児童盗撮事件「再発防止策」めぐり垂水市長と保護者有志に食い違い/鹿児島ポスト
尾脇市長「市としての再発防止策」を伝えた → 保護者有志、垂水市として再発防止策を示されたことは「一度もない」

【左】垂水市のウェブサイトに掲載された市のマークなど
 鹿児島県垂水市の公共施設で児童10人が盗撮の被害に遭い、市が業務を委託する公益社団法人の元職員が児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)などで有罪となった盗撮事件――。
 その後の取材で、事件の調査や検証などを求める被害児童の保護者有志に対し、同市の尾脇雅弥市長が6月27日付で回答文を送付したことがわかった。文書で尾脇市長は、事件後の調査を踏まえて「市としての再発防止策及び支援内容」を関係者に伝えたと説明。それに対し、保護者有志は「保護者説明会で、垂水市としての再発防止策が示されたことは一度もない」と主張している。
保護者有志、市長に調査と検証を求める申入書
 事件関係者によると、盗撮が発覚した2024年9月から約9カ月間にわたり、垂水市が被害者側に謝罪したことはなく、盗撮事件があった事実について、市のウェブサイトや広報誌で公表することもなかった。また、市は再発防止策を講じないまま、2025年度も同じ公益社団法人と随意契約で業務委託を継続したという。
これらの経緯を踏まえ、保護者有志は6月3日、「盗撮事件に係る申入書」を尾脇市長あてに送付。垂水市の姿勢に対して「事件を放置するような対応」だとして、次の4点を要望した。
1 盗撮事件の調査と検証
2 市民への報告と謝罪
3 再発防止策を講じて市民に公表
4 垂水市として事後対応が遅れた理由説明
尾脇市長「市から対外的に報告・謝罪はしない」
 この申入書に対し、尾脇市長は6月27日付で回答文を送付。事件の調査と検証については、事件後の調査を踏まえて「市としての再発防止策及び支援内容を関係者説明会で関係者へ説明させていただき、ご意見を賜りながら、改善を行ってきたところです」と説明した。
また、市民への報告と謝罪に関しては、関係者から「情報の拡散を望まない」「特定されるのを望まない」といった声が上がっていることを理由に、「市から対外的に報告・謝罪することは、予定しておりません」と回答。市民への再発防止策の公表については、「関係者説明会で説明をさせていただいておりますので、改めて公表することは考えていません」とした。
最後に「市として事後対応が遅れた」との指摘には、「市としての再発防止策」を踏まえて、「施設のリフォーム等、当該児童施設の正常化に向けて取組んできたところですので、特に事後対応が遅れたという認識ではございません」と答えた。

垂水市役所(鹿児島県ウェブサイトより)
業務委託先、再発防止策ないまま9カ月
 尾脇市長からの回答に対し、保護者有志は「これまで開かれた保護者説明会で、垂水市としての再発防止策が示されたことは一度もない」と主張。また、市が業務を委託する公益社団法人が再発防止策を保護者に示したのは、事件発覚から約9カ月後の5月28日に開かれた説明会だったという。
 尾脇市長の説明と保護者有志の認識に食い違いがあるため、鹿児島ポストは7月8日、担当の市保健課にメールを送り、「垂水市として再発防止策をつくられた事実はあるのでしょうか。あれば、その内容をお示しください」と質問した。

 
																											 
																											 
																											 
																											 
																											 
																											 
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