海底清掃問題

海底清掃、事業費1700万円の7割を動画・観光パンフの制作に支出 屋久島町・環境保全プロジェクト

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町、支出内訳を全面黒塗り  抗議受け口頭説明、ユーチューブ動画 628万円、観光パンフレット 536万円、海底と海岸清掃3日間 534万円

ふるさと納税の寄付金を活用した「環境保全に関する事業」
見積書と表紙
【左】JTBパブリッシングが屋久島町に提出した見積書。町が開示する際に、内訳をすべて黒塗りして全面非開示にした【右】海底清掃の関連事業として制作された観光パンフレット
「るるぶ 特別編集 屋久島」の表紙


 全国から寄せられた「ふるさと納税」の寄付金を活用して、屋久島町が2022年度に実施した海底清掃を主体とする環境保全事業で、総事業費の約1700万円のうち、その約7割に当たる約1165万円が海底清掃そのものではなく、清掃活動を広報する動画と観光パンフレットの制作に支出されていたことがわかった。

 屋久島ポストの情報公開請求に対し、町は当初、詳細な支出の内訳を全面黒塗りで非開示としていた。だが、その後に個別の取材に応じ、ユーチューブ動画に約628万円、観光パンフレットに約536万円を、それぞれ支出したと口頭で説明。一方、事業の主体である海底などの清掃が実施されたのは3日間で、約534万円を支出したという。

 総事業費の約7割を海底清掃活動の広報に支出したことについて、町は「環境保全の活動について広く知ってもらうことで、関係人口(観光客など)の創出や拡大につながることを期待した」などとしている。

旅行大手JTB関連会社と随意契約

 町が実施したのは、海底清掃活動を主体とする「海・川・山の繋がりで豊かな屋久島の自然を守るプロジェクト」で、旅行大手JTBの出版部門を担う関連会社「JTBパブリッシング」が企画を提案。町は20227月、複数の事業者による入札は行わず、「特命随意契約」で同社と業務委託の契約を結んだ。

 同社の見積書などで示された総事業費は16989918円で、業務内容は「海洋清掃業務」と「動画・パンフレットの作成業務」とされた。それを受けて町は、ふるさと納税の寄付金でつくる「屋久島町だいすき基金」から予算を計上。同基金の使途などを定める「屋久島町だいすき寄附条例」で支出が認められた五つの事業のうち、「世界自然遺産をはじめとする地域の環境保全に関する事業」として事業費を支出した。

見積書の内訳は非開示で真っ黒

 同事業について、屋久島ポストは927日に情報公開を請求し、町は1025日に同プロジェクトの企画書や契約書などの関係文書を開示した。だが、同社が提示した見積書の内訳は全面黒塗りで非開示とされ、総事業費である約1700万円の詳細な支出の内容を確認することはできなかった。
黒塗り見積書
JTBパブリッシングが屋久島町に提出した見積書。町が開示する際に、内訳をすべて黒塗りして全面非開示にした

町「営業秘密に関する情報」として黒塗り

 黒塗りにした理由について、町は「屋久島町情報公開条例」の第74号の規定を根拠に「見積書内訳は、見積者が独自の技術ノウハウや経験を基に作成した営業秘密に関する情報であって、公にすることによって競合他社との関係において競争上の地位が低下するおそれがあると認められ、当該法人等の権利その他正当な利益を害する恐れがある」とした。

屋久島ポスト「知る権利を侵害」と抗議

 内訳を全面非開示とする判断に対し、屋久島ポストは「全国からの寄付金が適切に使われたかどうかを確認するためには、見積書の内訳に記載された情報は必要不可欠であり、全面黒塗りでの非開示は市民の知る権利を侵害することになる」と抗議した。

 それを受け、担当の町観光まちづくり課は118日に個別の取材に応じ、①海底と海岸の清掃に5342568円、②ユーチューブ動画に6284850円、③観光パンフレットに5362500円を、それぞれ支出したと口頭で説明。その一方、各事業支出の詳細な内訳について、同課は「事業者(JTBパブリッシング)の技術ノウハウや経験を基に作成した営業秘密に関する情報」などとして説明を避けた。

JTB「るるぶ」と同様の観光パンフも制作

 同社が町に提出した「実施報告書」などによると、①~③の詳細な事業内容は次のとおり。

海底と海岸清掃(3日間):事業費5342568

 事前調査を踏まえて、20221026日と27日、1124日の3日間にわたって島北部の一湊地区で実施。地元のダイバーら延べ24人が参加し、ペットボトルや漁具(網、ブイ、釣り糸、ロープ)などを回収。集めたごみの総量は記載なし。
動画)海底清掃
屋久島町が制作したユーチューブ動画で紹介された海底清掃活動の様子

ユーチューブ動画:事業費6284850

通常バージョン(1026)と「短編バージョン(413)を制作し、ユーチューブで公開。制作の目的は「屋久島だいすき基金の使い道を周知する」「地元住民の地元への愛情が深まる」「観光誘致やふるさと納税につながる」の3点。


【動画】屋久島町が制作した動画「海・山・川の繋がりで豊かな屋久島の自然を守るプロジェクト」(短編バージョン)


観光パンフレット:事業費5362500

「るるぶ 特別編集 屋久島」(12ページ)2万部発行。制作の目的はユーチューブ動画と同じで、JTBパブリッシングが発行する観光ガイドブック「るるぶ」と同様の展開によって、「観光に使える情報も紹介し、屋久島への関心を高める」としている。
観光案内ページ②
海底清掃の関連事業として屋久島町が制作した観光パンフレット「るるぶ 特別編集 屋久島」の一部

主目的は「環境保全活動」 事業費の大半を「広報活動」に支出

 今回の事業は、「屋久島町だいすき基金」の使途を定めた町条例に従って、「世界自然遺産をはじめとする地域の環境保全に関する事業」として実施され、事業の主目的は「環境保全活動」に置かれている。ところが、総事業費の約1700万円のうち、事業の主体である海底などの清掃活動に使われたのは約3割で、その大半となる約7割が清掃活動の「報告」に相当する広報に支出される結果となった。

「わずか3日間の海底清掃」の広報に1165万円支出

 その点について、屋久島ポストは町に対し「環境保全という事業の目的を踏まえれば、約1700万円の大半を海底清掃活動に使うべきであり、わずか3日間の清掃活動を広報するために、ユーチューブ動画や観光パンフレットの制作に約1165万円も支出するのは、寄付金の使い方として不適切ではないか」と指摘した。

町、観光客の増加や新たな返礼品開発に期待

 それに対し、町観光まちづくり課は「町民や観光客などの環境意識の醸成、関係人口(観光客など)の創出・拡大や、(ふるさと納税の)新たな返礼品開発も見込まれるなどの相乗効果も期待できる」として、ふるさと納税の寄付金の使い方として適切だったと主張している。



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  1. 営業秘密?

    JTBパブリッシュが企画して、採用。
    内訳の詳細は非公開。
    営業秘密に関する情報であって、公にすることによって競合他社との関係において競争上の地位が低下するおそれがある
    との理由。
    競争することなく落札しているからこの言い訳は当たらない。
    黒塗りにされるとますます見たくなりますね。

  2. すごい

    ズブズブの関係っぽい

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