【視点】すべての責任から「認識なかった」と逃げる荒木町長 屋久島町補助金不正請求・住民訴訟
虚偽報告した「張本人」の嘘を鵜呑みにして「注意義務違反ではない」➡ 賠償135万円に不服
控訴を町報で報告
職員の公務災害死にも「過重労働があった認識ない」と反論
【上左】工事未完成で「工事完成」と報告した虚偽の検査調書【上右】屋久島町の荒木耕治町長【下】鹿児島地裁の法廷と外観(裁判所ウェブサイトより)
屋久島町が実施した水道工事の補助金不正請求をめぐる住民訴訟で、鹿児島地裁は9月6日、国から補助金の返還命令を受けた責任の一部が荒木耕治町長ら町幹部にあるとして、被告の町に対し、荒木町長ら3人に約135万円を賠償請求するように命じる判決を言い渡した。一方で、町は一審判決に不服があるとして控訴を決定し、その理由を「町報やくしま」10月号で次のように伝えている。
<町長らの作為義務の内容、「完了していないのは町単独事業部分だけなので補助金手続きには問題がない」との担当管理職(当時)の報告を信用、信頼し、再調査、 国への報告をしなかったことを注意義務違反と判断した理由について必ずしも納得し得ない>
ここで言う「担当管理職(当時)」とは、工事が未完成なのにもかかわらず、すべての工事が終わったと国に虚偽の報告をした元職員だ。この職員は国に事業実績を報告する際に、荒木町長ら上司の決裁を受けることなく、町の公印を勝手に使って、虚偽の報告書を「独断で提出」した人物である。
「町報やくしま」10月号に掲載された住民訴訟の判決に対する控訴理由の記事
地裁、管理監督責任を問い「注意義務違反」と判断
そんな「不正の張本人」がした説明を鵜呑みにして、虚偽報告の事実を国に伝えなかったのは、誰がどうみても、荒木町長ら町幹部の判断が間違っていたのは明らかだ。さらには、職員が説明した内容も事実とは大きく違い、最も工事が遅れていた工区では、国に虚偽報告をした時点で全体の約15%しか工事が完成していなかった。そんな嘘にまみれた説明を信じて、工事関係者への聴き取りや調査を一切せずに放置したとなれば、その責任が荒木町長らにあるのは当然のことである。
つまり、荒木町長ら町幹部が適切に職員を管理監督できなかったことに対し、地裁は「注意義務違反があった」として、賠償すべきだとの判決を出したのである。その判断には、荒木町長らの「認識」や「意図」は関係なく、管理職として当然果たすべき役割を全うしていなかったということだ。
過重労働死の「認識」なくても雇用主に責任
だが、このような形で責任を追及されると、必ずと言っていいほど、荒木町長はこんな言い訳を繰り返している。
「そうすべきだという認識はなかった」
「意図的にやらなかったわけではない」
わざとではない。悪意はない。そう言いたいのだろうが、だからといって、管理監督責任から逃れられるわけではない。そして、その最悪とも言える例は、町営牧場で職員が過重労働で死亡した公務災害の認定理由に対する町の主張だ。
「過重労働があったという認識はない」
「時間外勤務が必要だったという認識はない」
荒木町長や町幹部の「認識」がどうであろうと、職員が長時間の時間外勤務をしていたのは明らかな事実だ。さらには、その過重労働によって職員が死亡したのも事実であり、それを公的機関である地方公務員災害補償基金が公務災害と認定したのであれば、雇用主としての責任から逃れることはできない。
町としての「認識」とは関係なく、職員の死が過重労働による公務災害だと認定されたのであれば、真っ先に遺族に謝罪するのが人の道なのだが、荒木町長にはそれができないのである。
事実誤認した町が裁判官の「事実誤認」を指摘
住民訴訟の判決に話を戻すと、荒木町長は控訴する理由として、こうも主張している。
<さらには重大な事実誤認がある>
裁判官が何をどう「事実誤認」したというのか、その具体的な内容は不明だが、極めて重大な事実誤認をしていたのは、荒木町長ら町幹部の方だろう。国に虚偽報告をしても、その事実を国に伝える必要はないと。
それでも、まだ言い訳を続けるのだろうか。
「わざとではない」と。
■「町報やくしま」10月号
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訴訟にまみれた町・屋久島町――。
なぜこのようなことになったのか? 原因は明らかです。最高責任者である荒木耕治町長の初期対応のまずさが、すべてをこじらせてしまったのです。
その結果、すべてが後手後手の対応になってしまい、挙句の果てには訴訟を起こされてしまったのです。
町営牧場で働く職員が、過重労働が原因で死亡した事案などは、その最たるものです。普通に対応していれば、このような結果にはなっていません!
自身で問題の種をまいておきながら、大きく育った作物の収穫は法務事務専門員に丸投げ。お気楽なもんです。
荒木町長の一連の対応の仕方を見ていて、自治体の首長としての資質に問題があるのではないかと思えてなりません。