国への虚偽報告めぐり控訴審で攻防へ 屋久島町補助金不正請求・住民訴訟

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町、実績報告を義務付けた補助金適正化法14条違反に「手続き上の違反に過ぎない」
住民「報告書に事実を記載するのは当然の法的義務」

12月13日に初回の控訴審
控訴審①
【左上】控訴審が行われる福岡高裁宮崎支部(裁判所ウェブサイトより)【左下】屋久島町が国に提出した虚偽の検査調書【右】屋久島町の荒木耕治町長

 屋久島町が国に虚偽報告をして、水道工事の補助金1668万円を返還した町幹部の責任を問う住民訴訟・控訴審の第1回口頭弁論が1213日、宮崎市の福岡高裁宮崎支部で開かれる。鹿児島地裁は一審判決で被告の町に対し、補助金返還時に納付した加算金135万円を荒木耕治町長ら幹部3人に賠償請求するように命じたが、町は判決に「重大な事実誤認がある」などとして控訴している。

 初回の口頭弁論を前に、町の控訴理由書および住民の答弁書を踏まえて、双方の主張を紹介する連載の1回目では、事業実績の報告を義務付けた補助金適正化法14条の解釈について取り上げる。

    

一審「加算金の納付は免れることができた」

 一審判決で鹿児島地裁は、水道工事が未完成だったにもかかわらず、すべての工事が完成したとする事実と異なる報告書を提出したことが、補助金適正化法の111(補助事業等及び間接補助事業等の遂行)および14(実績報告)の違反に当たるとして、「国庫補助金交付決定の一部が取り消された」と認定。そして、荒木町長らが虚偽報告の事実を国に報告する義務を怠っていなければ、補助金の受領を避けることができ、少なくとも加算金の納付は免れることができたとしている。

町、虚偽報告が「交付取消の理由である根拠はない」

 それに対し、町は控訴理由書で「内容虚偽の実績報告書の提出そのものが取消理由であるとの根拠はない」と主張。さらに、虚偽報告が交付決定の取り消し理由でなければ、荒木町長らに虚偽報告の事実を国に報告する義務はなく、一審判決は「前提を誤るものである」と反論している。

住民、「工事未完成」と「虚偽報告」で補助金返還に

 町の反論を受け住民は答弁書で、補助金の交付決定が取り消されたのは「工事が未完成だったことに加え、工事が未完成の段階で、すべての工事が完成したとする事実とは違う虚偽の報告をしたことが理由である」と主張。一審判決は、一部の工事が未完成であったことに対する同法11条違反と、虚偽報告に対する同法14条違反の二つを前提にしたもので、「交付決定の取消理由に『虚偽報告をした事実』が含まれるのは明らかである」としている。

 また、実績報告を義務付けた同法14条の解釈をめぐっては、町と住民の間で主張が大きく食い違っている。

一審判決は「不合理」「審理不尽」と批判

 同法14条について、町は「あくまでも国庫補助金交付手続きにおける実績確認のために報告書の提出義務を定めている規定」「いわば手続き上の違反に過ぎない」などと主張。さらに、14条違反を交付決定の取り消し理由とした一審の判断に対して、「これが常識的に考えて不合理であることは明らか」「審理不尽、理由不備に当たる」と批判している。

14条違反「町に都合よく解釈」

 それに対し、住民は「報告書に事実を記載するのは当然のことであり、その法的な義務が果たさなければ、その行為そのものが交付取消の理由であることは明らかである」と反論。同法14条違反を「手続き上の違反に過ぎない」とする町の主張については、「第14条を自身に都合がいいように解釈した主張」「まるで『軽微な違法行為』であったかのような主張」だと指摘したうえで、同法11条と14条の二つの違法行為を前提にして、一審判決が言い渡されていると主張している。

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