賠償責任「わざとではない」と逃げる町幹部【訴訟の町⑦】屋久島町長選2023

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補助金不正、国への未報告「意図的」「故意」でないと主張 地裁、荒木町長らの注意義務違反を認め「135万円を賠償せよ」

民法709(不法行為による損害賠償)に違反

【訴訟の町⑦】
【上左】工事未完成で「工事完成」と報告した虚偽の検査調書【上右】屋久島町の荒木耕治町長【下】鹿児島地裁の法廷と外観(裁判所ウェブサイトより)

 訴訟続きだった312年にわたる屋久島町の荒木町政。今年11月に荒木耕治町長が任期満了を迎えるのを前に、現町政で続いた訴訟を振り返り、その問題を検証する連載の7回目は、不正や不祥事を受けて、町がよく使う「意図的ではない」「故意ではない」という言葉を取り上げる。

    

荒木町長ら町幹部、不正調査せず放置

 今年96日にあった水道工事の補助金不正請求をめぐる住民訴訟の判決で、鹿児島地裁は町幹部の管理責任を一部で認め、国に返還した補助金に対する加算金として納付した135万円について、町が荒木町長らに賠償請求するように命じた。その理由として地裁は、工事が未完成の段階で、町がすべての工事が終わったとする虚偽の報告書を国に提出したことが判明した後も、荒木町長らが不正調査をしないまま放置し、虚偽報告の事実を国に伝えなかったことを挙げた。


不正職員の説明を信じた結果で「違法性はない」

 ところが訴訟で町は、不正調査をしないまま、国に虚偽報告の事実を伝えなかったことについて、「意図的ではない」「故意ではない」として、荒木町長らに法的責任はないと主張。虚偽報告をした担当職員が「国への報告の必要はない」と説明したことを信じた結果であり、「不法行為上の損害賠償をしなければならないほどの違法性があるとは考えられない」との見解を示していた。

 要するに荒木町長らは、「意図的」に不正調査をせず、「故意」に虚偽報告の事実を国に伝えなかったわけではないから、それは不法行為には当たらないということである。

虚偽文書1
不正をした職員は、工事が未完成の段階で、すべての工事が完成したとする虚偽の内容を記載した検査調書を作成して、国に報告書を提出していた

地裁、不正職員の説明を「たやすく信用すべきでなかった」

 しかし、地裁はその主張を認めなかった。荒木町長らは不正調査をして、「国に対しその結果を報告するように指示するべきであった」としたうえで、「荒木町長らは職員の説明をたやすく信用すべきではなかった」と指摘。そして、荒木町長らには「町に対する注意義務違反が認められる」と結論づけた。

「故意」でなく「過失」でも賠償責任

 その判断の根拠となったのは、民法の第709(不法行為による損害賠償)で、その条文には次のように記載されている。

「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」

 つまり「故意」に加えて、「過失」であっても、他人の利益を侵害した場合は、損害に対する賠償責任を負うということである。「過失」とは「不注意や怠慢などから起こる失敗」であり、法的に言うと「通常の注意を欠いたために、結果に対する認識がないこと」になるが、そうであっても、法的な責任を負うということだ。

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【左】鹿児島地裁の法廷【右】鹿児島地裁(裁判所ウェブサイトより)


不正職員の説明を鵜呑み 国に確認せず

 わざとやったのでなければ、その責任を負う必要はない――。そんな身勝手な主張が通じると、町の指定代理人を務める法務事務専門員や総務課の職員は本当に考えているのだろうか。

 荒木町長らが国に報告しなかったのは、工事を担当した職員の説明を信じたからだというが、そもそも虚偽報告をするような職員の言い分を鵜呑みにしたこと自体が大きな問題だ。本来であれば、「国への報告の必要はない」と説明する職員を疑い、補助金を出した厚生労働省に「本当に報告する必要はないのでしょうか?」と確認すべきである。

その意味で、荒木町長らは管理職として、当然果たすべき責務を放棄したに等しいと言わざるを得ない。さらには、不正をした職員の説明を信じて、国に報告しなかったという経緯そのものが、「虚偽の説明なのではないか」と疑われても仕方がないであろう。

「意図的」「故意」か否かに関係なく賠償責任

 意図的で故意かどうかは、人の内心に関わることであり、他人が立証するのは極めて難しい。それを逆手に取って、「自分はわざとやったのではない」と主張することは簡単だが、それですべてが許されるはずはない。

 それゆえ、裁判官も「意図的」で「故意」であったかどうかに関係なく、荒木町長が自治体の首長として管理監督責任を果たしていないとして、賠償責任を認めたのであろう。

旅費不正でも「着服の意図なかった」

 そういえば、一連の出張旅費不正の時も同じだった。荒木町長も、岩川浩一副町長(当時)も、岩川俊広議長()も、誰もが「着服の意図はなかった」などと釈明して、出張旅費の不正請求を否定していた。

 地方自治体の首長には極めて重い責任がある。もうこれ以上、「意図的ではない」「故意ではない」と言って、自身の責任から逃げるのは止めるべきなのだが、荒木町長はこの判決が不服だとして、すでに高裁に控訴している。

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  1. 重要です

    「意図的ではない」「故意ではない」
    冗談ではありません。不正を意図的とか故意でやられたら、たまったもんではありません。
    こんな幼稚な言い訳が裁判の場で通用すると思っていること自体幼稚な自治体です。
    今後もこのような行政運営が繰り返されるのは目に見えています。
    今度の選挙は、自分たちのまともな生活を取り戻す為に最も大切なことは言うまでもありません。
    現職を除いて誰が一番、現状を打破して、失っている信頼を取り戻す事が出来るか、しっかり考えて投票しましょう。
    現職は駄目ですよー

  2. 責任逃れも甚だしい

    意図的であろうが、なかろうが、管理責任から逃れられません。
    意図的でも、故意でもなく、職員に丸投げならば、首長も管理職も必要な存在ではないので揃って辞職願います。

  3. touzan

    彼らは、足が地についていない、ふわふわと漂っているだけ。
    大地にしっかりと根を張っていない、
    だから物事に対処するときに流されてしまう、
    このことが問題なのは、こういう状態にあることに本人が気づいていないことだ。
    操る側にとっては非常に都合がいい人達。

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