垂水市盗撮事件

垂水市、児童盗撮事件後も「保護者のご意向」で同じ法人と随意契約を継続/鹿児島ポスト

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盗撮職員を雇用の公益社団法人、再発防止策ないまま運営続行 → 市、2025年度も同じ法人に運営業務を委託

被害児童の保護者「市から意向を尋ねられたことはない」

盗撮した職員を雇用していた公益社団法人がウェブサイトに記載している児童施設の運営方針。目標として「専任の支援員が児童に健全な遊びと望ましい生活習慣を身につけさせること」を掲げている
 

 鹿児島県垂水市が設置する児童施設で児童10人が盗撮の被害に遭い、市が業務を委託する公益社団法人の元職員が児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)などで有罪となった盗撮事件――。

 この事件をめぐる市議会の一般質問で、2024年9月に事件が発覚したのち、市が2025年度も同じ法人と随意契約を結んだ理由について、児童施設を所管する市保健課の永田正一課長は「保護者のご意向も踏まえ、慎重に検討を行ったうえで契約に至った」などと答弁した。

 事件後、同法人は再発防止策を講じないまま児童施設の運営を続行。それにもかからず、市は複数の事業者が参加した競争入札を実施することなく、2025年度も同法人と随意契約を結んで、児童施設の運営管理業務を委託している。

市議、契約継続の法人は「信頼性に重大な疑いがあった」
 9月16日にあった定例会で高橋理枝子市議が質問に立ち、市が事件後も同法人と随意契約を結んでいることを踏まえ、「今回の事件で、信頼性に重大な疑いがあったにもかかわらず、契約した理由を聞かせてほしい」と尋ねた。

保健課長「児童保護者の皆様への影響」などを考慮
 これに対し保健課の永田課長は、随意契約を結ぶ際に「受託可能な要件を満たす他の団体の有無」や「児童保護者の皆様への影響」を考慮したとしたうえで、「保護者のご意向も踏まえ、慎重に検討を行ったうえで契約に至った」と述べた。

垂水市役所=2025年8月、鹿児島ポスト撮影

垂水市、被害児童の保護者に謝罪せず
 複数の被害児童の保護者によると、事件の発覚後、市は被害児童の保護者に謝罪したり、再発防止策を講じたりすることがないまま、2025年度も同法人と随意契約を結んでいるという。また、引き続き同法人に児童施設の運営を委託することについて、市から保護者側に「意向」を尋ねられたことはなかったとしている。


計50人の児童が盗撮被害の可能性

 この盗撮事件は2024年9月に発覚。市が業務を委託する公益社団法人の職員が、更衣室内に仕掛けた4台のカメラで児童10人を盗撮したとして、性的姿態撮影等処罰法違反(撮影)と児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)の罪で、 懲役2年、執行猶予4年の有罪判決を受けた。また、職員が約4年にわたって盗撮を続けていたことから、さらに40人の児童が被害に遭っていた可能性があるとみられている。


市「関係者の権利擁護」を理由に取材拒否

 これまでの取材に対し、市保健課は、「本件に関しましては、関係者の権利擁護の観点から情報の拡散は謙抑的にならざるを得ない」として、事件に関して一切の説明を拒否している。

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