検察への疑問が目立つ岩山町議の説明 屋久島町議アパート廃材・投棄焼却事件

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一度は「注意」で終わった事件が一転して罰金50万円で有罪に

「検察庁の処分に驚きを感じる」「気が動転して略式起訴の書類にサイン」
全協の報告
罰金50万円の略式命令を受けた経緯などを説明するため、屋久島町議会の本会議場へ向かう岩山鶴美町議(2023年8月28日、屋久島町役場議会棟)

 「検察庁の処分に驚きを感じる」「気が動転して略式起訴の書類にサインをしたようだ」――

 屋久島町議会の現職として、町政史上、初めて有罪となった岩山鶴美町議(66)の説明は、町民への謝罪よりも、検察の捜査や処分に疑問を呈する発言が目立っていた。

 同町議会の岩山町議が自身で経営する賃貸アパートのリフォーム廃材を不法に焼却したとして、廃棄物処理法違反の罪で罰金50万円の略式命令を受けた事件をめぐり、岩山町議は828日の全員協議会に出席し、有罪が確定後、初めて事件について説明した。町民に対しては「大変なご心配とご迷惑をおかけました」と謝罪。その一方で、2021年に「注意」で終わった事件を一転して略式起訴した鹿児島地検の判断に疑問を呈したうえで、議員辞職については「家族や支持者と相談する」として明言を避けた。


傍聴席に町民20人 報道各社が取材

 この日にあった全員協議会には、石田尾茂樹議長ら全町議15人が出席した。傍聴席では約20人の町民が岩山町議の説明に聴き入り、その横ではKTS鹿児島テレビ、KKB鹿児島放送、共同通信、南日本新聞の報道各社が取材。石田尾議長から議場内での取材を拒否された屋久島ポストは、町役場フォーラム棟にある議会中継のモニター画面を撮影して取材した。

【速報】岩山町議20230828
罰金50万円の略式命令を受けた経緯などについて、屋久島町議会の全員協議会で説明する岩山鶴美町議(2023年8月28日、同町議会の議会中継モニターを撮影)

「大変な心配と迷惑をかけた」と謝罪

 説明の冒頭、岩山町議は「私の廃棄物処理法違反の件につきましては、町民の皆さまには、大変なご心配とご迷惑をおかけいたしました」と謝罪。そのうえで、事件の経緯について詳細に説明した。

「アパートのリフォーム廃材を畑に仮置き」

 その説明によると、岩山町議は20206月に自身の自宅兼賃貸アパートをリフォームして、工事で出た廃材を親族が所有する畑に仮置きした。そして、同年914日に廃材を仮置きした現場を目撃した町民が匿名で警察に通報したことで、岩山町議は警察で事情聴取を受けたが、廃材を仮置きしていることを伝えると、「警察官は納得した」という。

03.令和2年9月14日現場③
岩山鶴美町議がリフォームの廃材を仮置きしたとする現場(2020年9月14日、町民提供)

廃材「つい、うっかり」燃やして「注意」で終わった

 その後、岩山町議は同年12月に枯れたタンカンの枝を畑で燃やす際に、「つい、うっかり一緒に」廃材の一部を燃したところ、その現場を目撃した町民が再び警察に通報。202123月のうちの4日間にわたり、事情聴取と現場検証を受けて書類送検された結果、検察からは電話で「今回のことは注意ということになった」と言われ、事件は終わったという。

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岩山鶴美町議がタンカンの枝と「つい、うっかり一緒に」廃材の一部を燃やしたとする現場(2021年1月5日、町民提供)

現場を目撃した町民の告発で罰金50万円

 ところが、検察の「注意」という処分に批判の声が出ていることを踏まえ、現場を目撃した町民が20222月に検察に告発。それから15カ月後の202377日に、岩山町議は再び事情聴取されたのち、罰金50万円の略式命令を受けたという。

「なぜ、また」「この時期に刑事告発されて理由も分からない」

 一連の説明のなかで、検察で略式起訴に同意したことについて、岩山町議は「なぜ、またという気持ちで、気が動転しており、略式起訴の書類にサインをしたようだ」と述べた。また、2021年に「注意」で終わった事件が「また、この時期に刑事告発された理由もよく分からない」と指摘。さらに、岩山町議は「検察庁の処分が変わってしまったことにも驚きを感じています」として、検察の判断に疑問を呈した。

R)4.令和3年1月5日現場②-3
岩山鶴美町議が枯れ枝と一緒に廃材の「木くず」を焼却したとする現場には、鉄くずや空き缶などの不燃物が残されていた(2021年1月5日、町民提供)


辞職か続投か「家族や支持者と相談する」

 一方、罰金50万円の略式命令が出されたことを踏まえ、岩山町議は「野外でごみを焼却することが違反であることを真摯に受け止め(罰金を)納付しました」と説明。進退については「家族や支持者の方々と相談をしたいと思っています」として、議員辞職をするのか、それとも続投なのかは明言を避けた。

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