海底清掃問題

屋久島町、答弁書で請求の棄却を求める 海底清掃事業・住民訴訟

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町側代理人は出廷せず 主張は次回口頭弁論で

渡辺町議「寄付金の使途を定めた条例違反の支出」
法務事務専門員

【上左】屋久島町「ふるさと納税」のロゴ(町ウェブサイトより)【上右】鹿児島地裁(裁判所ウェブサイトより)【下】屋久島町役場


 ふるさと納税で「屋久島の自然を守って欲しい」と寄付された1700万円を活用して、屋久島町が2022年度に実施した海底清掃を主体とする環境保全事業で、総事業費の大半が海底清掃そのものではなく、屋久島の観光情報を紹介するガイド冊子や動画の制作費に支出された問題――。

 この事業への支出は、ふるさと納税の寄付金の使途を定めた「屋久島町だいすき寄附条例」に違反しているなどとして、同町議会の渡辺千護町議が町を相手取り、事業に支出した約1700万円を荒木耕治町長ら町幹部3人に賠償請求するように求めた住民訴訟の第1回口頭弁論が924日、鹿児島地裁で開かれた。

 町側の代理人弁護士は出廷しなかったが、事前に提出した答弁書で請求の棄却を求めたうえで、次回の口頭弁論で具体的な主張をするとした。一方、原告の渡辺千護町議は出廷して、訴状に沿って同事業に対する支出の違法性を主張した。

 訴状によると、渡辺町議の主張は次の3点に分けられる。

寄付金の使途を定めた条例違反の支出

 この海底清掃事業に支出された寄付金は、「屋久島町だいすき寄附条例」で定められた使途のなかから、寄付者が「環境保全」と指定したものだった。それにもかかわらず、町は屋久島の観光情報を紹介するガイド冊子と動画の制作をして、総事業費1700万円の大半を「観光広報事業」に使った。さらに、事業の主目的である海底での清掃は2時間しか行われず、実際に回収したごみの総量も報告されなかった。


理由のない特命随意契約

 この事業を業務委託するにあたり、町は複数の業者が参加する競争入札を実施することなく、旅行大手JTBの出版部門を担う関連会社「JTBパブリッシング」(本社・東京)と特命随意契約を結んだ。しかし、同社は主に観光ガイドブックの出版を専門とする会社であり、過去に海底清掃事業を実施した実績がないことから、町がJTBパブリッシングと特命随意契約を結ぶ理由はなかった。

実費精算を怠った不適法な支出

 JTBパブリッシングが町に提出した同事業の見積書で、「ゴミ回収廃棄費」と「交通宿泊費」については「※下記は、終了後実費精算」と明記されていた。それにもかかわらず、町は海底事業が終了したのちに実費精算することを怠り、総事業費1700万円をそのまま支払った。

 次回の第2回口頭弁論は115日に開かれる。

 

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