町幹部側、元職員に損害賠償の可能性を告知 屋久島町補助金不正・住民訴訟

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元職員に訴訟告知 敗訴の場合は損害賠償請求の「訴えを提起する」

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【左上】訴訟の答弁書で屋久島町は、虚偽報告書は元担当職員が独断で提出したと説明した【左下】屋久島町が国に提出した虚偽の検査調書。工事が未完成の段階で、すべて完成したと報告した【右】補助金不正請求問題で取材を受ける屋久島町の荒木耕治町長(2021年12月1日、屋久島空港)

 屋久島町が水道工事で国に補助金を申請する際に虚偽の「工事完成日」などを報告して、国から補助金1668万円の返還命令を受けたのは町幹部の責任だとして、町に対して、荒木耕治町長ら幹部3人に損害賠償を命令するように町民が求めた住民訴訟――。

 その後の取材で、町幹部側が工事を担当した元職員に「訴訟告知書」を送付して、損害賠償を求める可能性を伝えていたことがわかった。幹部側が賠償命令を受けた場合は元職員にも責任があるとして、損害賠償請求訴訟を提起する方針を伝えるものだ。この告知によって、実質的に幹部側が元職員を住民訴訟に巻き込んだことになる。

共同責任を求める「訴訟告知」

 訴訟告知書は、被告が「共同不法行為者」(民法719)に訴訟の事実を伝えたうえで、敗訴した場合は共同で法的責任を求めることを告知するものだ。約束どおりに返金されなかった借金の保証人となった被告が、実際に借金した人に対しても賠償責任を求める場合などに取られる手続きで、民事訴訟法532項で定められている。

元担当職員は「共同不法行為者」の可能性

 今回の住民訴訟で被告である屋久島町は、荒木町長と日高豊副町長、矢野和好・元生活環境課長の幹部3人に対して、損害賠償を命令することを求められている。それを踏まえ、町(告知人)は訴訟告知書を幹部3人(被告知人)に送付。さらに幹部側の1人である矢野元課長(再告知人)が10月28日付で再訴訟告知書を送付し、元職員(被再告知人)に次の内容を伝えた。

<本件訴訟で被告が敗訴した場合、再告知人は、被告から他の2名の被告知人と連帯して損害賠償を命じられることとなり、再告知人が賠償した場合には、被再告知人である貴殿に対し、 共同不法行為者 (民法719)として賠償した額の一部について求償権行使のための訴えを提起することが予想されることから、民事訴訟法第53条第2項の規定に基づき、 被再告知人に本件訴訟を再告知するものである。>

 112日にあった第1回口頭弁論で町は、国への虚偽報告書は工事担当の元職員が幹部の決裁を受けずに独断で提出したとして、荒木町長ら幹部3人に虚偽報告の法的責任はないと主張している。


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