岩山鶴美町議、不法焼却で有罪も議員続投を表明 屋久島町議アパート廃材・投棄焼却事件

yakushima-post

「残りの期間をしっかり務めていく」「それ以上でもそれ以下でもない」

賛成多数の辞職勧告決議に対して表明
議員続投
【左】投棄されたアパートのリフォーム廃材(
2020914日、町民撮影)【中央】不法に焼却された廃材や畳など(202115日、町民撮影)【右】議員辞職勧告決議案の可決後、無言で議会を後にする岩山鶴美町議(2023年9月5日、屋久島町役場)


 屋久島町議会(石田尾茂樹議長)の岩山鶴美町議(66)が自身で経営する賃貸アパートのリフォーム廃材を不法に焼却したとして、廃棄物処理法違反(焼却の禁止)の罪で罰金50万円の略式命令を受けた事件――。

 岩山町議は126日の全員協議会に出席し、議員辞職はせずに続投する考えを明らかにした。9月定例会で岩山町議に対する議員辞職勧告決議案が賛成多数で可決されたことを受けたもので、次の町議選まで残された約110カ月間の任期を全うするとした。

 この日、全員協議会で同僚議員から進退を問われた岩山町議は、「進退については残りの期間をしっかりと務めていくことが、皆さんに対しての態度だと思うので、それ以上でもそれ以下でもなく、しっかりと務め上げていきたい」と述べた。

 議員辞職勧告決議案が可決された95日、岩山町議は南日本新聞の取材に「決議案が出されたことや結果を厳粛に受け止める。進退は家族や支援者と相談し、冷静に判断したい」とコメントしていた。同決議案には法的拘束力はない。

 岩山町議に対する辞職勧告決議案の提案理由は次のとおり。


【動画】屋久島町議会の岩山鶴美町議に対する辞職勧告決議案の提案を理由を述べる真辺真紀町議(2023年9月5日、屋久島町議会、※議会動画は同町議会YouTubeチャンネルより)

<岩山鶴美議員は、自身で所有する賃貸アパートのリフォーム工事で出た廃材を不法に投棄した後に焼却したとして、令和42月に町民から刑事告発されました。そして、令和5721日に廃棄物処理法違反(焼却の禁止)の罪で略式起訴され、同年83日に裁判所から罰金50万円の略式命令を受けました。

 世界自然遺産の屋久島で現職の町議会議員が廃棄物を焼却して有罪になったことは、屋久島町民12000人の代表として決して許されることではありません。

 美しい大自然を誇りとする屋久島を汚したことに加え、国内外の人々が描く清らかな島のイメージを損なう犯罪であり、ただ、それだけでも議員辞職するべき不法行為です。ところが、廃棄物をめぐる岩山議員の問題はそれだけではありません。

 不法な投棄と焼却をする1年前の令和元年9月の町議会一般質問で、岩山議員は、ごみのポイ捨てに罰金を科する条例を制定するように提案して、その際、次のような発言をしていました。

 「不法投棄というのは犯罪に当たるんですね。法律で禁止されていて、決して許されない行為のはずなんです。5年以下の懲役または1000万円以下の罰金が科せられるんです。最近、数件、すごいたちの悪い不法投棄があって、どこの集落とは言いませんけれども、罰金を科せられて検挙したということでした。ああ、やっぱり多いんだなというか、それだけのことをする人いるんだなって、すごい残念でした」。

 つまり、岩山議員は廃棄物を投棄して焼却することが重い犯罪であることを知っていて、懲役または罰金の刑になることを明確に認識していたということです。

 そして、実際に罰金を科せられた複数の町民に対して、「ああ、やっぱり多いんだなというか、それだけのことをする人がいるんだなって、すごい残念でした」と述べています。

 さらに、岩山議員は、ごみやたばこの吸い殻などを捨てる町民が多いことを批判して、次のように発言しています。

 「子供たちの中にも、ツツジの中に投げ込んだりする子供たちもいたりします」。

 「車を運転していたら、私の前の車が、ナンバー控えてますけど、たばこの灰を窓の外にぽいぽいってしましたね。あれ見たときは町長、もう何か、悲しさを通り抜けて、わナンバーじゃないですよ。地元の人の車ですよ。もうふざけないでよという。火のついたたばこもぽいってされた経験もあります」。

 そして、ごみのポイ捨てにも罰金を科す、屋久島町独自の条例を制定して、世界に通じるきれいな屋久島を大人も子供も目指していきましょうと荒木耕治町長に訴えました。

 ところが、それから1年後、その岩山議員が自ら不法な投棄と焼却をしたのですから、屋久島町にとっては前代未聞の事態です。

 さらに、屋久島町議会としては、町制史上初めて現職の町議会議員が不法投棄で有罪になったことになり、世界自然遺産の島を預かる自治体の地方議会としての信用を大きくおとしめたと言えます。

