「見積もりの領収書」など調査の百条委 提案理由 屋久島町出張旅費不正問題

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虚偽領収書の調査で屋久島町を「自浄能力のある町に」/真辺真紀町議

虚偽領収書一覧

 屋久島町の幹部らが虚偽の領収書で出張旅費を不正精算していた問題をめぐり、屋久島町議会は622日、虚偽領収書の発行経緯などを調査する百条委員会の設置案を反対多数で否決した。百条委の提案理由で、真辺真紀町議は15枚の虚偽領収書を示し、百条委の調査で「屋久島町を自浄能力のある町にしたい」と訴えたが、反対9人、賛成6人となり、4回目の否決となった。

 真辺町議の提案理由全文は以下のとおり。 

「出張旅費精算不正における虚偽領収書調査の決議」提案理由/真辺真紀町議(2022年6月22日、屋久島町議会6月定例会)

 今ここに15枚の領収書があります。これらはすべて、屋久島町幹部らによる一連の出張旅費不正精算で提出された虚偽の領収書で、前副町長や元議長ら計10人が旅費精算書に添付したものです。

 これから、主な虚偽の領収書について説明させていただきますが、その詳細な情報については、町監査委員の報告書や、町が開示した出張記録、地元紙や市民メディアの記事を参考にしておりますので、ご承知おきください。


前副町長:「見積もり段階の領収書」

 それでは、まず1枚目。この領収書は前副町長が提出したもので、鹿児島と名古屋の往復航空券代として72220円と記載されていますが、実際の航空運賃と経路はまったく違っていました。旅費精算書の金額には私的な東京旅行の交通費も混ぜ込まれていて、実費より約5万円多く旅費を受け取っていたとして、その全額を町に返還しています。ちなみに、この不正が発覚した当初、前副町長は現金を支払う前に受け取った「見積もりの段階の領収書」だと説明していました。
01岩川副町長)領収書名古屋

現職町議:領収書だけ受け取り購入せず

 次に、この領収書は元議長である現職町議が提出したもので、屋久島と東京の往復航空券代として93980円と記載されていますが、実は、元議長はこの領収書を発行した旅行会社では航空券を買っていませんでした。実際には空港で割引航空券を購入しており、約5万円多く旅費を受け取っていたとして、その全額を町に返還しています。
04元議長)架空領収書

元議長:「実際より高額の領収書の発行を依頼した」

 さらに、この領収書2枚は別の元議長が提出したもので、いずれも、屋久島と東京の往復航空券代として93980円と記載されていますが、実は割引航空券を購入していて、実際より約11万円多く旅費を受け取っていたとして、その全額を町に返還しています。この元議長だけは報道取材に対し、実際より高額な領収書の発行を旅行会社に依頼したことを認め、「大変悪いことをした」と謝罪しています。
06元副議長)領収書1

07元副議長)領収書2

起訴猶予処分で容疑事実は認定

 以上、計4枚の虚偽の領収書について、この3人は詐欺などの疑いで刑事告発され、最終的には検察で容疑の事実が認められ、減給や辞任などの社会的制裁を受けたとして、起訴猶予の不起訴処分になりました。その一方、刑事裁判が開かれなかったため、それらの虚偽領収書がどのような経緯で発行されたのか、その詳細は明らかになっていません。また、3人も虚偽の領収書が発行された経緯などについて、公の場ではまったく説明しておらず、その詳細は不明なままです。

 そして、これらの刑事事件になったケース以外にも、複数の虚偽の領収書が町の監査で見つかっています。

現職町議:買わずに領収書だけもらい、家族旅行中も旅費請求

 この領収書2枚は元議長である現職町議が提出したもので、屋久島と東京の往復航空券代として計48180万円と記載されていますが、実は、元議長はこの領収書を発行した旅行会社では航空券を買っていませんでした。しかし、町監査委員の聴き取りに対し、この現職町議は「領収書をもらった記憶がない」と言っています。さらに、この現職町議は公務出張後に私的な旅行で石川県に行っていましたが、その事実を伏せた形で虚偽の旅費精算書を作成して、宿泊代や日当、交通費を不正に受給した可能性があります。
05日高町議)領収書1

