屋久島町長「非常に国に対して不満をもっている」 フェリー屋久島2運休問題
荒木町長、国から財政支援が受けられる制度づくりを要望へ
代船運航費、町の負担は1億7340万円に

【左上】故障で長期運休中の「フェリー屋久島2」(折田汽船ウェブサイトより)【左下】代船の物船「ぶーげんびりあ」(鹿商海運ウェブサイトより)【右】代船の業務委託費として5790万円を盛り込んだ補正予算案について説明する屋久島町の荒木耕治町長(2025年2月6日、屋久島町議会YouTubeチャンネルより)
屋久島町と鹿児島市を結ぶ「フェリー屋久島2」(折田汽船)が故障で長期運休となっている問題をめぐり、荒木耕治町長は2月6日の臨時議会で、代船の運航に国から財政支援がないことについて、「非常に不満をもっている」との認識を示した。今後、同じような問題が全国で起き得るとも述べ、国から財政的な支援が受けられる制度づくりに向け、全国離島振興協議会の会長として、国などに要望していく考えを明らかにした。
町議、運航再開しても「その先が心配だ」
この日の議会で、5790万円の代船運航費を盛り込んだ補正予算案が出されたことを受けて、真辺真紀町議が質問に立ち、「3月末に(フェリー屋久島2の)運航が再開されても、その先が心配だ」と指摘。現在は折田汽船に法的責任がないことを踏まえ、「今後、どのような(法律や制度の)整備を(国に)要望していくのか」と質問した。

代船の業務委託費として5790万円を盛り込んだ補正予算案について説明する屋久島町の荒木耕町長(2025年2月6日、屋久島町議会YouTubeチャンネルより)
町長「また他の部分で故障が起き得る」と危惧
それに対し荒木町長は、今回の長期運休について「災害に準ずる(事態)と思っている」としたうえで、現行の法律や制度では国から財政支援が受けられないため、町の「貯金」にあたる財政調整基金を切り崩して、代船運航費の予算を確保していると説明。その一方、老朽化した「フェリー屋久島2」が3月末に運航を再開したとしても、「また、他の部分で(故障など)そういうのが起き得ると心配している」と述べた。
全国離島振興協議会長として国に要望へ
さらに荒木町長は、国から財政的な支援が受けられないことについて、「非常に国に対して不満をもっている」との認識を示し、今後も同じような問題が全国各地で起き得ると指摘。現在、自身が全国離島振興協議会の会長を務めていることから、国から財政支援が受けられる法律や制度の整備に向けて、「全国離島振興協議会で協議をして、いろいろな所に要望や陳情をしてきたい」とした。
その後、町議会は2~3月の代船運航費として、5790万円の「船舶運航及び荷役業務委託費」を盛り込んだ補正予算案を可決。昨年12月から今年3月までの4カ月間に町が予算計上した代船運航費は、合計で1億7340万円になった。