荒木町長の「うそ」放置、実は7カ月間 鹿児島県屋久島町・補助金申請うそ記載問題
荒木町長は4月12日に「うそ」把握
「うそ」認め、「何らかの形で責任」
鹿児島県への説明もうそだった?
▶この記事のポイント
・荒木町長はうその記載を国に報告せず、この問題が報道される7カ月後まで放置
・問題発覚後、鹿児島県に「年度内に工事完成」と報告した国の補助対象部分も、実は未完成
全員協議会の終了後、報道陣の取材に答える荒木耕治町長(2021年11月26日、屋久島町役場議会棟)
鹿児島県屋久島町が、同町の水道整備工事で国に補助金の申請をする際に、うその「工事完成日」を文書に記載して補助金を受け取った問題をめぐり、同町の荒木耕治町長が、問題の工事が実際には終わっていないことを把握したのが今年4月12日だったことがわかった。これまで町の担当課長は「今年の夏ごろ」に町長に伝えたとしていたが、実際にはその時期より数カ月も早い段階で知っていた。荒木町長の「うそ」の放置は、この問題を「屋久島ポスト」が報じるまでの約7カ月にわたっていた。荒木町長は「何らかの責任を取る」と明言した。
11月26日にあった同町議会全員協議会の閉会後、荒木町長が報道陣の取材に答えた。
補助金申請うそ記載問題について報告があった屋久島町議会の全員協議会(2021年11月26日、屋久島町役場議会棟)
荒木町長、補助金の受け取りや業者への支払いを黙認か
荒木町長と屋久島ポストとのやりとりはこうだ──。
屋久島ポスト「4月の段階で知った時に、報告する考えはなかったのか?」
荒木町長「まだ詳細は分かりませんから、きちんと聞き取りをして、きちんとしたかたちを1日も早く出して、報告を出そうと思っていた」
その発言から、荒木町長が「調査をしようとした」と言いたいことがうかがえる。工事を担当した生活環境課の矢野和好課長もこの日の全員協議会で、「町長から一刻も早く、工事を完了するよう指示された」と説明した。
ところが、国が鹿児島県を通じて、町に補助金を送金したのは「4月19日」。荒木町長が問題を知った「4月12日」の1週間後だ。さらに、町は業者への工事請負代金の支払いを「5月28日」に行っている。
つまり、荒木町長は問題を把握して調査を指示したと主張しながら、実際には補助金の受け取りや業者への支払いは黙認したことになる。
うその記載を認める
この日あった全員協議会では、問題の工事について、荒木町長が初めて報告し、「(工事が)完成していないのに、(工事完成の)検査調書を作成した」ことを認めた。そのうえで、「(業者の)言葉を信頼し、早急に完成するとの認識」だったと述べた。
また、業者に工事請負代金を前払いしたことについては、新年度予算への繰り越し手続きをしなかったため、「会計処理上、令和2年(2020年)度中に、支払いをしなければならないと、事務方が判断したようだ」と説明。補助金の取り扱いについては、「国、県のご指導を仰ぎながら、真摯に対応したい」と述べた。
うその「工事完成日」を国に報告した問題について説明する荒木耕治町長(2021年11月26日、屋久島町役場議会棟)
鹿児島県に間違った説明
生活環境課の矢野課長は全員協議会で、この問題の経緯について詳細に説明。これまで「8月のお盆過ぎ」としていた工事完成日が、実際は9月5日であり、工事検査が終わったのは9月9日だったと明らかにした。また、前年度の会計を閉める5月末直前の5月28日に工事代金を前払いした際、業者とは連絡が取れない状態で、現地で工事状況の確認もしていなかったと述べた。
さらに、今回の調査で、写真データの確認や関係者への事情聴取を実施。その結果、これまで県に「年度末に終わっていた」と説明していた国の補助対象部分の工事についても、実際はすべての工事が終わっていなかったことも判明した。
町は11月11日に鹿児島県に対して「国の補助事業部分の工事は終わっていた」と説明していた。
業者に責任転嫁?
全員協議会ではこんな発言も出た。
荒木町長「工期を遵守できなかった業者には、人手をかける等の努力を怠った責任は、あると思っております」
矢野課長「どういう理由であれ、履行期限までに工事を完了しなかった業者に第一義的な責任があると考えております」
また、町への質疑で渡辺博之町議も、「工事が遅れた業者が一番悪いと感じるが行政も含め同じ責任を持つべき。それを自覚すべきだ」と述べている。
つまり、工事が遅れた業者が第一に悪いという認識だ。
だが、そもそも、補助金を申請する書類を作成したのは町だ。そこにうその「工事完成日」を記載したのも町だ。工事が遅れるなら遅れるで、国や県に報告して相談すればいいだけの話だ。
工事が遅れたからといって、うその「工事完成日」を記載していい理由にはならない。
町は、補助金の原資が国民の税金であることを認識しているのだろうか。屋久島町が自由に使っていいお金ではない。
町の説明を聞いた町議からは「虚偽の調書で補助金を得て、業者に終わってもいない工事の代金を支払っているのは大罪だ」といった厳しい意見が出された。
会議後、報道陣から責任の取り方を問われた荒木町長は、「こういうことで騒がしたので、何らかの形で責任を取りたい」と述べ、具体的な内容については、今後に検討するとした。
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町は屋久島ポストの取材に対し、国の補助金が約1億1000万円と説明していたが、この日の全員協議会で、1億1835万円だったことも明らかにした。