【取材後記】わざと無効入札は「入札妨害」では? 屋久島町新ごみ処理施設建設

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入札不成立で「予定価格等ご再考」を期待  競争入札の趣旨を蔑ろにする行為

予定価格の事前公表 入札不成立と違法行為の防止が目的

取材後記20230326②

屋久島町が公開した新ごみ処理施設の完成イメージ図(町報やくしま 2023年2月号より)

 公共事業の一般競争入札で、落札の上限額となる予定価格を事前公表するのは、主に次の二つが理由である。

 まず一つは、入札に参加した全業者が予定価格以下の金額を提示できるようにして、入札が不成立となるのを防ぐためだ。あらかじめ落札の目標額がわかっていれば、業者にとっては、予定価格を超えた入札で失格する恐れがなくなり、とても好都合となる。また、発注する国や地方自治体にとっては、再び入札をやり直す手間がなくなり、効率的に公共事業を進めることができる。

 もう一つは、事前に予定価格を知りたい業者が職員に接触して、内々に予定価格を聴き出そうとするのを防ぐためだ。業者にとって、予定価格は喉から手が出るほど知りたい情報で、事前にそれがわかっていれば、入札で失格になることはない。また発注側にとっては、職員が不正に情報を漏らすことがなくなり、違法行為を防ぐことにもなる。

 つまり、受注する業者と発注する国や地方自治体にとって、予定価格の事前公表は、お互いのリスクをなくす有効な手段なのだ。

社員の経験と入札不成立に期待

 ところが今回、屋久島町の新ごみ処理施設の建設業者を決める入札で、予定価格が事前公表されていたにもかかわらず、わざとそれを超える入札をした業者が現れた。それも予定価格より15億円も高い金額を提示して、自ら進んで競争に負けたのである。

 そこで、屋久島町民の代表である複数の町議が、そんな「不可解」な入札をした川崎技研(本社・福岡市)に理由を質問したところ、次のような趣旨の回答があったという。

・「(入札の技術提案書の)作成に携わった者たちへの後学」になると判断した。

・「万が一入札不落(不成立)となっても、仕様、予定価格等ご再考の上、再公告するといった可能性もありうるのではとの思い」で、辞退をせずに入札に参加した。

入札不成立なら町は多大な負担

 まずは社員の「後学」だが、屋久島町はそんな目的のために、予定価格を事前公表したうえで、入札を実施しているのではない。落札する意思はないけれど、自社の社員に経験を積ませるために参加して故意に失格したとなれば、それは適正な建設費を決める一般競争入札の趣旨を蔑ろにする行為だ。

 そして、入札が不成立になる可能性を想定して、「(町が) 仕様、予定価格等ご再考の上、再公告するといった可能性もありうるのではとの思い」があったとなれば、それは「入札妨害」とも言える行為ではないのか。入札が不成立になれば、町は再び入札を実施しなくてはならず、多大な負担を強いられることになる。

 さらには、「(町が)予定価格等ご再考」することを想定していたとすると、それは結果的に予定価格が引き上がるのを期待していたようにも思える。

参加2社とも同じ思惑なら入札不成立

 今回の入札には、川崎技研とテスコ(本社・東京都)2社が参加。事前公表された予定価格の246100万円(税抜き)に対し、テスコが244870万円を提示して、落札業者に選ばれた。一方、川崎技研は予定価格を約15億円上回る395000万円の無効入札をして、自ら競争することを放棄している。

 もし、テスコが川崎技研と同じ思惑で、意図的に予定価格を超える入札をしていたら、この入札は不成立だった。

入札不成立なら予定価格は高額に

 さらには、もし入札が不成立になっていれば、再び実施される入札の予定価格は、当初の246100万円より高額に設定せざるを得ない。つまり、川崎技研にとっては、それより15億円高い「希望の建設費」に近づく可能性があるということである。

川崎技研は辞退すべきだった

 以上を踏まえると、今回の川崎技研による意図的な無効入札は、適正な入札の実施を阻害する行為だと言えるのではないか。そして断言できるのは、川崎技研は入札に参加せず、辞退するべきだったということだ。

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  1. 救いようが無い

    屋久島町に損害を与える行為ではないのか?
    そんな事で社員教育をしてもらつては困ります。
    考え抜いた言い訳のように聞こえる。
    幹部の皆さん、馬鹿にされているのがわかりますか?
    真面目に、真剣に仕事をして下さい。

  2.  

    ①焼却場を建てるノウハウがある会社は多くない
    ②屋久島は離島につき人件費等他の自治体の同規模施設より金がかかる
    ③小型施設は利益の関係で大手は参加しない
    ④落札会社は実績が殆どなく、恐らく実績がほしいために入札参加している
    ⑤競争入札は2社以上でないと成立しない
    上記から川崎技研は町から入札を強く頼まれていたと推察。
    むしろ自治体との関係維持のために金にならない仕事をしていることに同情します

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