 岩山議員が町議会の一般質問で、不法投棄やごみのポイ捨てをする町民を批判して、罰金つきの条例を提案しておきながら、その一方で、自分自身が不法焼却で罰金50万円の略式命令を受けたことを踏まえれば、もうこれ以上、屋久島町議会の一員であるべきではないと、多くの町民が思っているはずです。

 ところが今、岩山議員は自身の進退を明確にせず、家族や支持者の方々と相談したいと述べるにとどまっています。

 さらに、828日の全員協議会における岩山議員の説明を聞いていると、議員自身が本当に反省しているのかと疑わざるを得ない発言が数多くありました。

 その中でも、特に問題だと思われるのは、この事件を捜査した鹿児島地検に対する発言です。

 通常、検察官が正式な裁判を省略して略式起訴の処分をする際には、必ず被疑者に詳細な説明をして、同意の署名と捺印を取ることになっています。

 しかしながら、岩山議員は、なぜまたという気持ちで気が動転しており、略式起訴の書類にサインをしたようだと述べて、まるで起訴状の内容を理解しないまま、自分の意に反して略式起訴に同意したかのような説明をしています。

 本来であれば、検察官が岩山議員にどのような説明をしたのかを全議員に報告するべきところですが、岩山議員は、「気が動転」、「書類に同意のサインをしたようだ」という表現を使って、その詳細な内容を一切説明しませんでした。

 また、岩山議員は、2年前に注意で終わった事件が一転して有罪となったことについて、「検察庁の処分が変わってしまったことにも驚きを感じています」として、検察の処分に納得していないと解される発言をしています。もし、本当に納得していないのであれば、略式起訴には同意せずに刑事裁判で無罪を主張すればいいだけのことですが、岩山議員は略式起訴を自ら選択しました。

 さらには、今回の事業聴取でも、岩山議員は2年前と同じ「木くずを燃やした」と説明したということですが、それを聞いた検察官は、前回の注意から一転して略式起訴という判断をしています。つまり、検察官は木くずを燃やしたとする説明に対して、前回はその内容を信じて注意としたが、今回は信じられないとして略式起訴にしたということです。そして2年前と同じ、木くずを燃やしたとする説明は、単に岩山議員の主張を一方的に述べたものであり、現場写真などの証拠と照らし合わせると事実であるとは認められないということです。町民が撮影した現場写真を見ると、岩山議員の説明に大きな矛盾があることも分かります。投棄された廃棄物の山には、窓枠、ドア、壁紙、パイプなどのリフォーム工事で出た廃材がたくさん写っています。そして、廃棄物が焼却され、真っ黒に焦げた地面には、燃え残った金属片や、畳、空き缶などが写っており、とても木くずを燃やした現場には見えません。そして、これらの写真と岩山議員の説明を照らし合わせると、法律違反に問われたのは木くずを燃やしたことと主張することも信じることはできません。

 有罪となった不法焼却とは別に、岩山議員は、私は不法投棄はしていませんと主張しています。しかしながら、鹿児島地検は721日に廃棄物処理法違反(投棄の禁止)の容疑事実と認定した上で、岩山議員を起訴猶予の不起訴処分にしています。起訴猶予ということは、もし岩山議員が容疑事実を認めない場合には起訴されることになります。しかし、略式起訴されたのは不法焼却だけですから、岩山議員は不法投棄の容疑事実を認めて反省したことで、起訴を猶予されたということになります。

 ごみを捨てる町民が多いことを批判して罰金条例を提案した一般質問、自分が罰金50万円で有罪となった不法焼却事件、そして全員協議会での審議が疑われる説明を踏まえると、これ以上岩山議員が町議会議員であることは許されず、屋久島町議会の信頼を取り戻すためにも、岩山鶴美議員の速やかな議員辞職をここに強く勧告いたします>


【動画】屋久島町議会の岩山鶴美町議に対する辞職勧告決議案について、賛成討論をする渡辺千護町議(2023年9月5日、屋久島町議会、※議会動画は同町議会YouTubeチャンネルより)

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

  1. 越前の守

    公人として、あり得ない大罪を犯しながら、辞職しないとは呆れて言葉がない。
    責任の重さを認識していない。辞職しない理由を述べる際「それ以上でも、以下でもありません」とは、なんと上から目線の言葉だろう?
    町政始まって以来の、現職議員が有罪となった前代未聞の出来事を、全員協議会という議員間だけの手打ちで終わらせてはいけない。
    議事録に残すように、本会議の席で発言させるべきである。
    それでなければ住民が知る機会が失われてしまう。

関連記事
これらの記事も読まれています
記事URLをコピーしました