独自に監査せず、町長から指示待ち【旅費不正の構図】(6) 屋久島町出張旅費不正問題

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領収書なく「別途支給」とだけ記載

航空運賃が不明なまま旅費精算

(この連載は随時掲載します)

 鹿児島県屋久島町の幹部らによる一連の出張旅費不正問題をめぐり、今月から始まった監査に合わせて、その実態を解明する連載「旅費不正の構図」。6回目は、前回に引き続き、航空運賃の領収書を添付しないまま、旅費精算をしたケースを紹介します。
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航空運賃の領収書を添付せず、「別途支給」とだけ記載した出張旅費の精算書

構図:領収書を添付せず精算し「別途支給」

 2014年度~2019年度にかけて、航空運賃の領収書を添付せずに旅費精算した事例は、少なくとも19件あることが、これまでの「屋久島ポスト」の取材でわかっている。そのなかには、単に領収書の添付がない事例に加え、町以外から旅費の支給を受けたとして、詳細な航空運賃を示さず、「別途支給」などと記載しているケースがある。

 最終的に旅費を支出するのは町でないとしても、実際の航空運賃がいくらで、どこの旅行会社で買ったのかを示す領収書を添付することは、公務出張が適正に行われたか否かを確認するうえで、必要不可欠である。また、旅費の支給先から直接的に航空券を受け取った場合でも、その旨を精算書に明記して、実際の航空運賃を示すことが、公務の透明性を高めることにつながる。

 定期的に出張旅費を調べている監査委員は、航空運賃を示さずに、「別途支給」とだけ記載している精算書に疑問を持たなかったのだろうか。ここでも、やはり監査が適正に行われているのかどうか、大きな疑問が残るところだ。
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商工観光課(現・観光まちづくり課)の職員が出張旅費の精算で提出した明細書。航空運賃と領収書を示さず、「別途支給」とだけ記載している

事例:「別途支給」とだけ記載し、航空運賃と領収書を示さないケース

 今回の記事では、航空機を利用して出張したにもかかわらず、航空運賃と領収書を示さずに、「別途支給」とだけ書いて旅費精算した主な事例を紹介する。

 商工観光課(現・観光まちづくり課)に所属するある一般職員は2016919日~22日、神戸市と大阪市に出張した。目的は、町立「屋久杉自然館」の映像制作についての打ち合わせと、屋久島町観光特産品フェアの最終協議をすることだった。

 町が開示した出張記録によると、その職員は同年919日、屋久島から高速船で鹿児島市へ渡り、その日は同市内に宿泊。920日に鹿児島空港から神戸空港に到着し、大阪で1泊した。そして、921日には神戸空港から鹿児島空港に到着し、再び鹿児島市内で宿泊。922日、すべての公務を終えて、鹿児島市から高速船で屋久島に帰った。

 その出張記録をもとに、職員は1025日に出張旅費を精算した。

 ところが、職員は旅費の精算書に航空運賃の領収書を添付しなかった。さらに、旅費支給の明細に航空運賃を明記せず、「別途支給」とだけ記載。領収書がないため、職員がどこの旅行会社で、どのような航空券を購入したのかもわからない。
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企画調整課(現・政策推進課)の職員が出張旅費の精算で提出した明細書。航空運賃と領収書を示さず、「別途支給」とだけ記載している

 もう一つ、領収書の添付がなく、「別途支給」と記載した事例をみてみよう。

 企画調整課(現・政策推進課)に所属するある一般職員は20161116日~19日、有人国境離島法についての説明会などに出席するため、東京に出張した。

 町が開示した出張記録によると、その職員は同年1116日、屋久島から高速船で鹿児島市に渡った後、鹿児島空港から東京・羽田空港に到着し、東京で2泊した。1118日に羽田空港から鹿児島空港を経て鹿児島市へ到着し、同市内で宿泊。すべての公務を終えて、1119日に鹿児島市から高速船で屋久島へ帰った。

 その出張記録をもとに、職員は1124日に出張旅費を精算した。

 ところが、職員は旅費の精算書に航空運賃の領収書を添付しなかった。さらに、旅費支給の明細に航空運賃を明記せず、「別途支給」とだけ記載。領収書がないため、職員がどこの旅行会社で、どのような航空券を購入したのかもわからない。

 そのほか、201511月に東京に出張した企画調整課(現・政策推進課)の職員や、201410月に東京に出張した教育委員会社会教育課の職員らも、航空機を利用して出張したが、航空運賃の領収書を添付せず、「別途支給」と記載して、航空運賃を明記しなかった。
代表監査委員
出張旅費不正の監査について答弁する朝倉富美雄・代表監査委員(2021年12月9日、屋久島町役場議会棟)

対応と現状:監査委員「精いっぱいの力で監査している」

 前回の記事で紹介したケースも含め、航空運賃に関する領収書の添付がない事例は少なくとも19件ある。しかし、町監査委員による定期監査では、このすべてが「問題なし」とされた。さらに、20213月に住民監査請求が申し立てられた際に、この19件について具体的に指摘を受けたにもかかわらず、監査委員は住民側の請求を却下した一方で、独自の判断で監査することはなかった。

 20213月の町議会一般質問で、監査委員の判断による独自の監査について問われた代表監査委員の朝倉富美雄氏は、次のように答弁した。

「完璧ではないかもしれないが、確実に誠意をもって、精いっぱいの力で監査している。それで足りていると認識しており、その監査のなかでしっかりとした答えを出して報告もしている」

 だが、結果的には、その「精いっぱいの力」でやった監査で、荒木耕治町長らによる一連の旅費不正を見抜くことはできなかった。さらに、住民監査請求で数々の不正の疑いを指摘されても、監査委員は積極的に調べることなく、そのまま放置した。

 そして20214月、荒木町長が監査を請求すると、ようやく監査委員は重い腰を上げたが、それでも半年間も監査をせずに放置していた。独自の判断で動かずに、町長からの指示を待つだけの監査委員。荒木町長から独立した立場で、町民のために町を監視する監査委員だが、「誠意をもって、精いっぱいの監査」をしているのだろうか。

【メモ】

 屋久島町の荒木耕治町長ら町幹部をめぐる出張旅費不正問題は2019年12月の町議会で発覚した。その後、一連の不正は岩川浩一副町長(当時)や岩川俊広議長(同)ら町役場と町議会の幹部4人に広がる刑事事件に発展。さらに、一般職員にまで不正が及んでいることが判明し、被害の総額は少なくとも約230万円になった。荒木町長は、一部の町議らが求める第三者委員会の調査は拒む一方、今年4月に町監査委員に対し監査を要請し、今月から本格的な監査が始まった。対象は2014年度~2019年度に航空機を利用して出張した退職者を含むすべての職員と町議で、その数は120人ほどの見込み。監査委員は今年度末の2022年3月の監査終了をめざしている。


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