厚労省が補助金適正化法違反を認定 鹿児島県屋久島町・補助金書類うそ記載事件
不正の「ツケ」は町民に 加算金含め計1700万円を一般会計から返還へ
「うそ」放置の荒木町長ら町幹部の責任は必至か
鹿児島県屋久島町が同町の水道整備工事で国に補助金を申請する際に、うその「工事完成日」などを報告して補助金を受け取った問題をめぐり、厚生労働省が補助金適正化法違反を認定し、3月16日付で町に交付金約1500万円の返還命令を通知した。同町は、罰金に当たる加算金を加えた計約1700万円の全額を一般会計から捻出する方針で、補助金の不正請求事件の「ツケ」を町民に押し付ける格好だ。荒木耕治町長ら町幹部の責任は不可避な状況になった。町は3月23日の町議会で補正予算案を提出する。
2021年3月末時点での未完成分を返還
町生活環境課と厚労省医薬・生活衛生局水道課によると、返還命令は補助金適正化法に違反したとして、同省から鹿児島県を通じて町に通知された。返還の対象となったのは、補助金支給の要件となる工事終了期限の2021年3月末日の時点で、工事が未完成だった部分。現場写真などの客観的な証拠を精査した結果、1513万8000円分の工事について、本来であれば「次年度に繰り越し手続きをするべきだった」として、最終的な返還額が決まったという。
国に提出した事業実績報告書に添付された工事完成を証明する現場写真
さらに約160万円の加算金も
補助金適正化法の19条では、補助金の返還を求められた場合、受領日から返還日までの日数に応じて、年率10・95%の加算金を国に納付することが定められている。町は補助金を2021年4月19日に受け取っており、同省が支払い期限とする4月5日までに返還した場合、約160万円の加算金が発生する見込みで、返還額と合わせた国への納付額は計約1700万円になるとみられる。また、4月5日の納付期限を過ぎて返還すると、さらに年率10・95%の遅延金が発生する。
屋久島町が国に提出した工事完成を証明する「検査調書」。工事完成日を「3月19日」、工事完成検査日を「3月26日」として、「契約図書に基づき良好に施工されている。(合格)」と記載していたが、すべてうその日付だった
町「一日でも早く返還したい」
そこで、町は「一日でも早く返還する必要がある」として、いま開会中の町議会3月定例会に今年度の一般会計補正予案を提出して、早期の予算成立を目指す方針だ。補正予算案は3月23日にある最終日の本会議で審議され、その日のうちに採決される。
問題となった工事は、同町の口永良部島の老朽化した水道設備を更新するため、国から約1億1800万円の補助金を受けて2020年度に実施された。補助金を受ける条件として、2020年度中の2021年3月末日までに工事完成検査をして、すべての工事を終わらせることが定められていた。
だが、屋久島ポストが昨秋、情報開示請求で入手した工事の記録文書を調べたところ、町が国にうその報告をしていたことが判明。報告書では工事完成日を2021年「3月19日」と記載していたが、実際にすべての工事が終わったのは同年9月だったことなど、複数の虚偽報告が見つかっていた。
その虚偽報告を受けて、町議会は2021年12月に同工事に関する決算の不認定を決定。町は実際の工事の進捗状況を踏まえた事業実績報告書を作成して、3月1日付で国に提出していた。
業者へ工事請負代金の前払いを決裁した支出命令書。町長、副町長、総務課長ら町幹部が押印している
町長らによる「うそ」放置
この問題をめぐっては、生活環境課の職員による虚偽報告のほか、その事実を知らされた荒木町長ら町幹部が、その後も国に報告することなく、うそを放置し続けたいたことがわかっている。主な虚偽報告と町幹部の対応は次のとおり。
●うその「工事完成日」:2021年3月19日と事業実績報告書に記載したが、実際に完成したのは同年9月5日だった
●うその「工事完成検査日」:2021年3月26日と事業実績報告書に記載したが、実際に検査したのは同年4月~9月だった。
●町長らの「うそ」放置:荒木町長ら町幹部は2021年4月に虚偽報告の事実を把握したが、その後も国に報告することなく、約7カ月間にわたって「うそ」を放置した。
●工事未完成で補助金を受領:2021年4月12日に虚偽報告の事実を把握していたにもかかわらず、2021年4月19日に国から約1億1800円の補助金を受け取った。
●工事代金の前払い:工事を終えていない業者に対して、2021年5月28日に工事請負代金を前払いした。その後も未完成の状態が続き、実際に工事が終ったのは同年9月5日だった。
●町幹部が前払いを決裁:工事が終わっていないにもかかわらず、荒木町長ら町幹部は、工事請負代金を前払いする「支出命令書」に押印して決裁した。
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一連の報道をつぶさに読み解くと、屋久島町の杜撰な業務状況が見えてきます。
根本的にメスを入れるか、現体制の退陣を希求することしか考えられない状況と思います。
一次的な判断ミスとかであれば、まだ酌量の余地はありますが、組織的に分かっていながら、隠蔽していたということは、日常的にこのような業務内容が繰り返されていることが認められます。
住民の税金を返還に充てるようなことは許されません。
町長、副町長、担当課の職員で責任を取るべき問題です。
決して甘い処分で許されることではありません。
処分のあり方では、住民訴訟も起こり得る問題だと思います。