荒木町長、森山事務所のコメントは「屋久島ポストの想像」 屋久島町長交際費問題
国会議員への贈答で多額の交付金「大きなメリット」
荒木町長「反省」から一転 高額贈答は「妥当」と議会答弁

屋久島町長の交際費問題について答弁する荒木耕治町長(2022年9月13日、屋久島町議会)
 屋久島町の荒木耕治町長が自身の裁量で支出できる交際費を使い、過去5年間に約370万円分の贈答品を贈っていた問題をめぐり、荒木町長は9月13日の町議会で、国会議員らへの贈答によって、有人国境離島法や過疎法の恩恵を受けられるようになるなど、「町に大きなメリットがあった」との認識を明らかにした。特定の国会議員に贈った50万円分の贈答品などの交際費支出についても、「妥当だと思っている」と答弁。8月2日の屋久島ポストの取材では、これまでの贈答が不適切だったと認めたうえで、「今後は頻度や金額を改める」としていたが、その姿勢を一転させて、一連の贈答が適切な支出だったと主張した。
この日あった町議会で、真辺真紀町議が一般質問に立ち、過去5年間に贈答した焼酎930本など計370万円分の支出について、「予算の執行上、妥当な金額と思うか」と質問。それに対し、荒木町長は「妥当だと思っている」と即答した。

荒木耕治町長が国会議員らに贈答した焼酎やイセエビ、アサヒガニ
焼酎140本などを贈られた森山事務所「(荒木町長)個人からの贈り物という認識」
続けて、真辺町議は森山裕衆院議員(鹿児島4区)に焼酎140本やイセエビ、水イカなど、少なくとも50万円分の贈答品が贈られていることを指摘。森山事務所が屋久島ポストの取材に「(荒木町長)個人からの贈り物という認識だった」とコメントしたことを踏まえ、「本来は公費で贈答すべきではなかったのではないか」と問いただした。だが、荒木町長は贈答先の個人名を非開示にしているとしたうえで、「どこから、どう(森山議員を)特定したのかわからないが、それは屋久島ポストの想像でしかないと思う」と報道内容を一蹴し、自身の見解には言及しなかった。
国会議員の尽力で多額の交付金「そのお礼に贈答した」
さらに真辺町議は、国会議員は国民の税金から歳費を受け取っているとして、「町が贈り物をしないと、(国会議員が)何かをしてくれないという考え方が間違っているのではないのか」と質問。それに対し、荒木町長は有人国境離島法の制定や過疎法の改正において、当初は外されていた屋久島町が国会議員の尽力で対象となったことで、「(多額の交付金や地方債で)町に大きなメリットがあり、そのお礼として、そういうこと(贈答)をしたと理解している」と述べた。

屋久島町長の交際費問題について答弁する荒木耕治町長(2022年9月13日、屋久島町議会)
日高豊副町長、国会議員への贈答で「大きな効果を発揮」
また、町長交際費の支出を決裁する立場の日高豊副町長は、過疎法の対象になると年8億円の地方債が起債できることなどを踏まえ、贈答で国会議員と信頼関係を築くことで、「町が大きな問題に直面したときに、大きな効果を発揮してくれると思っている」とした。
一方、今後の贈答のあり方について、荒木町長はほかの自治体より高額だとの指摘を受けているとして、「(交際費の支出基準の)要綱を見直すようであれば、今後は検討したい」と述べるに留まった。

屋久島町長の交際費問題について答弁する日高豊副町長(中央)。前列右は荒木耕治町長(2022年9月13日、屋久島町議会)
荒木町長「私の政治は情の部分が多かったと反省している」
この交際費問題をめぐっては、荒木町長が過去5年間に約370万円分の贈答品を国会議員や鹿児島知事らに贈っていたことを、8月末に屋久島ポストが報道した。その事前取材で、荒木町長は「総額で(交際費が年)80~100万円ぐらいあり、この予算を超えなければ自由に使えると思っていた」と釈明。ほかの自治体より高額で、一連の支出が地方自治法に違反する疑いなどを取材で指摘されたことで、「私の政治は情の部分が多かったかもしれないと反省している。今後は金額や頻度を改めていきたい」と述べ、これまでの交際費の使い方が不適切だったことを認めていた。

衆院議員5人に焼酎「三岳」「愛子」「水ノ森」を計30本、8万6160円分を贈答した際に起票した「交際費使用伺い」の文書。贈答する理由は記載されておらず、議員5人の氏名は「個人情報」を理由に黒塗りされて開示された
森山事務所、今後の公金での贈答は「常識の範囲内で」との要望だが・・・・・・
また、森山衆院議員に少なくとも50万円分の贈答品が贈られていたことを受けて、森山事務所は8月末、屋久島ポストの取材に「贈答品は(荒木町長)個人からの贈り物だとの認識でした」と回答。さらに「今後は『町民の大事な公金』での贈答品については、常識の範囲内での贈答につとめていただきたいと思います」と要望するコメントを出している。
一方、この日の議会で、荒木町長は「どこから、どう(森山議員を)特定したのかわからないが、(森山事務所のコメントは)屋久島ポストの想像でしかないと思う」と答弁。だが、8月2日の屋久島ポストの取材では、町長自ら森山衆院議員に多額の贈答品を贈ったことを認めており、取材と議会での発言内容が大きく食い違っている。
■屋久島町長交際費問題の記事一覧

 
																											 
																											 
																											 
																											 
																											 
																											 
																											 
																											 
																											 
																											