【取材後記】選挙運動チラシのような荒木後援会の「討議資料」 屋久島町長選2023
荒木町長、笑顔でガッツポーズ「決意表明いたしました」➡ 戸別配布
【左】「あらきこうじ後援会」の会報に掲載された荒木耕治町長の写真。大川の滝をバックに満面の笑みでガッツポーズしている
<『揺るぎない』決断 『速やかな』実行>
<6月議会一般質問にてあらきこうじが決意表明いたしました>
先日、自宅のポストを覗いたら、こんな見出しが並ぶチラシが入っていた。「立候補」とは書いていないが、「決意表明」とはそのことであり、「もう、屋久島町長選の選挙運動が始まったのか?」と錯覚させられるような内容である。
よく読むと、荒木耕治町長を支持する「あらきこうじ後援会」が発行した広報文だとわかった。選挙の事前運動を禁じた公職選挙法を意識してか、チラシの左上には「討議資料」と記載されており、「選挙運動のチラシではない」と言いたいようだ。
3期12年の実績 町内全域に配布してアピールか?
だが、満面の笑みを浮かべた荒木町長が、大川の滝をバックにガッツポーズをしている写真が掲載されたうえ、裏面には3期12年にわたる「実績」が詳細に書かれており、とても「討議資料」には思えない。
そして、荒木町長の不都合な事実を報じている屋久島ポスト共同代表の自宅にまで配っているところをみると、おそらく町内全域に配布したのであろう。4選をめざす現職町長の氏名と実績をアピールするチラシを全町6000戸に配ったとなれば、それは「討議資料」ではなく、まさに選挙運動チラシそのものだと、勘違いする町民も多いと思う。
そうはいっても、せっかく「討議資料」を届けていただいたので、少しだけ討議させてもらいたい。
荒木耕治町長の後援会が戸別配布した後援会報
リコールと旅費不正は終わった話ではない
全体を読みとおして、最も問題だと感じたのは「後援会会長よりご挨拶」の内容だ。荒木町政をめぐる諸問題について、次のように記している。
「荒木町長はこれまで二度リコールを受け、また旅費精算問題では住民団体から刑事告訴されるなど、後援会はじめ町民の皆様には多大なるご心配とご迷惑をおかけすることとなりました。そのことは
本人も自己の不徳と深く反省をしています」
ここまではいいのだが、そのあとが実にまずい。
「しかしリコールは不成立、旅費問題も検察の判断だけでなく、民間人が委員となっている検察審査会でも[不起訴相当]という判断が下されました。自ら反省し、町全体で再発防止を行い、改善しようとしている人々に対して、いつまでもその過ちを持ち出すことはどうなのか、と私は思います」
リコールは「不成立」、旅費問題は「不起訴」だったとして、「いつまでもその過ちを持ち出すことはどうなのか」と疑問を呈しているが、まったく検討違いの主張である。
町民と対話する気がない町長
まずはリコールだが、最初の2016年は総事業費が24億円にもなる新庁舎の建設事業について、その詳細を町民に知らせないまま、町議会で予算案を通したことが発端だった。当初は数億円と聞かされていた町民が驚くのは当然で、町民と対話をする気がない荒木町長の本質が露呈したリコールだった。
そして、不成立になったといっても、成立要件に足りなかったのは、わずか68人だ。それも、中立であるべき選挙管理委員が署名者の個人宅を戸別訪問したり、署名簿縦覧のあとに圧力をかけられた町民が署名の取り消しを申し出たりして、次々と有効署名が取り消された末の結果だった。
恐怖で署名もできない町
2021年のリコールは、荒木町長に端を発した一連の出張旅費不正問題が原因だった。
岩川浩一副町長(当時)や岩川俊広議長(同)らが虚偽領収書で不正精算していたにもかかわらず、荒木町長が一切の調査をせずに放置したとなれば、町民から不信の目を向けられるのは当然だ。だが、前回のリコールであった選管の戸別訪問や、署名引き下げの圧力が影響したため、署名をしたくても怖くてできない町民が多く、成立要件まであと45人のところで不成立となった。
