【視点】破格な人件費、経理事務8時間で日給5万5000円 屋久島町海底清掃事業
時給では6875円、世間相場と比べ3~4.5倍の高給を「経理担当職員」に支出
地方財政法に違反する疑い

屋久島町役場
単なる経理事務の仕事を8時間して、日給は5万5000円。これを時給にすると6875円となり、全国の平均時給1055円と比べて6.5倍もの高給となる。
果たして、こんな破格な給料がもらえる経理事務の仕事が、いまの日本社会に存在するのだろうか?
ところが、あった。ふるさと納税の寄付金1991万円を活用して、屋久島町が2023年度に実施した海底清掃事業で、「経理担当職員」の人件費として日給5万5000円を支払っていたのだ。職員が働いたのは12日間なので、人件費の合計は66万円にもなった。
海底清掃事業のためだけに経理職員を雇用
町の説明によると、この経理担当職員は、海底清掃事業を請け負ったダイビング業者「オーシャナ」(本社・東京都中央区)が、この事業のためだけに雇ったスタッフだという。だが、どうして町が、この事業だけの経理をする職員の人件費を公費で負担する必要があったのか。本来であれば、日常の経理事務の一環として、オーシャナが自社の社員に経理をさせるべきではなかったのか。
経理平均時給1544円 → 町の時給6875円で4.5倍
そこで、求人サイトで経理事務の日給を調べてみると、全国平均で1万9286円とあった。つまり、町が負担した日給5万5000円は、全国平均よりも約3倍も高かったのだ。さらに平均時給は1544円なので、町が支出した6875円は、約4.5倍も高額だったことになる。
いったい何を根拠にして、オーシャナはこんなに法外な人件費を町に請求したのか。そして何よりも、なぜ屋久島町は、世間相場の3~4.5倍もする破格な人件費を支払ってしまったのか。オーシャナから見積書が示された段階で、町はこれほど高額な人件費を公費から支出しても問題ないと、本当に判断したのだろうか。
法が定める「必要且つ最少の限度」の支出だったのか?
地方公共団体の財政運営などについて定めた地方財政法は、その第4条で次のように規定している。
「地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない。」
単なる経理事務をして、日給が世間相場の約3倍もする5万5000円。この人件費に対して、「必要且つ最少の限度」だと思う人はいないだろう。
つまり、この経理担当職員の人件費は、違法な支出だった疑いがあるということである。おそらく町は、「妥当な金額だった」と言い張るだろうが、そんな主張が司法の場で通用するとは到底思えない。