「事実関係わからない」 屋久島町議が現場視察 補助金書類うそ記載問題
屋久島町、うその「工事完成日」記載に言及せず
【解説】決算審査特別委は関係者の事情聴取を
▶記事のポイント
・町の主張を裏付ける証拠写真なし
・決算審査特別委の調査は急務
・うその記載を是か否か、12月議会で判断へ
水道工事の現地視察をする屋久島町議会・決算審査特別委員会の委員ら(2021年11月16日、屋久島町の口永良部島、関係者提供)
鹿児島県屋久島町が、同町の水道整備工事で国に補助金の申請をする際に、うその「工事完成日」を文書に記載して補助金1億1000万円を受け取った問題をめぐり、同町議会の決算審査特別委員会の委員が11月16日、問題となった口永良部島の水道工事の現場を視察した。現地では、整備事業を担当した町生活環境課の職員が工事の状況について説明したが、関係者によると、うその「工事完成日」を記載した点には言及しなかったという。特別委の榎光徳委員長は屋久島ポストの取材に対し、「視察では事実関係が分からなかった」として、今後は工事に関係する文書や写真などを調査して、町議会の12月定例会で報告する方針を示した。
うその記述について説明なし
現地を視察したのは特別委の町議8人だ。11月16日早朝に屋久島を町営船「フェリー太陽Ⅱ」で出発。口永良部島の工事現場で町職員から説明を受けたのち、チャーターした漁船で同日午後4時半ごろに屋久島へ戻った。
視察した関係者によると、工事の経過説明では、補助金を申請するのに必要な事業実績報告書に、うその「工事完成日」を記載した経緯について、町職員から言及はなかったという。
一方、これまで町が主張している「国の補助事業部分は今年3月末の工期内に工事が終了していた」という点については、視察した議員から、工事が終わったことを証明する「日付が入った写真はあるのか」との質問が出た。それに対し、町職員は「写真はない」と答えたという。
しかし、そもそもこうした町側の主張について、厚生労働省と鹿児島県は受け入れていない。
日高豊副町長と矢野和好・生活環境課長は11月11日に鹿児島県庁を訪ね、問題の工事について、「国の補助事業部分の工事は工期内に終わっていた」と弁明。それに対し、県の担当課は「すべての工事が終わってから事業実績報告をするべきだ」との認識を示している。厚労省も屋久島ポストの取材に「仮に日付を偽った虚偽の報告となると、補助金の返還を求める可能性がある」としている。
詳細な説明を避ける町
この日の視察を終え、生活環境課の職員は屋久島ポストの取材に「現地では、昨年度に実施した水道施設整備事業について説明した」と話した。一方で、「事業実績報告で、うその記載をした点について、どのように説明したのか」と尋ねると、詳細な回答はなかった。
屋久島町議会は、うその「工事完成日」を記載したことを容認するのか、しないのか──。町議会の対応が注目される。町議会は今月の11月26日に臨時議会、12月初旬には定例会を開催する予定。
【解説】早急な事情聴取で 詳細な経緯 解明を
うその「工事完成日」を記載して国の補助金を受け取った問題は、町議が工事現場を視察しても、その詳細な経緯は明らかにならなかった。町の担当課は、国から補助金を受けた部分の工事は「今年3月末の工期内に終わっていた」と主張しているが、その証拠となる写真がないことも、今回の視察でわかった。さらに鹿児島県も、国への事業実績報告は「すべての工事か終わってから提出すべき」との認識を示している。
そうであれば、今後の論点は1点に絞られる。うその「工事完成日」の記載が、なぜ、どのようにして、なされたのかということだ。そして、決算審査特別委員会には、来月に開かれる町議会12月定例会で、その調査結果を詳細に報告する責務がある。
12月定例会の開催まで、すでに1カ月を切っている。特別委は「なぜ」「どのように」という点を解明するため、関係文書の確認だけでなく、事業に関係した職員や町幹部への聴き取りも早急にすべきである。
屋久島町が国に提出した工事の検査調書。工事完成日が「令和3年3月19日」などと記載されているが、実際に工事が終わったのは8月下旬だった