「うそ」放置の町長は何を語る? あす、町議会全員協議会 鹿児島県屋久島町・補助金申請うそ記載問題
ほかの公共工事に「うそ」はない?
うそは良いのか、悪いのか? 町のトップの認識は?
町議会、チェック機関の役割は果たせるか
▶この記事のポイント
2019年に発覚した出張旅費不正問題で、報道陣の取材を受ける屋久島町の荒木耕治町長(中央)。度重なり起きた補助金問題に、町のトップとして、どう説明するのか注目される
なぜ、うその「工事完成日」を記載して、国に補助金を申請したのか。どうして、うその報告をした事実を知らされても、荒木耕治町長は国や県に黙っていたのか──。
鹿児島県屋久島町の水道整備工事で国に補助金の申請をする際に、うその「工事完成日」を文書に記載して補助金1億1000万円を受け取った問題をめぐり、同町議会は11月26日に全員協議会を開き、この問題について、荒木町長から説明を受ける。荒木町長は、問題の工事が実際には終わっていないと伝えられたあとも、厚生労働省と鹿児島県に報告していなかったことが「屋久島ポスト」(編集・発行:地域メディア・屋久島)の取材でわかっている。
全員協議会は11月26日午前10時から、町役場の議会棟で開かれる。全町議16人が出席する。
注目点1/町長は知っていた
国が示した補助金交付の条件は、2020年度中の今年3月末までに、すべての工事を終わらされることだった。それを踏まえ、町は工事完成日を「3月19日」として報告したが、実際の工事が終わったのは、それから5カ月が経った8月のお盆過ぎだった。
荒木町長が、国に報告した「工事完成日」が事実とは違うと知った後も、そのことを国や県に報告しなかった。
生活環境課の矢野和好課長によると、「3月19日」に終わっていたと国に報告した工事が、実はまだ終了していないと荒木町長に伝えたのは、今年の夏ごろだったという。その報告を聞いた荒木町長は「とにかく早く終わらせろ」と指示を出した。その一方、国や県に報告するようにとの指示はなかったという。
うその報告だったと知っても、なぜ、荒木町長は国や県に黙っていたのだろうか。また自らの責任に言及するだろうか。
屋久島町が国に提出した水道工事の検査調書。工事はすべて終わっていなかったが、「契約図書に基づき良好に施工されている。(合格)」と手書きで記載されている
注目点2/うそを書いてもいいの?
補助金1億1000万円は国民の税金だ。屋久島町だけの話ではない。
そもそも、税金を原資にした補助金を使うための書類に、うその「工事完成日」を記載してもいいのだろうか。町のトップとして、どのような認識を示すのか注目だ。
屋久島ポストの取材に、鹿児島県は町の報告について「事実とは違う」と問題視して、厚労省は「虚偽の報告となると、補助金の返還を求める可能性がある」と答えている。
厚生労働省が入った合同庁舎(厚労省ホームページより)
注目点3/ほかの公共事業は大丈夫?
工事を担当した生活環境課は、11月19日の全員協議会で、問題となっている工事について詳細に調査していることを表明。会議後の取材では、うその報告があった工区を含めて、すべての工区について調査をすることを明らかにしている。その結果も11月26日に報告する見込みだ。
だが、公共事業の補助金をめぐっては、このほかにも同様の問題が起きている可能性はないのだろうか。
補助金を受けたすべての公共工事についても調査するのだろうか。
うその「工事完成日」を記載した問題について、担当課の説明が延期された屋久島議会の全員協議会(2021年11月19日、屋久島町小瀬田の町役場議会棟)
注目点4/町議の認識も明らかに
荒木町長の説明に加え、注目されるのは、町議がうそを記載したことを容認するか、しないのか、だ。全員協議会の場で、一人ひとりの町議の認識が明らかになる。
町議会は、この問題の解明に迫る選択をするのか、それとも、町への「あなた任せ」にするのか。うそを放置し続けた町のトップの責任を問うのか、不問にするのか?──
町の行政をチェックする機関としての役割を担う町議会の対応も注目される。