【速報】上告理由書、控訴審判決は「理由齟齬及び審理不尽」で民事訴訟法が認める上告理由に該当 屋久島町補助金不正請求・住民訴訟

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補助金の収納は「会計管理者の権限」で町長に責任はない + 提訴要件の住民監査請求、補助金の収納から1年経過で「不適法」
【速報】上告理由書

【左】上告審が行われる最高裁判所(裁判所ウェブサイトより)【右】国への虚偽報告について取材に応じる屋久島町の荒木耕治町長(2021121日、屋久島空港)

 屋久島町が水道工事の補助金を国に不正請求した問題をめぐる住民訴訟で、荒木耕治町長に約135万円の賠償責任を認めた控訴審判決を不服として、町が最高裁に上告した理由が1228日、屋久島ポストの取材でわかった。上告理由書で町は、控訴審判決は「理由齟齬及び審理不尽」だとして、上告できる理由を定めた民事訴訟法31226号に該当すると主張した。

「何ら根拠、理由を示すことなく」町長の責任を認定

 屋久島ポストに開示された上告理由書によると、上告人の町は、補助金の収納は町の会計管理者である会計課長に権限があり、収納の権限がない荒木町長には、補助金の収納で発生した加算金約135万円に対する賠償責任はないと主張。控訴審判決は「何ら根拠、理由を示すことなく」町長の責任を認めており、民事訴訟法31226号が上告できる理由として定めた「判決に理由を付せず、又は理由に食い違いがあること」に該当するとした。

「実質的な理由、根拠はまったく示さず」住民監査請求の適法性を認定

 また、住民訴訟の前提要件となる住民監査請求が行われたのは、補助金を収納してから約11カ月後で、法的に監査請求が可能な期間として認められた1年を経過していると主張。だが、控訴審判決では「実質的な理由、根拠はまったく示されていない」にもかかわらず、住民による監査請求が適法だと認められており、これも民事訴訟法31226号が規定した上告できる理由に当たるとした。

高裁、荒木町長だけに加算金135万円の賠償責任を認定

 この訴訟で原告の住民は、町が虚偽の実績報告をして、国から約1668万円(補助金と加算金)の返還命令を受けたのは荒木町長ら幹部の責任だとして、町にその全額を町長らに賠償請求するように求めた。

 その訴えを受けて鹿児島地裁は20239月、町長や副町長ら幹部3人に約135万円の賠償責任があることを認定。さらに、町の控訴を受けて福岡高裁宮崎支部は2024925日、荒木町長を除く幹部2人の賠償責任を否定したうえで、町に対して、荒木町長だけに約135万円を賠償請求するように命じた。

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  1. 小脇清保

    常識的に解釈して、補助金の不正受給に対して責任を負うのは、会計管理者の会計課長ではなく、町役場のトップである町長だということは明白である。
    住民監査請求ができる期間は、正当な理由があれば、不正の事実を知り得た時から1年以内となっている。
    2021年8月に開かれた町議会の常任委員会で、「3月末に終わっていなければならない口永良部島の水道工事が、8月になっても終わっていないことが、業者の間で噂されているがどうなっていますか?」と、私が問いただしたところ、担当課長は「調べてみます」と答えたが、その後はうやむやのまま放置した。
    さらなる追及を受けて、最終的に町が虚偽報告を認めて国と県に報告したのは、11月になってからである。
    この時点をもって、住民は、町が補助金を不正に受給したことを知り得たのである。
    これらの事実からも、この問題に対する住民監査請求は、法的に認められた1年以内になされたものであることは明らかである。
    このような事実がありながら、それを押し曲げる町の詭弁が通るようであれば、住民監査請求や住民訴訟という制度は意味をなさないと言わざるを得ない。

  2. 安房よかにせ

     この期に及んで、まだこのようなことを言っているのですね。へ理屈ばかり並べていないで、屋久島町が犯した過ちを素直に認めなさい、と言いたい。
     それでは、このことに関して具体的に書いてみたいと思います。
    地方自治法第149条は、普通地方公共団体の長が担任する事務として、第1号から第9号まで規定していますが、その第5号に「会計を監督すること」とあります。
    この規定を、町長に会計の監督責任があると読めませんかね?
     次に、屋久島ポストの記事にある「住民訴訟の前提要件となる住民監査請求が行われたのは、補助金を収納してから約1年1カ月後で、法的に監査請求が可能な期間として認められた1年を経過している」との町側の主張について一言。
     地方自治法第242条第2項には、「前項の規定による請求は、当該行為のあった日又は終わった日から1年を経過したときは、これをすることができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない」と規定されています。
     この条文の但し書きにある「正当な理由があるときは、この限りでない」に、この事案が該当するため、控訴審の裁判官は、あえて言及しなかったのではないでしょうか?
     いずれにしても、このようなことで公金を使うのではなく、もっと屋久島町と町民のために使ってください。

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