町議が所有アパートのリフォーム廃材を廃棄し、焼却 鹿児島県屋久島町

yakushima-post

岩山鶴美町議「違法行為にあたる認識だった」

「検察から『今回は注意ということになりました』と電話」

なぜ町議は注意だけ? 罰金命令の町民は「捜査機関の判断は不公平」「納得できない」
メインP2
【左上】廃棄物の焼却について、屋久島町役場で取材を受ける岩山鶴美町議(右、2022年1月25日)
【左下】岩山町議が廃棄した廃棄物(2020年9月14日、屋久島町安房)=町民提供
【右】岩山町議が焼却処分した廃棄物。畳などが燃え残ったまま放置されていた(2021年1月5日、屋久島町安房)=町民提供

   鹿児島県屋久島町議会の岩山鶴美町議(64)が、自身が所有し、経営する賃貸アパートのリフォーム工事で出た廃棄物を親族の土地に廃棄し、焼却していたことが調査報道メディア「屋久島ポスト」の取材でわかった。目撃者によると、岩山町議は2020年から2021年にかけて廃棄、焼却した。岩山町議は取材に警察の捜査を受けたことを認めたうえで、罰金命令ではなく「検察から注意を受けた」ことを明らかにした。同様なケースで、検察に略式起訴され、裁判所から罰金命令を受けた町民は「不公平な判断だ」と、捜査機関の対応を批判している。

廃材は所有する賃貸アパートのリフォームで

 問題となった廃棄物の焼却場所は屋久島東部の安房地区の農地。登記簿によると、岩山町議の親族が所有している。山腹の高台にある畑は広さ約4700平方メートルで、島名産のタンカン(ミカンの一種)の木がまばらに数十本植えられている。
1.令和2年9月14日現場①
岩山鶴美町議が廃棄した廃棄物(2020年9月14日、屋久島町安房)=町民提供

 現場を発見した町民によると、畑に積まれた廃棄物を見つけたのは2020914日午後2時ごろのことだ。

 その町民は知人宅を訪問するため、その畑の近くを通りかかったところ、道路に面した畑に、ドアや窓枠、壁紙などの廃棄物が山積みにされているのに気づいた。町民は、その畑が岩山町議の親族の土地であることに加え、岩山町議が畑から約2キロ離れた海岸近くの住宅地で経営する賃貸アパートのリフォーム工事をしていたことを知っていた。このため、そのリフォーム工事で出た廃棄物が放置されているのではないかと考え、証拠の現場写真を撮影した。
2.令和3年1月5日現場②-1
岩山鶴美町議が廃棄物を焼却処分した現場。畳や金属片などが燃え残ったまま放置されていた(2021年1月5日、屋久島町安房)=町民提供

 さらに、その町民が約4カ月後の202115日午前11時ごろ、正月行事の鬼火焚きで使う竹を探すため、同じタンカン畑の近くを通りかかったところ、今度は、前年9月から放置されていた廃棄物が焼却されていることを確認した。道路に面した畑の入り口には、軽トラックが止められるほどのスペースがあり、そこで廃材などが燃やされていたという。
4.令和3年1月5日現場②-3

岩山鶴美町議が廃棄物を焼却処分した現場。金属片などが燃え残ったまま放置されていた(2021年1月5日、屋久島町安房)=町民提供

 屋久島ポストが入手した現場写真には、燃え残った廃材や畳などが放置され、畑を覆う緑を真っ黒に焦がしていた様子が写っている。

 その後、屋久島署が現場を調べ、焼却現場近くには立入禁止の黄色いテープが張られたという。
6.令和3年2月12日現場③

岩山鶴美町議が廃棄物を焼却処分した現場。警察の捜査が行われ、立入禁止のテープが張られていた(2021年2月初め、屋久島町安房)=町民提供

 岩山町議は屋久島ポストの取材(*1)に応じ、自身が経営する賃貸アパートのリフォーム工事で出た廃材などを焼却処分したことを認めた。登記簿などによると、賃貸アパートは軽量鉄骨造スレートぶきの2階建て。延床面積は125平方メートルあり、5世帯分の部屋がある。地元の関係者によると、1部屋に2人暮らしの場合、月4万円ほどで貸し出されているという。

 つまり、家賃という事業収入を得るための賃貸アパートのリフォームに伴う廃材を廃棄し、焼却したということだ。


罰金命令なく「検察から注意を受けた」

 岩山町議は屋久島ポストの取材に、「産業廃棄物を燃やすことは違法行為にあたるという認識だった」と述べた。焼却した時期は202012月末で、工事業者の誤解などもあり、畑に仮置きした廃棄物が残されたため、「正月を前に汚いままではいけないと思い、魔が差してしまった」と話した。

