厚労省はどう判断? 悪質性が焦点に 屋久島町補助金書類うそ記載問題
会計閉じた後も工事続行 町長は4カ月「うそ」を放置…
鹿児島県天城町は補助金の一部を返還
厚労省「日付を偽った報告、補助金返還の可能性も」
▶この記事のポイント
鹿児島県屋久島町が、同町の水道整備工事で国に補助金の申請をする際に、うその「工事完成日」を文書に記載して補助金1億1000万円を受け取った問題は、補助金を出した厚生労働省の判断が焦点になる。関係者によると、実際に工事が終わったのは2021年8月。屋久島町のトップの荒木耕治町長はうその「工事完成日」が記載されていたことを把握した後、調査報道メディア「屋久島ポスト」(編集・発行:地域メディア・屋久島)の報道で問題が発覚するまでの約4カ月間、「うそ」を放置し続けていた。また、屋久島町では前年度の会計を毎年5月末に閉めるため、この「出納閉鎖」から2カ月以上も前年度の工事が続行していたということにもなる。
厚労省は、補助金を申請する文書にうその「工事完成日」を記載することを容認するのか、しないのか──。
ポイントを整理した。
補助金支払いの「4月19日」が意味するもの
これまでの屋久島ポストの取材では、町が国に補助金を申請する際に、2021年3月19日に工事が終わったとする事業実績報告書を提出していたが、実際に工事が終わったのは8月のお盆明けで、さらにその後に実施する、工事が完成したことを確認する検査は9月上旬だったことが明らかになっている。
問題は、最終工期の2020年度末に工事が終わらなかったことについて、町のトップが把握していたという事実だ。荒木町長が今年2021年の夏に、担当の矢野和好課長から報告されていた。矢野課長が屋久島ポストの取材に答えた。町のトップが、そのことを国や県に報告することなく、放置していたのだ。
それだけではない。
町が、工事が終わっていないにもかかわらず、同年4月19日に厚労省から1億1000万円の「前払い」を受けていた。この「4月19日」の日付はポイントになる。
「出納閉鎖」後、2カ月以上も
屋久島町では、前年度の2020年度(2020年4月1日〜2021年3月31日)の会計は、今年5月末に「出納閉鎖」した。金庫にカギをした、ということだ。カギをしたので、もう金庫から出し入れすることはできない。つまりもう2020年度の事業は終わり、ということ。
ところが、実際は、その「出納閉鎖」から2カ月以上にわたって工事を続けていたのだった。
国交省は鹿児島県天城町に補助金約4000万円の返還命令
ほかの自治体でも補助金の不適切な受給が発覚し、国から返還命令を受ける例がある。
例えば、鹿児島県天城町。天城町は2021年4月、町防災センター建設事業で虚偽の工事完成日を記載したのは補助金適正化法違反に当たるとして、国土交通省から補助金約4000万円の返還命令を受けている。
天城町防災センターのホームページより
報道(*1)によると、天城町建設課からの情報として、同町は2016年3月に工事を終了したと報告していたが、実際に工事が終わったのは同年5月中旬だったという。しかし、町は予定通りに工事が終了したと虚偽の申請をして、約5億7000万円を受給し、そのうちの約4000万円を返還した。
天城町のケースでは、実際に工事が終わったのは2016年の5月中旬。屋久島町とは異なり、5月末の「出納閉鎖」までにはなんとか間に合わせた格好だ。
ほかにも福岡県金田町(現・福知町)や長崎県江迎町(現・佐世保市)などで同様なケースがあり、自治体は補助金の返還をする事態になっている。詳しくは、記事の最後に掲載した表を参照してほしい。
厚労省、補助金適正化法違反か判断へ
今後、屋久島町がうその「工事完成日」を補助金申請の書類に記載した問題はどうなのか。厚労省医薬・生活衛生局水道課に尋ねた
(*2)。
厚生労働省が入った合同庁舎(厚労省ホームページより)
担当者によると、「最初に、正しい内容を記載した書類を提出してもらい、それを踏まえて、補助金適正化法に違反するのか否か、法的な判断をする」という。
厚労省が町の関係者から直接事情を聴く可能性もあるという。
また、鹿児島県が、屋久島町が書類に記載した「工事完成日」を「事実とは違う」との認識を示したことについては、「仮に日付を偽った虚偽の報告となると、補助金の返還を求める可能性がある」と答えた。そのうえで、うその記載について、悪質性があるか否かを調査し、「全額返還の場合もあるし、一部返還の場合もある」と話した。
*1) 「町工事不正で国が交付金4千万円返還命令 鹿児島」産経新聞、2021年4月21日(取得日2021年11月14日)
*2) 取材日は2021年11月11日