うその記載を知りながら業者に「前払い」 鹿児島県屋久島町・補助金申請書類うそ記載問題
屋久島町、厚労省に「前払い」させた補助金を業者に「前払い」
工事完成の3カ月前、2300万円
うその「工事完成日」記載の書類と帳尻合わせか
▶この記事のポイント
・業者に「前払い」した時点で町は工事が終わっていないことを知っていた
水道工事の現地視察をする屋久島町議会・決算審査特別委員会の委員ら(2021年11月16日、屋久島町の口永良部島、関係者提供)
厚生労働省に「前払い」させた補助金を、さらに業者に「前払い」していた──。
鹿児島県屋久島町の水道整備工事で国に補助金の申請をする際に、うその「工事完成日」を文書に記載して補助金1億1000万円を受け取った問題をめぐり、工事が終わっていないにもかかわらず、町が業者に工事請負代金を支払っていたことが11月22日、調査報道メディア「屋久島ポスト」(編集・発行:地域メディア・屋久島)の取材でわかった。町によると、実際に工事が終わる約3カ月前の5月28日に約2300万円を送金し、「前払い」した。町はこの時点で工事が完成していないことを知っていたにもかかわらず、業者に支払った。今年5月末の「出納閉鎖」以降は前年度の予算が使えなくなるため、その直前に請負代金を支払うことで、うそを記載した「工事完成日」の書類と帳尻を合わせた形だ。
検査調書にうその「工事完成日」記載
同町生活環境課などによると(*1)、問題となったのは、2020年度に同町の口永良部島で実施した水道施設整備事業1~9工区のうちの5工区。町は業者と同年度末までに全工事を終わらせる契約を結び、2020年11月16日に前金として約1470万円を支払った。その後、2021年3月19日に工事が終わったとする検査調書を作成し、残りの請負代金として支払う約2300万円を調書に記載。だが、実際に工事が終わったのは8月のお盆過ぎだったにもかかわらず、町は同年5月28日にその約2300万円を業者に支払ったという。
屋久島町が国に提出した工事の検査調書。工事完成日が「令和3年3月19日」などと記載されているが、実際に工事が終わったのは8月のお盆過ぎだった
繰り越しせず「出納閉鎖」直前に送金
屋久島町などの地方公共団体は、前年度の会計を閉める期日として、毎年5月末を「出納閉鎖」としている。それ以降は、前年度に計上された予算を執行することはできず、もし、使い切れない場合は、予算の繰り越し手続きをしなくてはらない。
しかし、今回、町は繰り越し手続きをすることなく、「出納閉鎖」直前の5月28日に残りの請負代金を業者に送金した。3月19日に工事が終わったとする、うその「工事完成日」を前提にして、工事が終わる前に請負代金の全額を支払ったことになる。
屋久島町が国に申請した補助金は、2020年度中の今年3月末までに工事を終わらせることが交付の条件だった。それを踏まえ、厚労省は4月19日、うその工事完成日が記載された町の事業実績報告に従って、補助金を送金。だが、実際にすべての工事が終わったのは、今年8月のお盆過ぎだったという。
なぜ、町は繰り越し手続きをせず、うその「工事完成日」を国に報告して、業者に請負代金を「前払い」したのか――。11月26日、同町議会の全員協議会に出席する荒木耕治町長の説明に注目が集まる。
*1) 屋久島町生活環境課への取材は2021年11月22日。