について、屋久島ポストが取材を進めていた10月28日、町議会の決算審査特別委員会に矢野課長が出席。実際に工事が終わったのは、国に報告した「工事完成日」より5カ月後だったことを説明した。それを受けて、特別委はこの事業に関する決算を不認定とした。
さらに、特別委の町議8人は11月16日に口永良部島の工事現場を視察したが、町側からは、うその「工事完成日」を記載した点について、何も説明はなかったという。一方、これまで町が主張している「国の補助事業部分は今年3月末の工期内に工事が終了していた」という点については、工事が終わったことを証明する写真は存在しないことがわかった。
現地調査を終え、特別委の榎委員長は取材に応じ、町がうその「工事完成日」を記載した点について、「当然、いけないことだと思う。それは町も認めている」と、うその記載を容認しない考えを初めて明らかにした。だが、今後の調査で関係者から事情を聴くのかどうかを尋ねると、明確には答えなかった。
補助金の申請の書類にうその「工事完成日」を記載していた事実は町も認めている。議会は、なぜうその記載をしたのか、また、どのような方法で記載したのか。そうした疑問の解明に踏み出せるか注目だ。
水道工事の現地視察をする屋久島町議会・決算審査特別委員会の委員ら(2021年11月16日、屋久島町の口永良部島、関係者提供)