垂水市盗撮事件

盗撮被害の児童は計50人の可能性 垂水市公共施設/鹿児島ポスト

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垂水市委託の法人、児童50人の保護者に被害弁償の提案文書を送付

垂水市、被害者対応を委託先の法人に一任

【左】垂水市のウェブサイトに掲載された市のマークなど

 鹿児島県垂水市が設置する公共施設で児童10人が盗撮の被害に遭い、市が業務を委託する公益社団法人の元職員が児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)などで有罪となった盗撮事件――。

 その後の取材で同法人が、2024年9月に被害が発覚した10人を含め、元職員が盗撮を続けていた約4年間に施設を利用した児童50人の保護者に文書を送付し、事件の被害弁償を検討する旨を伝えていたことがわかった。刑事事件で立件された被害児童は10人だが、さらに40人の児童が盗撮被害に遭っていた可能性が明らかになった。

盗撮4年間、さらに児童40人「被害の可能性は否定できない」
 事件関係者によると、同法人の代理人弁護士は7月31日付で「ご連絡」と題する文書を被害児童の保護者に送付し、事件の被害弁償を検討する旨を伝えた。

 まず文書では、被害児童とその保護者に「多大なご心痛をお掛けしました」と謝罪。続いて、元職員が2020~2024年に盗撮を続けていたことを踏まえ、被害が立件された10人に加え、その約4年間に施設を利用した40人についても、被害を受けた可能性は「否定できない」とした。そして、同法人が対象者を限定するよりも、保護者が自ら「どなたを被害弁償の対象者とするのかをご判断いただく方がよいのではないか」と提案したという。

被害弁償、合計で「200万円が限度」
 また文書では、被害弁償に捻出できるのは合計で「200万円が限度」と説明。被害弁償の内容については、「保護者の皆様にてご協議の上、お決めいただくことをお願い申し上げたく存じます」としたうえで、各保護者に意見書の提出を求めている。

元職員、児童10人に対する盗撮で有罪判決
 これまでの取材によると、同法人の職員は2024年6月~8月、公共施設の更衣室内に設置したカメラ4台で水着に着替える児童を盗撮した。9月に事件が発覚後、職員は過去に盗撮した映像データを保存したパソコンやスマートフォンなどを海に投げ捨てたのち、警察署に自首して逮捕。その後、児童10人を盗撮したとして、性的姿態撮影等処罰法違反(撮影)と児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)の罪で、懲役2年、執行猶予4年の有罪判決を受けた。

 職員が盗撮を始めたのは2020年ごろで、公共施設に更衣室を設置する工事を担当した際に、室内に盗撮用のカメラを取り付けた。2023年に更衣室のリフォーム工事をした際にもカメラを増設しており、約4年間にわたって盗撮を継続。刑事事件で立件されたのは児童10人に対する盗撮だが、実際にはさらに多くの被害者がいるとみられていた。

保護者「いきなり文書で被害弁償の提案は無責任」
 同法人から文書を受け取った保護者は取材に対し、「いきなり文書を送り付け、児童50人の保護者で話し合って、被害弁償の内容を決めろというのは無責任な話だ。まずは、全保護者を集めて説明会を開き、質疑応答も含めて、詳細な説明をするべきだ」と話している。

垂水市役所の庁舎=2025年8月5日撮影

垂水市「関係者の権利擁護」を理由に説明拒否
 事件関係者によると、盗撮事件があった公共施設を設置する垂水市は、事件後の対応を同法人に一任しており、保護者説明会で謝罪や被害弁償の話をしたことはないという。また、事件後に再発防止策を講じないまま、2025年度も随意契約で同法人に公共施設の運営業務を委託している。

 これまでの取材に対し、担当の垂水市保健課は、「本件に関しましては、関係者の権利擁護の観点から情報の拡散は謙抑的にならざるを得ない」として、事件に関して一切の説明を拒否している

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