随意契約の必要性を立証する町書面、提出期限10日過ぎても届かず 海底清掃事業・住民訴訟/屋久島ポスト
原告町議、9月の町議選前に反論するため「一日も早く提出を」
地裁、町代理人の和田久法律事務所に催促中

【上左】海底清掃事業を請け負ったJTBパブリッシングが入るJTBグループのロゴとスローガン【上中・上右】「屋久島町ふるさと納税」と屋久島町のロゴ(町ウェブサイトより)【下】屋久島町役場
ふるさと納税で「屋久島の自然を守って欲しい」と寄付された1700万円を活用して、屋久島町が2022年度に実施した海底清掃を主体とする環境保全事業で、総事業費の大半が海底清掃そのものではなく、屋久島の観光情報を紹介するガイド冊子や動画の制作費に支出された問題をめぐる住民訴訟――。
その後の取材で、8月22日までに提出される予定だった被告町の準備書面が、提出期限から10日となる9月1日午前10時までに、原告の渡辺千護町議に届いていないことがわかった。この準備書面で町は、同事業を特定の業者に随意契約で業務委託した必要性と相当性を主張および立証することになっている。渡辺町議は受領後すぐに反論する予定で、「一日も早く提出してほしい」と訴えている。
地裁、8月22日期限で随意契約の必要性の立証求める
渡辺町議は7月4日に開かれた第5回口頭弁論で、町がこの事業を実施する際に競争入札を行わず、優先的にJTBパブリッシング(本社・東京都江東区)に業務を委託したのは、違法な特命随意契約だったと主張した。同社には海底清掃事業を手掛けた実績がないことから、「町が特命随意契約を結ぶ合理的な理由はない」として、事業費1700万円の全額が違法な支出だったと訴えた。
この主張を受けて、鹿児島地裁は町に対し、JTBパブリッシングに業務を委託した理由と必要性を明確に主張および立証するように求め、8月22日を準備書面の提出期限としていた。

海底清掃事業をめぐる住民訴訟が提起された鹿児島地裁=鹿児島市山下町、屋久島ポスト撮影
地裁が電話で催促も届かず
渡辺町議によると、提出期限を4日過ぎた8月26日になっても準備書面が届かないため、鹿児島地裁の担当書記官に電話で問い合わせたところ、その時点で地裁にも届いていないことがわかった。地裁は提出期限後に町の代理人である和田久法律事務所の新倉哲朗弁護士に電話で催促したとしたうえで、8月26日までに届いていないと説明したという。
次回の第6回口頭弁論は9月30日。渡辺町議は9月16日に告示される屋久島町議選に立候補するため、8月中に反論を検討する予定だったという。