【詳報】住民「町長は私費での贈答を代替する形で、公費による贈答を始めた」 屋久島町長交際費・住民訴訟

yakushima-post

国会議員への個人贈答、荒木町長「いつ何を贈ったかはあまり覚えていない」
裁判官「品物と金額」町長への聴き取りを要請
地裁と焼酎①
【上】鹿児島地裁の外観と法廷(裁判所ウェブサイトより)
【下】屋久島町の荒木耕治町長が国会議員に贈答していた高級焼酎「三岳原酒」

 屋久島町の荒木耕治町長が交際費で国会議員らに高額な贈答をしたのは違法な支出だとして、同町の住民が町を相手取り、荒木町長に贈答で使った約200万円を賠償請求するよう求めた住民訴訟――。

 被告の町は1031日に鹿児島地裁であった第5回口頭弁論で、荒木町長が自民党の森山裕衆院議員(鹿児島4)に私費で贈った個人的な贈答品について、品物や金額を町長から聴き取って報告することを、裁判官から求められた。原告の住民から「町長就任まで続けていた私費での贈答を代替する形で、公費による贈答を始めた」可能性を指摘されたためで、荒木町長が私費による贈答の送り状や購入記録を証拠提出できるかどうかが注目される。

荒木町長「町長になってからも家の住所から個人名で送ってはいた」

 町が提出した準備書面によると、荒木町長は町指定代理人の聴き取りに「町長になってからも家の住所から個人名で送ってはいたが、いつ何を贈ったかはあまり覚えていない。送り状もとってないと思う」と説明。その後、「探したところあった」と言って、2020年に個人として森山衆院議員に贈った贈答品の送り状を2通提出したとしている。
送り状
屋久島町の荒木耕治町長が森山裕衆院議員に私費で贈答した証拠として、町が裁判所に提出した2通の送り状(※個人情報保護のため一部でモザイク加工をしています)

住民、直近の贈答「記憶が全くないのは極めて不自然」

 それに対し住民は、荒木町長が町議会で、町長に就任する以前から森山衆院議員ら国会議員への「お中元」や「お歳暮」として、個人的な贈答を「ずっと」続けている旨の説明をしていることから、「(荒木町長は)いま現在でも、公費での贈答とは別に、私費での贈答を続けていることになる」と指摘。だが、荒木町長が「いつ何を贈ったかはあまり覚えていない」と曖昧な回答をしていることを踏まえ、住民は「長年、毎年2回にわたって個人的に贈り続けてきた『お中元』や『お歳暮』であれば、直近にした贈答について記憶が全くないというのは極めて不自然」と主張した。

個人贈答 12年間で2件のみ「極めて不自然」

 さらに、荒木町長が証拠提出した個人贈答の送り状が2通のみだったことについて、住民は「(町長の初当選から) 12年間で贈答した記録がわずか2件しかないというのも極めて不自然」と主張。少なくとも、直近の2022年に贈答した「お中元」と「お歳暮」については、「購入先や宅配業者に照会をかければ、贈答記録が入手できるはずであるが、荒木町長は証拠提出をしていない」と指摘した。

 これらの指摘を踏まえ、住民は「(荒木町長は)町長に就任して以降、森山衆議院議員ら国会議員への個人的な贈答を取りやめたと考えるのが自然である」と主張。さらに、「町長就任まで続けていた私費での贈答を代替する形で、公費による贈答を始めたと思料される」としている。

町、1114日までに回答予定

 訴訟関係者によると、裁判官は1031日の口頭弁論で、最近の私費による贈答について「はっきり覚えていなくてもいいので、品物と金額を(荒木町長に)聴いてほしい」と町指定代理人に要請。町が1114日までに準備書面で回答することになったという。

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事
これらの記事も読まれています
記事URLをコピーしました