町議会 取材拒否問題

【主張】憲法保障の「法の下の平等」に反した議長の人権感覚/屋久島ポスト

yakushima-post

石田尾議長、「報道ではない」と町民の職業を否定し議会取材を拒否

法的根拠を示さずマスコミだけに取材許可

【左】議員席から取材を拒否する理由を問われた後、手を出して町議の発言を制止する屋久島町議会の石田尾茂樹議長=2021年12月7日、屋久島町役場議会棟【右】石田尾茂樹議長が屋久島ポストに議会取材を許可することを伝えた文書(2025年4月18日付)

 屋久島町民が運営する市民メディア「屋久島ポスト」が創刊したのは2021年11月。それ以来、屋久島町議会の石田尾茂樹議長は約3年半にわたり、屋久島ポストの議会取材を拒否し続ける一方、新聞やテレビなどのマスコミ各社には取材を許可してきた。

 それは、なぜか?

 マスコミ各社が加盟する日本新聞協会や日本民間放送連盟などに、屋久島ポストが入っていないからだ。それゆえに屋久島ポストだけでなく、フリーランスの記者や独立系のネットメディアなども傍聴席では撮影も録音もできず、議会取材から排除され続けてきた。

フリー記者らは「報道ではない」とレッテル
 それでは、何を根拠に取材拒否をしているのか?

 屋久島町議会傍聴規則の第9条で、「傍聴人は、傍聴席において写真、映画等を撮影し、又は録音等をしてはならない」と定めているからだ。だが、それならマスコミ各社も取材できないはずだが、この条文には続きがある。

「ただし、特に議長の許可を得た場合は、この限りでない」

 つまり、マスコミ各社は石田尾議長から「特別な許可」をもらい、傍聴席で撮影と録音をしているということだ。さらには、屋久島ポストを含めたフリー記者やネットメディアは、石田尾議長から「報道ではない」とレッテルを貼られたということである。

屋久島ポスト、町政めぐる記事 850本超
 しかし、石田尾議長には、どの取材者が「報道」であるかどうかを決める権利はない。この約3年半で、屋久島ポストは850本超の記事を配信しており、その大半は屋久島町政をめぐる問題だ。特別に取材を許可されているマスコミ各社と比べても、桁違いに数多くの記事を出しており、屋久島ポストが「報道」していることは明らかである。

 これらの経緯を踏まえると、取材拒否を続ける石田尾議長の判断は、「法の下の平等」や「表現の自由」を保障した憲法に違反するものだ。恣意的に屋久島町民の職業を否定したうえで、その町民を議会取材から排除する。町民1万1000人の代表が集う町議会の議長としては、あるまじき行為であり、町民の人権を侵害するものである。

「議会の私物化」は許されない
 その石田尾議長が4月18日、屋久島ポストが出した「議会取材許可申立書」に対し、これまでの判断を一転させて取材を許可した。どうして方針を転換したのかは定かでないが、おそらく、取材を拒否する法的な根拠がないのであろう。マスコミ各社は「報道」で、それ以外の取材者は「報道ではない」と区別することは認められず、その当然の事実に気づいたのではないか。

 言うまでもないが、屋久島町議会は町民のものであり、こんな「議会の私物化」は許されないことを、石田尾議長は肝に銘じるべきである。


■石田尾議長が屋久島ポストに送付した文書

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事
これらの記事も読まれています
記事URLをコピーしました