この経緯をみると、リコールが不成立になったことで、荒木町長の政治姿勢が認められたとはとても言えない。
起訴猶予の不起訴は「免罪符」ではない
そして問題の最たるは、刑事事件となった出張旅費不正問題において、まるで免罪符のように「不起訴」を強調していることだ。
不起訴といっても、荒木町長の場合は最も処分が重い起訴猶予で、旅費を着服した事実が検察で認められている。起訴されなかったのは、不正を認めて謝罪し、給与を減額するなどの社会的制裁を受けたからで、罪の事実は検察で認定されている。
議会で嘘をつける町長
また、刑事告発されるまでの経緯も見過ごすことはできない。
航空運賃の高齢者割引を悪用して、約200万円もの旅費を着服していたにもかかわらず、2019年末の町議会で、荒木町長は高齢者割引の利用を3回にわたって完全否定した。だが、地元紙の報道などで不正の事実が次々と明らかになり、一転して記者会見を開いて謝罪し、町議会での虚偽答弁も認めた。
つまり、荒木町長は町議会で嘘をつける人だということである。
住民の代表が集う議会で、一度でも嘘をついたら、その首長が信用を失うのは当然だ。後援会長が言う「自ら反省」したところで、荒木町長が虚偽答弁をした事実は消えることはなく、首長としての資質に欠けると言わざるを得ない。
屋久島町の幹部や一般職員らが不正精算に使っていた15枚の虚偽領収書
虚偽領収書15枚を不問にする町長
そして、何より目を疑うのは「町全体で再発防止を行い、改善しようとしている人々」という記述だ。
一連の出張旅費不正問題で、これまでに発覚した虚偽領収書は少なくとも15枚あり、すべて同じ旅行会社から発行されている。そして、岩川前副町長や岩川元議長だけでなく、元会計課長を含む一般職員までもが虚偽領収書で不正精算を続けていた事実を踏まえると、この虚偽領収書による清算が町ぐるみの不正であった疑いがある。
しかし、虚偽領収書の発行経緯などの詳細について、荒木町長は調査することなく放置し続けている。一部の町議に追及されて、やっとのことで監査を指示したが、監査委員は「領収書の発行経緯については監査の対象外」と言って、町長と同様に放置したままである。
さらには、町政を監視する立場の町議会も、これらの虚偽領収書について、見て見ぬふりを続けている。これまで、一連の出張旅費不正問題の調査をする百条委員会の設置案が5回も提案されたが、すべて反対多数で否決されており、町議会までもが虚偽領収書の問題を放置している。
これらの経緯から言えることは、この町の役場と議会には「町全体で再発防止を行い、改善しようとしている人々」はいないということだ。再発防止策を講じようにも、なぜ、そして、どのような経緯で虚偽領収書が発行されたのかがわからなければ、再発防止の具体的な対策が取れるはずはない。つまり、「屋久島町は虚偽領収書を不問する自治体」だということを、町全体で認めているということである。
町民に誤解を与える「討議資料」
荒木町長を支持する後援会長
の挨拶文を否定するつもりはないが、届けていただいたチラシが「討議資料」だというので、屋久島ポストの見解を伝えさせていただいた。
ただ、荒木町長の支持者だけでなく、全町6000戸にこの内容のチラシが配布されたとなると、不正や不祥事が絶えない荒木町政に対して、多くの町民が誤った認識をもつ恐れがある。よって、このような「討議資料」に対しては、今後も大いに討議をしていきたい。
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後援会長は常識ある知識人である事を考えると、その常識外れな挨拶文に只驚くばかりである。
後援するという事は、どんな常識人でも物事の善悪の判断力も鈍るものらしい。
敢えて申し上げれば、不起訴は無罪放免ではありません。間違い無く罪です。
揺るぎない、速やかな不祥事の決断と実行に書き換えて。