荒木町長、確認もせずに業者への「前払い」を決裁 書類に押印 鹿児島県屋久島町・補助金申請うそ記載問題
荒木町長「工事が終わった確認はしていない」
副町長と総務課長も押印、町のトップ3がGOサイン
議会では「事務方が判断」と言っていたのに…
【動画】屋久島ポストの取材に答える荒木耕治町長
補助金申請うそ記載問題について、取材に応じる荒木耕治町長(左)。右は屋久島ポストの鹿島幹男・共同代表(2021年12月1日午後6時30分すぎ、屋久島空港)
鹿児島県屋久島町が、同町の水道整備工事で国に補助金の申請をする際に、うその「工事完成日」を文書に記載して補助金を受け取った問題をめぐり、同町の荒木耕治町長が、問題の工事が終わっていなかったにもかかわらず、工事請負代金を業者に「前払い」する支出命令書に印鑑を押して決裁していたことがわかった。荒木町長は押印した際、工事が終わったかどうかを確認すらせず、「前払い」を決裁していた。調査報道メディア・屋久島ポストの取材で認めた。荒木町長は11月26日の町議会全員協議会で、業者への「前払い」については「事務方が判断した」と説明していたが、自ら決裁していた。支出命令書は副町長と総務課長の印鑑も押してあった。町のトップ3が、国にはうその「工事完了日」を記載していたことを報告しないで、「前払い」にGOサインを出していた。
町議会全員協議会の後、報道陣の取材に応じる荒木耕治町長(中央)。後方右は日高豊副町長、後方左から2人目は鎌田勝嘉・総務課長(2021年11月26日、屋久島町役場議会棟)
町長・副町長・総務課長の押印
業者への支出命令書は今年の「5月6日」に作成され、荒木町長、日高豊副町長、総務課の鎌田勝嘉課長のトップ3が押印した。
荒木町長は11月26日にあった町議会全員協議会などで、国にうその日付を報告したと知らされたのは「4月12日」だったと説明した。「前払い」をした理由について、荒木町長は、2020年度中に工事が完成したと厚生労働省に報告したため、会計処理上、同年度中に支払いをしなくてはいけないと「事務方が判断したようだ」と釈明した。
ところが、実際には荒木町長自身が押印して、業者への「前払い」を決裁していた。しかも、もう工事が終わったのか、それともまだ終わってないのかを確認しないで、決裁の印鑑を押したというのだ。
また、日高副町長と鎌田課長も、当時の担当参事(今年3月末で定年退職)から聴き取りを行い、すべての工事が完成したと装う、うその「工事完成日」が記載された検査調書が作成されたことを知った。それが「4月14日」だったという。
荒木町長ら町幹部は、工事完成前にもかかわらず、支出命令書に印鑑を押して、業者への「前払い」を執行した。その後、屋久島ポストの報道で問題が発覚するまでの約7カ月にわたって、うその「工事完成日」を記載した報告書を提出した事実を厚労省に報告しなかった。
業者へ工事請負代金の前払いを決裁した支出命令書。町長、副町長、総務課長ら町幹部が押印している
「支払い額」と「支払予定日」も記載
支出命令書には、支払い額として約2300万円の金額も記載され、さらに支払予定日まで書かれてあった。その支払い予定日は「5月28日」で、町は工事が未完成のまま、その日に約2300万円を業者に支払った。
しかし、町によると、実際に工事が終わったのは、それから約3カ月後の「9月5日」だった。
問題の水道整備工事は、厚労省から補助金を受けて実施された。町が申請した約1億1800円の補助金を受け取るには、2020年度中の2021年3月末までにすべての工事を終える必要があった。だが、町は実際には工事が終わっていないにもかかわらず、「3月19日」に工事が完成したとするうその検査調書を作成し、鹿児島県を通じて厚労省に提出した。
荒木町長「工事はわっているものだと思った」
荒木町長は12月1日に屋久島ポストの取材に屋久島空港で応じ、支出命令書に押印した際に工事が終わったことを確認したのかと問われると、「確認はしていない」と答えた。荒木町長は「(工事が)終わったという報告は受けていない」と言い、「書類が回ってきて、これは当然終わっているものだと思った」と話した。
【動画】屋久島ポストの取材に答える荒木耕治町長(2021年12月1日夜、屋久島空港)