宮路拓馬衆院議員も「荒木町長個人からの贈答」と認識/屋久島町長交際費問題

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町、国会議員との「信頼関係」で多額の交付金と地方債  宮路、森山の両事務所「個人からの贈答で島産品をPR

国会議員と町の認識に大きな食い違い

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【上】(左から)荒木耕治町長、宮路拓馬衆院議員(Wikimedia Commons より)、森山裕衆院議員(同)
【下】国会議事堂
(Wikimedia Commons より)

 屋久島町の荒木耕治町長が自身の裁量で支出できる交際費を使い、過去5年間に約122万円分の贈答品を延べ85人の国会議員に贈っていた問題をめぐり、宮路拓馬衆院議員(鹿児島1)の事務所が贈答を受けたことを取材に認め、「(町長)個人からの贈答品」「島産品のPR用」だったとの認識を明らかにした。すでに取材に応じた森山裕衆院議員(鹿児島4)の事務所も同様の認識で、国会議員の尽力で過疎法などの対象地域になり、公費による贈答で「町に大きなメリットがあった」とする荒木町長の議会答弁と大きく食い違っている。

宮路事務所、焼酎や果物を「県外の方へPR

 屋久島ポストの取材に宮路事務所がメールで応じた。

 荒木町長からの贈答の有無について、宮路事務所は「焼酎や果物をいただきました」としたうえで、「(町長)個人からの贈答品」だったとの認識を示した。受け取った焼酎や果物は「県外の方へ屋久島の産品のPRとして、提供させていただきました(※事務所スタッフもおいしくいただきました。)」として、贈答した荒木町長に対しては「特段の対応はいたしません」と回答した。

各種贈答品
荒木耕治町長が国会議員に贈答した焼酎やイセエビ、タンカン、パッションフルーツ

森山事務所も「町長個人からの贈答」「名産品のPR用」

 国会議員への贈答をめぐっては、これまで森山事務所が取材に「贈答品は(町長)個人からの贈り物だとの認識でした」と回答。さらに「ご当地の名産品を県外の方にPRする趣旨で、ご当地の酒などを送って頂いたことがあります。趣旨に従い、県外の方に地元屋久島の名産品を紹介し、地元産品のPRに努めているところです」としている。

 森山衆院議員は農水相などを歴任した7期目のベテランで、現在は自民党の選挙対策委員長などの要職を務めている。また、宮路衆院議員は現在3期目ながら、内閣府大臣政務官や総務大臣政務官などを歴任した自民党の若手議員だ。

 鹿児島県選出の国会議員として、政府与党で要職を務める両議員の事務所が贈答について「(町長)個人からの贈答」「町産品のPR用」と認識している格好だが、その一方で、贈答した荒木町長ら町幹部はまったく違う主張をしている。

国会議員に「おいしい焼酎があるよね」と言われて贈答

 まず、荒木町長は82日の取材に「私が森山事務所でいろいろな先生方に会って、お世話になることが多く、お礼の形で1本か2本を渡している」と説明。総事業費24億円の新庁舎建設や同18億円の町営船「フェリー太陽Ⅱ」の建造などで補助金を申請する際にも、森山衆院議員をはじめ、多くの国会議員に陳情や相談をしており、「自分ができる範囲であれば、何か返すものだというのが自分の(考えの)なかにあるので、お礼をしている」。さらに「焼酎を贈るのはなぜかというと、私が行くと、国会議員は(焼酎の)三岳を知っている。『おいしい焼酎があるよね』と必ず言われるので、私も贈らなくてはいけないという気持ちになる」と話した。

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豪華なサロンやエレベーターなども備えられた「フェリー太陽Ⅱ」(屋久島町ウェブサイトより)

荒木町長、公費による贈答で「町に大きなメリット」

 また、913日にあった町議会一般質問で、多額の贈答品に公費を支出している問題を指摘された荒木町長は「(公費からの贈答は)妥当だと思っている」と答弁。続いて、国会議員らへの贈答によって、有人国境離島法や過疎法の恩恵を受けられるようになるなど、「町に大きなメリットがあった」と述べた。

荒木町長議会答弁
屋久島町長の交際費問題について答弁する荒木耕治町長(2022年9月13日、屋久島町議会)

日高副町長、国会議員への贈答で「町益を確保」

 さらに、町長交際費の支出を決裁している日高豊副町長は、贈答で国会議員と「信頼関係」を築き、「町として町益をどう確保するかというために町長の交際費を支出している」と答弁。過疎法や有人国境離島法で屋久島町が対象から外されそうになった際に、国会議員に働きかけた成果で対象地域となり、多額の交付金や地方債を得ることで「町民の利益」になったと主張した。


【動画】屋久島町長の交際費について町議会で答弁する日高豊副町長(2022年9月13日、同町議会YouTubeチャンネルより)

●焼酎400本やイセエビなど 延べ85人の国会議員に贈答

 一連の町長交際費問題では、20172021年度の5年間で、荒木町長が延べ85人の国会議員に贈答品を贈り、1222569円を支出したことが屋久島ポストの取材でわかっている。そのうち、焼酎の支出は985323円で、「三岳」「愛子」「水ノ森」などの銘柄を中心に約400本を贈答。 季節の果物では、パッションフルーツやタンカンなどを贈り、12412円を支出したほか、魚介類ではイセエビや水イカ、アサヒガニなど116834円分を贈っている。

 これらの支出記録について、町は「個人情報」を理由に、国会議員の氏名を黒塗りにして、個人名の開示を拒否。それを受け、屋久島ポストは県選出の全国会議員にメールを送り、贈答の有無や贈答品に対する認識などを質問している。

■屋久島町長交際費問題の記事一覧

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