 また、岩山町議は屋久島署の捜査を受けて、供述調書に署名をして押印。その後、屋久島で鹿児島地検の検察官から事情聴取を受けたという。

 岩山町議によると、検察官は警察が作成した供述調書を読み上げて、「この内容で間違いありませんね」と確認し、それに対して、岩山町議は「間違いありません」と回答。供述調書は廃棄物を燃やした事実を認める内容であり、「罰金命令が出るだろうと覚悟していた」という。

 ところが、その後、検察から電話連絡があり、「今回は注意ということになりました。以後、気をつけてください」と言われたという。不起訴や起訴猶予といった具体的な処分内容は告げられなかったという。

 岩山町議による廃棄物の廃棄と焼却をめぐっては、20217月の町議会全員協議会でも取り上げられていた。

 公開された議事録によると、町民からの声として「事件になって(警察の)捜査を受けたようだが、信じられないので調査してほしい」との質問が出された。

 それに対し、岩山町議は賃貸アパートのリフォーム工事で出た廃棄物を「燃やしたっていう経緯は事実」と事実関係を認めていた。

借金して罰金を支払い/海岸に漂着したゴミを燃やして罰金

 ここ数年、屋久島町内では不法な廃棄物の投棄や焼却をしたとして、事件になっているケースも続いている。町は不法投棄の件数を把握していないが、鹿児島県警によると、2016年~2020年に屋久島署が廃棄物処理法違反の容疑で書類送検したのは6件で、その後に罰金命令が出た例もある。

 廃棄物処理法違反の罪で罰金命令を受けた複数の町民が屋久島ポストの取材に応じた。

 30代の男性は2020年に50万円の罰金命令を受けた。

 2019年の夏ごろに海岸近くの空き地に不要になった約350キロ分の家財道具を捨てた。その後、投棄した情報を知った警察から事情を聴かれるようになり、警察の手伝いも受けて、捨てたゴミをすべて撤去した。屋久島署で任意の事情聴取を2回受けて、警察が作成した供述調書に署名と押印をした。

 だが、その後の手続きについては何も説明がなかったため、男性は「全部のゴミを片づけたので、これですべて終わったと思った」という。

 ところが1年後の2020年夏ごろ、鹿児島地検から電話連絡があり、その後に屋久島で検察官の事情聴取を受けた。

 その結果、屋久島区検に略式起訴され、屋久島簡裁から50万円の罰金を命じられた。

 男性は満足な貯金がなかったため、全額を消費者金融で借りて支払ったという。

 産業廃棄物を燃やした岩山町議の件が「注意」で終わったことについて、男性は「立場が違うことで対応が違うとしたら、一般人としては納得できない」と話した。捜査機関に対して「なぜ町議は注意なのか。(それが事実なら)不公平な捜査だ」と批判する。

罰金2
廃棄物処理法違反の罪で検察から送付された罰金の納付告知書=町民提供

 木の廃材を焼却して罰金命令を受けたケースもある。

 2017年に40万円の罰金を支払った70代の男性は2017年秋ごろ、自宅の倉庫を解体して出た垂木30本と柱材6本を私有地で焼却。深い穴を掘って燃やしたが、当初の予想より炎が大きくなったため、通行人に通報され、その後に警察から3回ほど事情聴取を受けた。

 その結果、屋久島区検に略式起訴され、屋久島簡裁から40万円の罰金を命じられたという。

 男性は「私有地に穴を掘って燃やし、すべて灰になる木材だけだったので、まさか40万円もの罰金命令が出るとは思わなかった」と話している。

 そのほか、海岸に漂着したゴミを燃やして、罰金命令を受けたケースもあった。

 30代の男性は約10年前、親族と一緒に海岸に漂着したゴミを集めて、暖を取ろうとその場で燃やした。すると、通報を受けた警察官が現場に駆けつけ、その後に数回の事情聴取を受けた。そして、屋久島区検に略式起訴され、2人で計70万円の罰金命令を受けたという。

鹿児島地検「取材は受けられない」、屋久島署「捜査のことは答えられない」

 なぜ岩山町議は罰金命令を受けず、注意ですんだのか──。

 屋久島ポストは鹿児島地検に対して、なぜ岩山町議は注意で終わったのか、その理由を取材(*2)したところ、同地検の広報官は「記者クラブに所属している報道機関以外の取材は受けられない」と答えた。

 また、屋久島署の大畠基史次長は取材(*3)に「個別の案件については、捜査や事件送致の有無について答えられない」と述べた。

*1)取材日は2022127

*2)取材日は2022127日、31日

*3)取材日は2022127


■岩山鶴美町議に関する記事

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事
これらの記事も読まれています
記事URLをコピーしました