町、公務災害 認定理由書の受け取り「個人情報」理由に断る 屋久島町営牧場 過重労働死問題
公務災害「過重労働による心筋梗塞で死亡」と認定 ➡ 町「過重労働はなかったという認識」
地方公務員災害補償基金とは真っ向から対立する認識
屋久島町役場
屋久島町営の長峰牧場で非正規職員の田代健さん(当時49)が公務中に死亡し、過重労働による公務災害と認定された問題――。
今年2月、地方公務員災害補償基金の鹿児島県支部が田代さんの死亡を公務災害と認定したのち、屋久島町側に認定理由が記載された文書を送ろうとしたところ、町が文書の送付を断っていたことが、遺族関係者への取材でわかった。文書には町が勤務管理を一切していないなかで、田代さんが長時間の過重労働で心筋梗塞を発症した経緯などが詳細に示されている。町は取材に「個人情報が記載されているため文書の送付は求めなかった」とする一方、「町としては、過重労働はなかったという認識」だとして、同基金とは真っ向から対立する考えを示した。
半年間で休日5日など過重労働による死亡と認定
同基金が遺族に送付した文書によると、田代さんは2019年8月8日に死亡する3日前までに連続で約50日間の勤務をして、発症前1カ月間の時間外勤務は約81時間だった。また、死亡するまでの半年間で取得できた休日は5日で、長時間の時間外勤務が継続。その状況を踏まえ、「通常の日常の業務に比較して特に過重な職務に従事していた」として、田代さんの死因を過重労働が原因で発症した心筋梗塞だと認定した。
「業務命令権者として主体的に勤務管理をしていなかった」とも指摘
加えて、町の勤務管理体制について、同基金は「時間外勤務を含めた業務配分を現場の職員に任せ、そもそも業務命令権者として主体的に勤務時間を管理する体制になっていなかった」と指摘。町が時間外勤務や休日の取得状況をまったく把握していないなかで、田代さんが長時間の過重労働を続けていたとしている。
屋久島町の職員が過重労働で死亡した町営長峰牧場の衛星写真(グーグルアースより)
町、基金から「その原因が詳細に示されていない」と議会で説明
遺族関係者によると、今年2月に遺族が文書を受け取ったのちに、同基金の担当者に「町にも文書を送付しているのか」と尋ねたところ、担当者は「町からは必要ないと言われた」と答えたという。
さらに、公務災害が認定された1カ月後の3月7日に開かれた町議会で、荒木耕治町長は「諸般の報告」や「行政報告」のなかで、田代さんの公務災害について何も言及しなかった。それを受けて、町議から説明を求められた町は、公務災害の認定に至った「その原因が(地方公務員災害補償基金から)詳細に示されていない」として、公務災害について公に報告する予定はないと答えた。
遺族が提訴の場合「訴訟を目的に(文書を)取り寄せることはあり得る」
公務災害の認定理由を把握していないことについて、町総務課の岩川茂隆課長は10月12日の取材に「個人情報が含まれているため文書の送付は求めなかった」としたうえで、「町としては、文書を出すことでそちらに迷惑がかかる部分はないのかと(基金に)確認した」と説明した。それに対し、取材で「文書には長時間の過重労働が原因で田代さんが死亡したと記載されている」と指摘すると、岩川課長は「町としては、過重労働はなかったという認識」だとする一方、今後、遺族から損賠賠償請求訴訟が提起された場合は、「訴訟を目的に(文書を)取り寄せることはあり得る」とした。
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