制作費630万円の海底清掃動画、公開2年でわずか1750回の視聴回数/屋久島ポスト
町制作の動画、大半が数万~240万回の視聴回数 → 寄付金1700万円支出の海底清掃、動画視聴1750回では成果不十分
屋久島町海底清掃事業問題

屋久島町が制作した動画が投稿されている町公式 「YouTubeチャンネル」の画面
ふるさと納税で「屋久島の自然を守って欲しい」と寄付された1700万円を活用して、屋久島町が2022年度に実施した海底清掃を主体とする環境保全事業で、総事業費の大半が海底清掃そのものではなく、屋久島の観光情報などを紹介するガイド冊子や動画の制作費に支出された問題――。
同事業で制作された動画「海・山・川の繋がりで豊かな屋久島の自然を守るプロジェクト」(長編)の視聴回数が、公開から2年で約1750回に留まっていることがわかった。屋久島町が主体的に制作し、同町公式「YouTubeチャンネル」で公開している大半の動画の視聴回数は数万~240万回。海底清掃の動画制作には約630万円が支出されたとされており、制作費に見合った成果が得られていないとみられる。

屋久島町が制作した動画「海・山・川の繋がりで豊かな屋久島の自然を守るプロジェクト」(長編)を紹介する町公式 「YouTubeチャンネル」の画面
【動画】https://youtu.be/34xN9aHwdRo
町、JTBパブリッシングに動画制作を委託
この動画は屋久島の魅力や海底清掃活動の様子を紹介することを目的に、屋久島町が旅行大手JTBの出版部門を担うグループ会社「JTBパブリッシング」(本社・東京都江東区)に委託して制作した。内容的には全く同じの長編(10分)と短編(4分)の2本を制作し、町は制作費に約630万円を支出したとしている。
海底清掃動画、桁違いの不人気ぶり
屋久島町公式「YouTubeチャンネル」をみると、MBC南日本放送などが制作した作品を除き、町が主体的に制作した動画の投稿は約30本。その多くは数万~240万回視聴されており、最も人気がある「[屋久島Yakushima] A Fulfilling Journey | 生命が満たされる旅[Promotion] [4K]」は、公開から4年8カ月で約243万1000回視聴されている。
その一方、海底清掃事業で制作した動画の視聴回数は低迷している。長編は2023年7月の公開から約2年間で約1750回。長編を短く編集した短編も約1570回で、その他の作品と比べて、桁違いで大きく水をあけられている。

屋久島町が制作した動画「[屋久島Yakushima] A Fulfilling Journey | 生命が満たされる旅 [Promotion] [4K]」(長編)を紹介する町公式 「YouTubeチャンネル」の画面
【動画】https://youtu.be/VP3Yl5NHQMk
寄付者の期待に応えられず
海底清掃事業の動画によって、町は「屋久島だいすき基金の使い道を周知する」「地元住民の地元への愛情が深まる」「観光誘致やふるさと納税につながる」と期待する。だが、公開から2年間の視聴回数は約1750回に低迷。「屋久島の自然を守って欲しい」と託された寄付金1700万円を支出した事業としては、寄付者の期待に応えられる成果が得られていないとみられる。
この事業への支出をめぐっては2024年8月、ふるさと納税の寄付金の使途を定めた「屋久島町だいすき寄附条例」に違反しているなどとして、同町議会の渡辺千護町議が町を相手取り、事業に支出した約1700万円を荒木耕治町長ら町幹部3人に賠償請求するように求める住民訴訟を提起。これまでに5回の口頭弁論が開かれ、早ければ年内にも結審する見込みとなっている。