【被告 答弁書】虚偽報告した職員の説明を鵜呑みにする町幹部 屋久島町補助金不正・住民訴訟
担当職員「補助金部分の工事は完了」「国への報告の必要はない」➡ 町幹部、虚偽説明を信じた末に補助金1668万円を返還
屋久島町が提出した答弁書には、荒木耕治町長ら町幹部が虚偽報告の事実を国に報告しないと判断した経緯が詳細に綴られている
屋久島町が水道工事で国に補助金を申請する際に虚偽の「工事完成日」などを報告して、国から補助金1668万円の返還命令を受けたのは町幹部の責任だとして、町に対して荒木耕治町長ら幹部3人に損害賠償を命令するように町民が求めた住民訴訟――。
被告である町が鹿児島地裁に提出した答弁書を精読すると、荒木町長ら町幹部が虚偽報告の事実を国に報告しなかったのは、虚偽報告書を作成した元担当職員の説明に従ったからだとする経緯が詳細に綴られている。元職員は「(国の)補助金部分の工事は完了」しているので、「国への報告の必要はない」と説明。それを受け、荒木町長ら幹部は「あえて県や国に対して報告する必要はない」との結論に達したという。
だが、その元職員の説明は虚偽だった。
国への事業実績報告書には、すべての工事が完成したことを証明する検査調書などを添付する必要があるが、実際には工事は未完成のままで、検査調書の内容も虚偽だった。さらに、元職員が完成したと説明した「(国の)補助金部分の工事」も実は未完成で、最も工事が遅れていた工区については、国に報告書を提出した時点で、全体のわずか15%ほどしか完成していなかった。
屋久島町が国に提出して工事完成を証明する検査調書。実際には全工事の約15%しか工事が終わっていないにもかかわらず、すべての工事が完成したという虚偽の内容を記載していた(※黒塗り部分は屋久島町の判断で非開示)
虚偽報告の事情を聴取された元職員の説明について、それが事実なのか否か、なぜ荒木町長ら幹部は国に確認することなく、何も疑わなかったのか。そして、その一方的な虚偽の説明を鵜呑みにして、約7カ月間にわたって国への報告を怠った結果、町は国から補助金1668万円の返還命令を受けることになった。
町の答弁書のなかから、荒木町長ら幹部が虚偽報告の事実を国に報告しなかった経緯に関わる記述を以下に抜粋する。答弁書で担当職員は実名で記載されているが、記事では「職員A」などと匿名にする。( )内の説明は屋久島ポストが補足した。
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虚偽報告した担当職員「国への報告の必要はない」
この打ち合わせは支払期日が迫っていた職員Aの退職金の支払い差し止める(原文ママ)べきかどうかと遅滞した請負業者に対するペナルティを検討するものであった。
また、荒木が(虚偽報告の事実を)県や国に報告をしなかった理由は、職員Aへの退職金の支払い差し止めの是非については改めて本人から事情を聞く必要があるとして設けられた4月14日の打合せにおいて、職員Aから「(国の)補助金部分の工事は完了しており補助金の交付については問題がない、(町の)単独事業分の遅れについては県や国への報告の必要はない」との説明があったため、改めて報告する必要はないと考えたからである。したがって、意図的に(虚偽報告の事実を国に報告せず)放置したとの事実はない。
屋久島町が提出した答弁書には、荒木耕治町長ら町幹部が虚偽報告の事実を国に報告しないと判断した経緯が詳細に記載され、「意図的に放置したとの事実はない」などとされている
職員の事情聴取を踏まえ、荒木町長「完成を急ぐように」と強い指示
4月14日、職員Aを召喚したうえで、職員B、職員D、職員E、矢野(和好・生活環境課)課長、(河野通孝)法務事務専門員、総務課長、副町長、町長を交えた打合せが再度行われたが、会議の目的はもっぱら虚偽公文書を作成し、行使した職員Aの処分問題であり、すでに同人が退職しているため懲戒処分はできないことから差し迫った退職金の支給を停止するかどうかが中心課題であった。
この打ち合わせにおいて、補助金に関しては、職員Aから、町単独事業の内容は、各家庭に配水する接続部分を、旧本管から新たに敷設した本管とつなぎ替えを行うもので、対象件数も少ないことから、工事日数は数日で済むだろうと報告され、併せて、(国の)補助事業分については完成しており補助金請求、支払いには影響がない、(町の)単独事業分については県や国に報告しなければならないとの定めはないから報告の必要はないとの説明がなされた。そのため、町としてはあえて県や国に対して報告する必要はないであろうとの結論に達し、町長からとにかく、町民の利便のために完成を急ぐようにとの強い指示がなされた。
「故意による放置、隠蔽といった事実はまったくない」
荒木、日高の両名についても(中略)、職員Aから「補助金部分の工事は完了しており補助金の交付については問題がない、単独事業分の遅れについては県や国への報告の必要はない」
との説明があったため、 改めて報告する必要はないと考えたからであり、原告が主張するような故意による放置、隠蔽といった事実はまったくないから、同人らの対応には不法行為法上の損害賠償をしなければならないほどの違法性があるとは考えられない。
●提出証拠:河野通孝・法務事務専門員への指導・助言依頼書
屋久島町は裁判の証拠として、虚偽報告書を作成した担当職員に対する処分などの対応を検討するため、河野通孝・法務事務専門員に出した「法律問題等についての指導・助言依頼書」を提出した(※画像の一部を加工しています)
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