【やくしま無責任語録】(3) 自分の不正調査に自分で反対する町議の茶番劇/岩川俊広町議

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架空領収書「予約した時にもらった」→発行経緯は「すべて警察で話す」とだんまり
(この連載は随時掲載します)

岩川議長辞任2

 補助金不正請求や出張旅費着服などの問題が絶えない屋久島町。数々の不正や不祥事が起こっても、町幹部らが説明責任を果たさない状況は、この町が地方自治体の体をなしていないことを物語っている。この連載では、屋久島町政を歪める数々の発言を【やくしま無責任語録】と題して配信。

 3回目は、架空の領収書で出張旅費を着服した岩川俊広町議の無責任な発言を紹介する。

   *

 この人が、いまだに現職の町議でいられることに、屋久島町政の底抜けの無責任さが表れている。航空券を買ってもいないのに、架空の領収書を旅行会社からもらって、出張旅費を着服した岩川俊広町議である。

航空券代の架空領収書で5万2680円を着服

 ことの始まりは、岩川町議が議長をしていた2019年5月に行った東京出張だった。岩川町議は屋久島と東京の往復航空券代として、9万3980円と記載された領収書を添付して旅費精算したのだが、実際の航空券代は4万1300円。その差額となる5万2680円を、岩川町議は自分の懐に入れていたのだ。

 これだけでも、町議としてあるまじき行為だが、岩川町議の不正にはその先があった。

 旅費着服に使った領収書には、町内にある旅行会社の名称が書かれ、社印までしっかり押されているのだが、なんと岩川町議はその旅行会社で航空券を買っていなかった。実際には航空会社から直接購入していたのに、その倍以上の金額が記載された架空の領収書を旅行会社から発行してもらっていたのだ。

領収書1
岩川俊広町議が出張旅費精算書に添付した架空の領収書。実際には航空券を買っていないのに、9万3980円と記載された領収書だけを受け取っていた


「予約の領収書」と意味不明な説明

 ここまでくると、町議としては完全にアウトである。納税者である町民に対して、架空領収書が発行された経緯などを明らかにする責任があるのだが、岩川町議は取材に意味不明な説明をした。

「予約した時に旅行会社が発行した領収書を添付した」

 予約をしただけで、航空券代も支払わずに領収書がもらえる……。そんな話は聞いたことがないので、さらに質問すると、岩川町議はこう開き直った。

「すべて警察で話す」

 まだ刑事事件にもなっていないのに、いきなり「警察」とは、なんと物騒なと思う人も多いだろう。< br />

高齢者割引の悪用でも着服し刑事告発

 実は、岩川町議の旅費着服は架空の領収書だけではなかった。別の出張で、事前に購入した航空券を空港で払い戻し、格安の高齢者割引で買い直して、その差額も懐に入れていた。同じ手口で約200万円を着服していた荒木耕治町長は、町民から刑事告発されており、それに続いて岩川町議も告発されていたのだ。

岩川議長辞任
出張旅費不正精算の引責で議長を辞任し、議場であいさつした後に自席に戻る岩川俊広町議(中央手前)。左は荒木耕治町長(2020年1月10日、屋久島町議会)

詐欺でもだんまり続け町議会に居座る

 高齢者割引を悪用した着服に、購入実態のない架空領収書での着服。そして、刑事告発となれば、町民の負託を受けた町議としては、もう救いようがない。自ら議会を去るであろうと思っていたら、そのあとの粘り腰がすごかった。

 2020年10月に検察で詐欺の容疑事実が認められたが、議長を辞任して社会的制裁を受けたとして、起訴猶予の不起訴処分に。裁判を免れて、架空の領収書をもらった経緯を法廷で証言する必要がなくなったのをいいことに、その後はだんまりを決め込み、町議会議員の椅子に居座ったのだ。

町議会、説明求める町民の陳情書を門前払い

 当然だが、岩川町議のだんまりに納得できない町民は多く、町議会には町議本人に経緯説明を求める陳情書が出された。だが、ここでも屋久島町議会の無責任ぶりは際立っていた。なんと、仲間の議員たちが「もう刑事事件として決着した」と言って、町民の陳情書を門前払いしてしまったのだ。

 刑事事件としては終わったが、岩川町議は町民に架空の領収書をもらった経緯を話しておらず、その説明責任は残っている。せめて、町民から意見陳述だけでも求めればいいものを、何もせずに一方的に排除した屋久島町議会の姿勢は、この議会が町民不在で運営されている証左だった。

百条委採決結果202206
虚偽領収書の発行経緯などを調査する百条委員会の設置案に対する各町議の賛否を表示するモニター画面。岩川俊広町議も調査の対象だったが、自分自身で調査に反対した(2022年6月22日)

不正調査の提案も否決4回

 岩川町議の架空領収書を含めた出張旅費の不正問題をめぐっては、これまでに町議会で不正調査の百条委員会設置案が4回も提案され、すべて反対多数で否決されている。そして、そのうちの3回では、岩川町議の不正清算も調査の対象となっていたのに、その張本人である岩川町議も採決に参加。自分自身に対する不正調査をしないようにするため、自ら電子採決の反対ボタンを押して、百条委設置案を否決に追い込んだ。

 採決を辞退せず、自分自身で反対する岩川町議も問題だが、さらに輪をかけて問題なのは、それを認めてしまう屋久島町議会である。だが、こんな笑止千万な議会運営はよくあることで、町議会の傍聴は、大根役者が演じる茶番劇を見ているようなものだ。

 ところで、だんまりを続けている岩川町議。いつになったら、「すべて警察で話す」と言った、それと同じ話を町民にしてくれるのだろう。

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  1. 小脇清保

    議員とし、人間として、これほど賤しい不正を働きながら
    説明責任を果たすどころか、議員として留まることの厚顔さに驚くとともに
    それでも昨年の町議選に立候補した時には、我が耳を疑いました。
    議員としての威厳を失っている今、発言に何の効果もありませんし、議員でいる意味すらありません。
    ご本人も虚しい議員生活だと思います。
    有権者である我々が一票の重さを真剣に考えなければなりません。
    あまりにも、今の屋久島町議会には、議員としての資質に欠けた議員が多過ぎます。

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