05日高町議)領収書2

元会計課長:町の会計責任者が虚偽の領収書と精算書

 また、この領収書は町の会計管理者である元会計課長が提出したもので、鹿児島と大阪の往復航空券代として54800円と記載されていますが、実は帰りに私的な旅行で長崎に立ち寄っており、実際の航空運賃より約16000円高い金額が領収書に記載されていました。しかし、町監査委員の聴き取りに対し、この元会計課長は領収書をもらった経緯を説明していません。また、旅費の精算では、私的な長崎旅行の旅程を伏せた形で、虚偽の旅費精算書を作成しています。会計管理者は町長から任命され、独立した立場で町の会計処理に責任を持つ役職です。町の会計に関しては、荒木町長よりも責任が重いとも言える立場の役職ですが、自身が提出した虚偽の領収書と旅費精算については、何も説明しないまま放置されています。
03会計課長)領収書

旅行会社の元社員:虚偽領収書の発行で詐欺ほう助

 この他にも、一般の職員が提出した虚偽の領収書が複数ありますが、その大半が同じ旅行会社から発行されており、虚偽領収書による一連の不正精算について、この旅行会社が深く関わっている可能性があります。また、この旅行会社の元社員は虚偽の領収書を発行したとして、詐欺ほう助の疑いで刑事告発され、最終的に起訴猶予の不起訴処分となり、不正の事実が検察で認められています。

町監査委員:虚偽領収書は「監査の対象外」

 これらの不正精算に対しては、町監査委員が331日に監査報告書を町に提出しましたが、明らかになったのは領収書と精算書の差額だけで、虚偽の領収書が発行された経緯などについては、まったく監査がなされませんでした。本定例会の一般質問でも、代表監査委員は領収書については、監査の対象ではないと明言しており、この虚偽領収書の問題は放置されています。

 また、刑事事件となった前副町長と元議長2人については、そもそも監査の対象から外されており、同じく虚偽領収書の問題は放置されたままです。

町役場と町議会の幹部には説明責任

 荒木町長のシルバー割引に端を発した一連の出張旅費不正問題は、発覚から2年半を迎えますが、その問題の核心となる虚偽の領収書については、未だにその詳細が不明なままで、このままうやむやに放置することは許されません。特に、前副町長や元会計課長は町役場の幹部中の幹部であり、退職後であっても、その説明責任を免れるものでありません。町議会に関しても、歴代の議長3人が立て続けに虚偽の領収書で旅費精算するという前代未聞の事態であり、これもまた、うやむやのまま放置することは許されることではありません。

 一方、荒木町長は自身のシルバー割引による不正精算について、2回の記者会見を開き、自分の口からその詳細を説明しており、公人としての説明責任は果たしています。それゆえ、町の監査で調べられることはなく、今回の百条委員会の設置案でも対象になりません。

 これは言い換えると、屋久島町を代表する要職にある、または要職にあった方々は、自身の不正については、その説明責任を果たさない限り、町民からの信頼は得られないということです。そして、その責任を放置すればするほど、屋久島町の社会的な信用を損なう結果になると言えます。

真辺真紀町議
虚偽の領収書を示しながら、百条委員会設置案の提案理由を説明する真辺真紀町議(2022年6月22日、屋久島町議会、町役場内の議会中継モニター画面を撮影)

町役場も監査委員も不問なら、議会が調査するしかない

 現状では、この虚偽の領収書について、荒木町長は第三者による調査をする考えはなく、監査委員も調査の対象にはしませんでした。そうであれば、町民の代表が集う町議会が百条委委員会を設置して調査するしかありません。

 これまで屋久島町議会では、旅費不正を調査する百条委員会の設置案を3回にわたって否決してきましたが、その結果、前副町長や元議長2人の件は刑事事件に発展してしまいました。もし、あの時に百条委員会で調査していれば、刑事事件になることは避けられたと思われます。

町民からは「このまま放置していいのか」

 今回の監査で、新たに発覚した現職町議と元会計課長の不正について、何人もの町民から「このまま放置していいのか」「前副町長や元議長と比べて、不公平じゃないのか」といった声が寄せられています。私の周りには、この旅費不正問題に対して関心の高い町民が多く、もし今回、4回目の百条委員会設置案も否決となれば、またしても、この問題の解決を司法の手に委ねる結果になりかねません。

 つきましては、屋久島町議会の皆さまにおかれましては、本決議案にご賛同いただき、今度こそ「屋久島町は自浄能力のある町になった」と町内外の人たちに思っていただけるような、そんな結果になることを強く願っております。

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