【取材後記】交際費から1件100万円を支出する町 屋久島町長交際費・住民訴訟

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元町長の弔慰金に100万円の岩手県雫石町 国会議員の贈答に1100万円も可能な屋久島町

金額を定めたルールなく「違法ではない」
取材後記20230813

【左上】荒木耕治町長【右上】国会議事堂(Wikimedia Commonsより)
【下】荒木町長が国会議員に贈答していた(左から)焼酎、イセエビ

 今年6月、温泉とスキーのリゾート地として知られる岩手県雫石町から、一般の庶民では信じられないようなニュースが流れてきた。亡くなった元町長の弔慰金として、雫石町長が交際費(2022年6月)から100万円を支払ったというのだ。

 町議会6月定例会で、一般質問に立った町議が「町長経験者への弔慰金は常識的な金額にすべきだ」と指摘。それに対し、町長は「常識的な金額というのは様々な見方もある」と答弁したという。

弔慰金の金額を明示したルールなし

 雫石町では、町長交際費の支出基準を定めた内規があり、元町長への弔慰金は「過去の例を参考に、関係者で(金額を)協議する」とされている。それを踏まえて2008年以降、亡くなった元町長2人の遺族にそれぞれ100万円の弔慰金が支払われている。一方、岩手県内の自治体では、首長経験者の弔慰金は「香典代程度」というのが一般的で、12万円ほどのケースが多いという。

読売新聞記事

岩手県雫石町で元町長の弔慰金に100万円が支払われた問題を報じた読売新聞の記事(2023年6月14日付)

雫石町長「高いか安いかは地域の実情」

 町民の公金から弔慰金100万円。一般の社会通念では考えられないほどの高額だが、記者会見の様子を伝えた記事にある町長のコメントが実に興味深い。

100万円が高いか安いかは地域の実情だ」

「高い安いは私からはコメントできない」

(100万円に決めた)先人の考え方も尊重しなければならない」

 なんとも要領を得ない説明で、町長自身でも100万円が適切なのか否かがわかっていないようだ。そして、明確に一つ言えることは、町のルール上は100万円でも問題がないということで、それゆえに町長は「先人の考え方」を尊重したのであろう。

屋久島町、社会通念に配慮せず「違法ではない」

 さて、高額な贈答をめぐって住民訴訟になっている屋久島町ではどうか。

 荒木耕治町長は「妥当な金額の贈答」だとして、特定の国会議員に1件で数万円~10万円分の高級焼酎などを贈り続けていた。町長交際費の支出基準を定めた町要綱では、贈答で支出できるのは「社会通念上妥当と認められる額」となっているだけで、明確な金額が示されていない。そのため、町は110万円分の贈答でも「違法ではない」と言い張っているのだ。

 町の指定代理人である法務事務専門員が起案した答弁書などに目を通すと、「違法でなければ何をしてもいい」と言わんばかりの姿勢が伝わってくる。町の主張には、広く町民が共有する「社会通念」への配慮は一切なく、荒木町長が決めた金額であれば、それがいくらであっても「妥当」ということになる。

 雫石町の弔慰金100万円のニュースに触れて、これは他人事ではないと感じた。荒木町長が国会議員への贈答に1100万円を支出しても、それを制限するルールが屋久島町にはなく、私たち町民は、そんな法外な金額の贈答を黙認するしかないのだ。

裁判官も疑問視する荒木町長の高額贈答

 一方、こんな状況のなかで救われるのは、住民訴訟を審理する裁判官が、原告の住民に「町にどうしてほしいのか」と尋ねていることだ。それに対し、住民は「贈答額の上限を1万円に制限」することなどを町に求める方針だという。

 さらに、裁判官は「違法かどうかは別にして、贈答の金額や頻度が多いという印象がある」と言っているというが、これにも本当に救われる。贈答額を制限する法令や内規がないなかで、それでも「金額や頻度が多い」という見解を示すということは、暗に「社会通念を逸脱した金額の贈答だ」と言っているようなものである。

国会議員への高額贈答は屋久島町だけ

 それにもかかわらず、町は荒木町長の高額贈答を「違法ではない」と主張。さらに、他の自治体の例を調べ、国会議員の贈答について「11万円以下とする基準を定めている事例はもちろんのこと、国会議員への贈答品の贈答自体を禁じたり、あるいは一定の金額に限定するなど特段の定めを置いている公共団体は見当たらなかった」と言っている。

 それでは他の自治体が、どうして国会議員の贈答について「特段の定め」をしていないのか。その答えは極めて簡単である。

 特定の国会議員に対して、高額な贈答を集中的に継続しているのは屋久島町だけであり、その他の自治体では起こり得ないからだ。つまり、どの自治体も「社会通念」に従って贈答をしており、ことさらにそれを制限するルールが必要ないということである。

 「違法でなければ何をしてもいい」。そろそろ屋久島町は、そんな不遜な態度を改めるべきである。

■雫石町の弔慰金100万円問題の記事

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  1. ご意見番

    どのように考えても、住民訴訟後の対応は、法務事務専門員の間違った指導が大きく影響している。
    かって、「私の行政は情の部分が濃ゆかったかも知れない」と町長室での、屋久島ポストの取材には素直に反省して居る。
    指導が入ると一転「必要不可欠」とか「常識の範囲」等と豹変する。
    全く為政者としての自主性が見られない。
    繰り返すが、法務事務専門員の報酬は、我々住民の税金である。無駄金だと思っている。
    貴方は其れでも務めますか?

  2. 有権者1

    法務事務専門員とやらは町から手当を受領してながら、荒木町長の擁護に終始してます。
    荒木町長の代理人ならば荒木町長から手当受領して下さいよ。
    貴殿がやるべきは荒木町長の擁護ではないです。
    そもそも法務事務専門員なるポジションなど設けてるのが大間違い。
    町にそんなに無駄金あるなら他に回して下さい。
    アドバイス受けた町長の【赤カブ答弁】は笑う以前に呆れます。
    どうせならもっとまともなアドバイスを。
    町長として恥ずかしいばかりですよ。

  3. 参考までに。

    地方公共団体が顧問弁護士を雇用した場合の顧問料は、平均的には月額5万から8万円位だと言われている。
     いかに法務事務専門員が破格の報酬で雇用されているかがお分かりでしょう。
     前町長からの悪習が継承されている。
    無駄な予算は徹底的に洗い直して町民のために使いましょう。
     血税の重みを噛み締めて欲しい。

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